親切が仇となる卑近な例は、電車内で高齢者に席を譲る場面ではないでしょうか。
近くに老人が立っているのに気づき、スッと席を立って「どうぞ」と声をかけるのは、何の害も無い親切行為のようですが、そうとは限りません。
席を譲ろうとして感謝されるどころか、その相手が、
「老人扱いするな!」
とでも言わんばかりに気色ばみ、睨んでくることもあります。
親切心を発揮するというのは、意外と難しいものです。
〈originally posted on March 26,2020〉
1 「終点ですよ」と言って起こしてあげたら、ボコられた
2015年6月17日早朝、ロンドンのセント・パンクラス駅からベッドフォード行きの電車に、39歳の男性が乗っていたときのこと。
列車がセント・オールバンズ駅で停車したとき、その男性は、終点のベッドフォードだと勘違いし、降りようとしました。
その際、座席に座って寝ている若者の姿が目に入り、彼は、「終点ですよ」と言って起こしてあげたのです。
起こされた男の名前は、サム・ピアース(24)。
ピアースとその男性は、急いで列車を降りました。
しかし、そこが終点ではないことに気づいた二人は、再び列車の中へ。
誤ってピアースを起こしてしまった男性は、その場で謝罪したのですが、既にこのとき、ピアースの中で、怒りのスイッチがオンになっていたのです。
ピアースは、男性の首根っこをつかむと、床に押し倒して彼を殴り始めました。
そして、列車が駅に着くと、その男性をプラットホームに引きずり出したのです。
親切心から起こしてあげたというのにこの仕打ち。
幸い、その男性は軽傷で済みましたが、おそらく彼が、今後誰かを起こすことは無いでしょう。
ピアースは逮捕され、裁判の結果、懲役1年が言い渡されています。
2 落書きをペンキで消したら、罰金を払わされた
イングランド中部のウォリックシャーに住むクレイグ・ハント(60)という男性は、地元のスケートボード・パークのあちこちに書かれた落書きに頭を悩ませていました。
それらはただの落書きではなく、卑猥で攻撃的で、ときに差別的な言葉がデカデカと書かれたものだったのです。
子供たちが自由に使える施設なのに、子供に見せられるような内容ではありません。
そこでハントは一計を案じました。
彼は、それらの落書きを自らペンキで塗りつぶしたのです。
もちろん、ペンキ代は自腹。
これで子供たちが安心して遊ぶことが出来る、と思った矢先、彼の家に市役所から請求書が。
彼は、277ポンド(約37000円)の罰金を科せられていました。
公共の建築物に損害を与えたというのがその理由。
市役所が定める規定のペンキを使わなかった点が、「損害」を与えたとみなされたのです。
何となく屁理屈のようにも思えますが、罰金は罰金。
落書きを隠すためにハントが費やした資金と労力、時間を考えると、かなり残酷な結末です。
3 老夫婦を助けてあげたら、逮捕された
2017年4月某日、イングランド、ノーフォークのキングズ・リンで、一組の老夫婦が、車椅子を自宅の玄関口へ運ぶのに苦労していました。
偶然それを目撃した、近所の男性が、車椅子を運ぶのを手伝ってあげたのです。
何という微笑ましい光景。
ご近所付き合いは、かくあるべきと思わせてくれます。
しかしこの男性、程なくして警察に逮捕されました。
こんな親切な人が、なぜ逮捕されるのか。
これには、誰もが納得する、決定的な理由があります。
彼は、素っ裸だったのです。
一応、靴は履いていました。
しかし、足首から上は、何も着ていません。
一言で言えば、変態です。
変態だけれど、めちゃくちゃ親切。
いいヤツなのかそうでないのか、よく分かりませんが、こういう人は、場合によっては逮捕されるということだけは確実です。
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