人間は過ちを犯す生き物。
全くミスと無縁でいられる者など存在しません。
学生の間は、例えばアルバイトなどでミスをやらかしても、致命的になることはほとんど無いでしょう。
しかし、社会人になると、わずかなミスがその人にとって大きな打撃となることもしばしば。
特に、経営者としての立場で判断を誤ると、会社の存立を危うくしかねません。
〈originally posted on August 23, 2023〉
1 社名を「ISIS」に変更
ベルギーと聞いて、天才的な灰色の脳細胞を持つ探偵を連想する人もいるでしょうが、ベルギーはワッフルやチョコレートでも有名です。
そんなベルギーにある某チョコレート・メーカーが、かつて社名を変更して激しく後悔することとなりました。
そのメーカーが新社名として選んだ名前は、「ISIS」。
ご記憶の方も多いでしょうが、この文字列は、イスラム過激派組織を表し、2010年前半には日本でも新聞・ニュースでよく使われていました。
国際的なテロ組織の名称と同じ名前にしてしまった理由は定かではありません。
しかし、提案がなされてから実際に社名変更するまで、社員の誰も問題点に気づかなかったとしたら驚きです。
チョコレート・メーカーから一瞬でテロ組織へと変貌を遂げたかのような社名のせいで、案の定、売上が激減。
この会社は後日、消費者に対して謝罪し、再度、社名を変更しました。
2 コストコが聖書を販売して大炎上
アメリカ発祥のコストコは、低価格・大量販売をウリにしており、日本でも人気があります。
そのコストコが犯した致命的ミスは、聖書に関するものです。
ロサンゼルスのとあるコストコに、一人の神父が立ち寄ったときのこと。
彼は、書籍のコーナーで聖書が陳列されているのを見つけました。
それだけなら何ら不自然ではないですが、聖書が並べられていたのは、「フィクション」の棚。
日本ではそれほど大きな問題にはならないかも知れませんが、アメリカでこれは大問題。
聖書がフィクションということは、そこに書かれてある内容が全部ウソだと言っているようなものですから。
それを発見した神父は、すぐさま写真に撮ってツイッターに投稿。
多くの人から批判を浴びたコストコは、出版社側によるラベリングの手違いだという説明とともに謝罪しました。
本を陳列する場所を間違えただけでも、場合によっては客からの猛烈なバッシングを浴びかねません。
3 マイクロソフト最大の判断ミスとは
超巨大企業のマイクロソフトでさえ、時にはミスを犯します。
では、ビル・ゲイツ氏が考える、マイクロソフト最大のミスとは何なのか。
数年前にゲイツ氏自身が取材に答えて語ったところによると、それはスマホのOSです。
現在、スマホのオペレーティング・システムといえば、アップルのiOSとグーグルのAndroidの二択になっています。
しかし考えてみれば、OSを作るのは本来マイクロソフトの十八番。
パソコンのOSで既に覇権を握っていた同社にとって、スマホのOSでも天下を取るのは造作もないことだったはず……。
では、マイクロソフトは、いかにしてグーグルのAndroidに惨敗してしまったのか。
初めてAndroid搭載のスマホが市場に投入されたのは、2008年。
その後、マイクロソフトも「Windows Phone」をリリースしました。
「そういえばあったな~、そんなスマホ!」と思った方も多いことでしょう。
しかしながら、Androidの普及速度には全く追いつけず。
2019年には「Windows10 Mobile」を発表し、スマホのOSでシェア拡大を目指したものの、一年足らずで頓挫。
これは、Windows10 Mobileの普及率があまりにも低かったため、アプリ開発者たちから見放されたのが主な原因です。
今後、マイクロソフトがスマホのOSに進出してくる可能性はまず無いでしょう。
上記の取材の最後に、ゲイツ氏はこう語っています。
「あのミスさえ無ければ、我々は唯一無二のトップ企業になっていた」
「でも、まあいいさ」
「いまでもトップ企業であることには違いないからね」
4 グーグル買収のチャンスを蹴った会社
検索エンジンのポータルサイトはいくつかありますが、その中に「Excite」と呼ばれるものがあります。
今でもサイト自体は存在していますが、グーグル検索よりも知名度が低すぎるので、その存在はほぼ空気。
1999年、そのグーグルから同社を買収する話を持ちかけられたのが、このExciteの運営会社なのです。
最初、グーグルから提示された金額は、100万ドルにも満たなかったとか。
さらに、交渉の過程で75万ドルにまで引き下げられたものの、結局、Exciteはグーグルの買収には興味を示さなかったのです。
現在のグーグルの企業価値が天文学的数字であることを考えれば、75万ドルという金額はタダ同然と言っても過言ではありません。
タダ同然の金額であのグーグルが手に入る。
そんな美味しい話をあっさり蹴ってしまったExcite。
グーグルがここまで強大化するとは予想できなかったのでしょう。
後悔してもしきれない、痛恨のミスと言って間違いありません。
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5 ハードを売るならハード・オフ
本を売るならブック・オフ。
では、パソコンや家電製品を売るなら……。
ハード・オフです(まあ、他にも選択肢は山程ありますが)。
外国人観光客にも、意外なお宝を発見できるハード・オフは大人気。
しかし、外国人に人気というのが少々まずい。
それは何故か。
実は、「hard-off」というのは、英語でふにゃふにゃ状態のアレを意味するのです。
臨戦態勢でないアレと言ってもよいでしょう。
男性にとっては、情けなさの象徴。
「この、ふにゃ——野郎!」
などと相手を罵ることもあります。
そんな言葉を堂々と店の名称にしてしまうのは、失策といえば失策。
確かに、日本人にとっては特にどうということのない、どーでもいい英語表現です。
しかし、上述のように、外国人にも人気のスポットであることを考えると、何ともいえない残念さが漂います。