今回は、一日中机にかじりついている学生には、ちょっと心配な話です。
座りっぱなしが体に悪い、というのは、かなり以前から言われていますし、専門家に言われるまでもなく、運動不足による弊害があることは、誰でも想像がつきます。
しかし、座りっぱなしの生活は、肉体面だけでなく、精神面にも悪影響があるかも知れません。
最近、イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者が明らかにしたところによると、10代の若者は、一日に座っている時間が長ければ長いほど、うつ病の兆候が現れやすいのだとか。
具体的には、12歳~16歳の被験者について、座っている時間が一日あたり合計7時間~8時間45分の人に、うつ病の兆候が認められたそうです。
症状として深刻ではないものの、そのまま何の対策もせずにいると、将来的にうつ病を発症する可能性も。
ただし、この研究結果は、座っている時間の長さと、うつ病との相関性を明らかにしただけであり、原因・結果の関係性までは分かっていません。
長く座りっぱなしでいることが、うつ病につながるという可能性もありますが、逆に、不安や悩みを抱えている人は、活発に動く気力が減退しがちで、それで座る時間が長くなるということも考えられます。
どちらが正しいのかは、今後の研究を待つしかないですが、いずれにせよ、長時間座ることの弊害を簡単に抑える方法があります。
あまり意外性の無い方法ですが、それは、適度に体を動かすこと。
汗だくになるようなエクササイズでなく、軽い運動だけでも、長時間座ることによるうつ病のリスクを抑えられるそうです。
高齢者が長時間座っているとどうなるのか
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上記の研究は、10代のうちから座りっぱなしの生活をしていると、大人になったときの、うつ病のリスクが上がる、というものでした。
では、高齢者が座りっぱなし生活をするとどうなのか。
これに関しては、アメリカのカリフォルニア大学で、約1500人の64歳以上の女性について行われた研究があります。
それによると、一日に10時間以上座っている生活は、老化を8年も縮める可能性があるとか。
座ったまま体を動かさないでいると、染色体の末端部位であるテロメアが短くなり、それが老化を早めることにつながります。
座っているだけで8年も老化が進むというのは、なかなか恐ろしい話ですが、これについても、先程と同様、一日に30分ほど積極的に体を動かすようにすれば問題ないそうです。
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猫背で座ることは本当に体に悪いのか
Kirgiz03/Pixabay
学校での授業中、鼻の先が教科書につきそうなくらい背中を曲げていると、教師から、「ちゃんと背筋を伸ばせ!」と叱責された経験は無いでしょうか。
一般的に、猫背が体に良くないとされる理由は、背中を曲げることで、頭部を支える背骨の負荷が大きくなり、これが、腰痛などのトラブルを招くからとされています。
しかし、イングランドにあるノースティーズ大学病院が、2018年に発表した論文によると、猫背でいるのは、悪いことばかりではないようです。
背中を曲げることで、背骨の周りの筋肉が弛緩し、腰にかかる負担も軽くなるのだとか。
逆に、足の裏をぴったり床につけ、肩を後ろに引いて胸を張るような、いかにも学級委員長っぽい座り方は、長時間続けると、背中や腰の負担が大きくなります。
結局、背筋を伸ばして座る場合も、猫背で座る場合も、同じ姿勢を長く続けることが問題なのだと言えそうです。
よって、ときどき席を立って少し歩いたりすれば、猫背で座っていることに罪悪感を抱く必要はありません。
猫好きで猫舌で猫背の筆者も、このまま猫背ライフを続けようと思います。