我々の生活にとって欠かせない要素の一つである睡眠。
一日の終わりに、ベッドの中でまどろむ時間がたまらなく好きだという人も多いでしょう。
その睡眠に関しては、まだまだ科学的に解明されていない部分も多いとされています。
さらに、睡眠が関係した様々な病気も存在します。
今回は、そういった非常に稀な病気の数々をご紹介しましょう。
〈originally posted on Audust 15,2015〉
1 眠れる森の美女
という名の15歳の女性は、ときどき眠りに入ると数日間眠ったままになってしまうという珍しい症状を患っています。
これは、「クレイン・レヴィン症候群」と呼ばれるもので、別名「眠れる森の美女」症候群とも呼ばれています。
世界に1000人弱の患者がいると見られているのですが、彼らは数週間から数ヶ月間は、正常な睡眠パターンで全く普通の生活を送っているのです。
ところが、突然何の前触れも無くこの症状が現れ、数日間の「長期睡眠」に入ってしまいます。
そして、その状態になると、体を激しく揺するなどして起こそうとしても、完全に目覚めることは無く、またすぐに眠ってしまうのだとか。
現在のところ、この病気の原因や治療法については不明な部分が多く、ハッキリと言えるのは、「十代に多く見られる症状である」ということと、「8~12年ほどで自然に治る」ということのみ。
先ほどのルイーザさんは、これまで最長で13日間も眠り続けたことがあり、彼女の両親は、お風呂や食事のために、ときおり無理やり彼女を起こすのだそうです。
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2 毎日が時差ボケ状態
人間は、光の届かない洞窟で生活したとしても、1日の長さを大体把握することができます。
これが、「体内時計」によるものであることは、ご承知のとおり。
普通の人の体内時計は、厳密には24時間よりも少し長めになっているらしいのですが、ごく稀に、これが数時間もズレている人がいます。
これは、「フリーランニング症候群」などと呼ばれたりするのですが、例えば体内時計が28時間に設定されてしまっている人であれば、1日24時間に収まりきらない4時間分を日中に取り戻すべく、猛烈な睡魔に襲われるのだそうです。
言ってみれば、常に時差ボケを感じているのと同じ。
興味深いことに、この症状は「全盲」の人であっても全く同じように現れるので、この事実から、人間の体内時計は外部からの「光」の刺激とは無関係であるとされています。
3 居眠り病
居眠り病は、「ナルコレプシー」とも言われ、睡眠に関する症状の中でもかなり有名なものでしょう。
この症状を持つ人は、ごく普通の日常生活を送っているときに、突然眠りに入ってしまいます。
我々の睡眠は、夢を見るときの浅い眠りである「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」に分かれるとされていますが、ナルコレプシーの患者は突発的に、前者のレム睡眠に入るのです。
結果的に、1日の中で深い眠りを得られる時間が少なく、睡眠不足に陥って、それがさらにナルコレプシーを助長する、という悪循環になります。
この病気の原因はいまだに完全には解明されていません。
治療には抗うつ剤などが使われれ、また、遺伝的な要因もあるそうです。
4 爆笑して爆睡
先の「ナルコレプシー」の予兆とも見られる症状に、「カタプレクシー」というものがあります。
突然眠りに入ってしまうという点は同じなのですが、特徴的なのは、それが激しい感情の変化がきっかけになって起きるということ。
クレア・スコットという女性は、「笑う」ことで急に睡眠状態になるという珍しい症状を持っています。
あるとき、彼女の娘が、学校で言った冗談を家でクレアに言ったところ、彼女はあまりのバカバカしさに爆笑してしまったのですが、次の瞬間にはキッチンで夫に抱きかかえられていたのだとか。
爆笑した直後に爆睡してしまったという事実を全く覚えていなかったのです。
彼女は、自分の特殊な症状に早くから気づいていたようで、眠りに落ちていくのが意識できるときもあれば、急に意識が無くなるときもあると話しています。
道を歩いているときに突然寝てしまったこともあり、そのときは、目覚めると周りの通行人が怪訝な顔で彼女を覗き込んでいたとか。
ちなみに、この症状を持つ患者は、症状の軽いものも含めると、白人全体の1万人に5人程度と言われています。
5 睡眠中に食事
夜中に食事をするのが自制できない「夜食症候群」という症状があるのですが、この場合は本人の意識がハッキリしており、自分が何をしているのかも自覚しています。
しかし、睡眠中に無意識のうちにキッチンまでふらふらと歩いていって、物を食べてしまうという症状もあるのです。
この場合、本人には、夜中にわざわざキッチンまで行って食事をしているという自覚がありません。
また、実際に食事をしているときは、行動が荒っぽくなり、周りに人がいたりすると、その人に危害を加える可能性もあるそうです。
実例として、アンナ・ライアンという女性は、この病気が原因で27kgも太ってしまいました。
彼女は、十分な睡眠時間を確保しているにも関わらず、疲れが溜まる一方なのを不審に思い、医師に相談したところ、この症状を持つことが明らかになったのでした。
6 睡眠中に突然死
幼児が、睡眠中の呼吸停止などで死んでしまう、乳幼児突然死症候群という症状がありますが、これからご紹介するのは、大人が睡眠中に突然死亡するという症状です。
原因の多くは、寝ている間に心不全と同じような状態になることにあると考えられています。
しかし、このように医学的な説明がなされるようになったのはかなり最近の話で、この病気が多く見られる地域である東南アジア諸国では、「超自然的な現象」だと一般的に信じられていたようです。
例えば、ラオスでは、恋人に振られた女の霊が現れて寝ている男性を殺す、と考えられていたので、この死を恐れた男性の中には、女装をして寝る人もいたのだとか……。
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