予想外の展開
、あるいは、どんでん返しというのは、映画やドラマ、小説などではお馴染みです。
刑事ドラマなんかで、ずっと捜査に協力していた「善人」のキャラクターが、実は事件の真犯人だった、というのは、よくある展開でしょう。
ただ、こういう予想外の展開は、フィクションの世界で起きるからこそ楽しめるもの。
現実の日常で起きると、たいていの場合、良い結果は待っていませんから……。
〈originally posted on November 7,2020〉
1 強盗犯を捕まえたと思ったら……
2019年12月、イングランドのドーセットという田舎町で、ある店に複数の強盗犯が押し入り、金品を奪って逃走しました。
その直後、店の主人が現れて、犯人を追いかけます。
その現場をたまたま目撃していた通行人の一人が、強盗事件が発生したという状況を瞬時に把握し、店主に加勢すべく、逃げていく犯人たちを全速力で追跡。
そして、犯人に追いついて、取り押さえようとしたそのとき。
一人の男性が、どこからともなく犯人グループをかばうように割り込んで来たのです。
その男性は、ラッド・ブラウンという名の映画監督。
実は、強盗犯も店主もすべて役者でした。
つまり、彼らは、インディーズ映画を撮影していたのです。
それを、偶然そばを通りかかった人が、本当の強盗事件だと思い、「犯人」を逮捕しようとしたというわけ。
普通、町の中で映画の撮影をしていれば、誰でもそれに気づくはずですが、このときは、周りから見えにくい位置にカメラが設置されていたため、勘違いされてしまったのでしょう。
映画の制作者側は、この町の人々が互いに協力し合う精神に感銘を受けた、とコメントしています。
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2 山道にキレイな花を置く親切な人がいると思ったら……
ツイッターやフェイスブックは、日々のちょっとした感想を手軽に書き込める点で便利ですが、何ら悪意の無い書き込みが原因で、非常識な人間だとみなされることもあります。
2019年7月、イギリス在住のヘレン・チャンバレンという女性は、地元の人々の親切な行為に触れて嬉しくなり、その気持をネットに投稿しました。
彼女は、デヴォン州プリマスにある、ウィトリー・ウッズという森の中をよく散歩するのですが、ある日その山道に、いくつもの花が置かれているのを見つけたのです。
「親切な人が、ウィトリー・ウッズに花を置いてくれたおかげで、気分が明るくなったわ!」
彼女はこのメッセージとともに、その花の写真をフェイスブックに投稿。
しかし、この直後、ヘレンはその投稿を激しく後悔することになりました。
フォロワーからの指摘で分かったことなのですが、それらの花は、実は、ある殺人事件の被害者に手向けられたものだったのです。
2004年9月、プリマスに住むジュリー・クロッカーという女性が行方不明になり、2006年1月、ウィトリー・ウッズの中で、彼女の死体が発見されるという事件がありました。
ヘレンは、その事件のことを知らなかったのでしょう。
よって、悪気は全く無かったのですが、献花を見て「気分が明るくなったわ!」とコメントしてしまったのは、何とも気まずい話です。
3 バスルームに侵入者がいると思ったら……
2019年4月、米国オレゴン州ワシントン郡の警察署に、怯える女性の声で通報がありました。
「バスルームに誰かが侵入しているんです!」
「ドアの下からわずかに人影が見えるわ」
このような説明を受けてから約7分後、警察官たちが女性宅に到着。
家に入った彼らは、バスルームのドアの前で、
「抵抗せずに出てこい!」
などと、お決まりの台詞を連発しました。
しかしながら、バスルームにいると思われる犯人は、せわしなく動くままで、出てくる気配は無し。
約10分の膠着状態の後、警察官たちは遂にドアを開け、銃を構えました。
すると、彼らの目の前にあったのは、警察官の言葉を借りれば、
「完璧な仕事をこなしている真っ最中のルンバ」
だったのです。
その女性は、いつの間にかバスルームに入り込んでいた、お掃除ロボットのルンバを、侵入者と勘違いしていました。
その後、「侵入者」であるルンバの写真を、警察がフェイスブックに投稿したところ、多くの人から反響があったそうです。
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4 隣人がバーベキューをしていると思ったら……
小さな子供は、身の周りで起きる様々なことに、すぐに強い興味を示します。
子供の無邪気さの表れと言っていいのかも知れませんが、時にはそれが、悪夢のような展開につながることも。
2017年9月某日、イギリスのロンドンにあるサウスフィールズで、ある母親が、8歳の息子と近所を散歩していたときのこと。
その男の子は、庭でバーベキューをしているカップルを見つけると、大声でこう叫びました。
「ねえ、バーベキューをしてるのなら、僕たちも混ぜてもらえない?」
こういうとき、親としては、「ご迷惑だからよしなさい」と子供に言うことが多いでしょう。
その母親も、息子がバーベキューに参加しようとするのを、止めさせました。
ただし、「ご迷惑だから」という理由ではありません。
バーベキューにしては、ちょっと匂いが普通ではないことに気づいたからです。
さらに、他の住民からも、「ガスのようなニオイがする」などといった苦情が。
その日の午後6時半ごろ、市民からの通報を受けた警察官が、問題のカップルの家を訪問。
警察官が、その家の庭を調べてみたところ、そこで行われていたのは、バーベキューではありませんでした。
焼かれていたのは、確かに「肉」なのですが、それは、牛のものではなく、人そのもの。
被害者は、ソフィー・リヨンネという21歳の女性です。
彼女は、フランス北東部の町トロワからイギリスに移住し、1年以上暮らしていました。
ソフィーをよく知る人たちの話では、彼女は非常に礼儀正しくて、明るい人だったとか。
そんなソフィーを殺害したのは、40歳の男と34歳の女。
彼らはすぐに逮捕されています。
それにしても、無邪気にバーベキューに加わろうとしていた男の子に、その母親は、真実をどう説明したのか。
ちょっと気になります。