実際に商品化されても売れる可能性ゼロと思われる、奇妙な特許の数々をご紹介します。
特許と聞くと、主婦のアイデアグッズを連想する人が多いのではないでしょうか。
毎日家事をこなしていく中で、「こういう商品があれば便利なのに……」という発想を実際に製品化し、それで特許を取得する人は珍しくありません。
その商品が雑誌やテレビなどで紹介され、一気に大ヒットとなれば、一攫千金も夢ではないでしょう。
一方、およそ大ヒットには程遠いトンデモ発明を特許申請する強者もいます。
そういった強者たちの発明を以下で取り上げていますが、これらはすべてアメリカで実際に特許が認められた例です。
〈originally posted on June 22,2017〉
1 絶対に疲れないマグネット眼鏡
筆者は普段メガネをかけているのですが、メガネはコンタクトレンズと比べて手入れが簡単というメリットがある反面、不便に感じる所も色々あります。
デイヴィッド・ペシェルという男性にとって、眼鏡の中で特に不便に感じていた部分は、テンプル(つる)でした。
確かに、長時間メガネをかけていると、こめかみが締め付けられるように感じることがあります。
ならば、テンプルを耳に引っ掛けないようにすれば、眼鏡を何時間かけ続けても快適でいられるはず。
その夢のような眼鏡を彼は発案しました。
具体的には、前後に大きく湾曲した眼鏡フレームの両端に磁石が埋め込まれているのです。
この眼鏡を使用するために、コインのような形の磁石を予めこめかみの辺りに付けておきます。
つまり、眼鏡を顔に近づけるだけで、磁力でカチッとフレームが固定される仕組みです。
もうお気づきでしょうが、この発明の最大の難点は、こめかみに磁石を貼り付けておかねばならないところ。
それが面倒だという人は、手術で磁石をこめかみに埋め込んでしまうしかありません。
ちなみに、このアイデアは特許が取られているものの、未だに商品化されていないようです。
その理由はおそらく、いちいち磁石を貼るより、普通の眼鏡を普通にかける方がはるかにお手軽だからでしょう。
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2 人身事故かどうかを見極めるバンパー
具体的な原理はよくわかりませんが、車のバンパーに特殊なセンサーを組み込むことで、車が何かにぶつかったとき、それが電柱などの「物」なのか、あるいは「歩行者」なのかを判定してくれるシステムを発明し、2001年にその特許を取得した人がいます。
衝突直前の車の速度変化などを判断材料に含め、かなりの高確率で、自分が人身事故を起こしてしまったのかが分かるのです。
このシステムは、ぶつかった対象が物なのか人なのかを判定してくれるだけで、衝突そのものを避けるような機能は何も備わっていません。
「衝突ありき」の発明なのです。
どうせなら、衝突を回避できる発明の方が良かった気がしますが……。
ひき逃げ事件で捕まった犯人はときどき、
などと言うことがありますが、この発明はそういう場合にこそ真価を発揮するのかもしれません。
3 便ふたロック
「便ふたロック」とは、新しい音楽ジャンルのことではなく、便ふたにロックをかけて開かないようにする発明のこと。
便ふたが、便座もろとも便器にガッチリと固定されて、ロックを解除しないことにはふたが上がらず、用が足せません。
この奇妙な発明の目的は一体何なのか。
その衝撃の答えは……。
・・・・・・。
・・・。
分かりません。
誰にも分かりません。
発明者本人を除いて。
発明したのが女性であることを考えると、何度注意してもトイレを汚すダンナへの制裁として思いついたのかもしれません。
4 ダイエット・マスク
ダイエットを確実に成功させるには、ある程度は食事を制限する必要があります。
しかし、それがなかなか出来ないから誰しも苦労するわけです。
そこで発明されたのが、ダイエット用マスク。
通常のマスクであれば、口を覆う部分はガーゼか不織布ですが、それが「小さな鉄格子」になっているのです。
さらに、金具を使って顔面に固定するので、そう簡単には外せません。
これにより、呼吸と会話以外で口が使えなくなります。
どんなに意志の弱い人でも食べ過ぎを防ぐことができる……というか、何も食べられません。
家の中での使用を想定した発明でしょうが、外でも使う度胸があれば、さらなるダイエット効果アップは間違い無いでしょう。
5 必殺・横方向ブランコ揺らし
子供のころにブランコで遊んだ経験の無い人はまずいないでしょう。
ブランコあるあるとして、たいていの子供(特に男の子)は、普通にブランコをこぐのに飽き足らず、狂ったように大きく前後に揺らし、勢いに任せて前方に飛び出した挙句、着地に失敗して膝を擦りむくのです。
しかし、ブランコを左右に揺らして遊んだことのある人は少ないはず。
そして、そこに目を付けてしまった人がいました。
水平に伸びた木の枝に2本のチェーンでブランコを取り付け、それを左右に揺らして遊ぶこと自体を、スティーブ・オルソンという男性が2000年に特許申請したのです。
この特許に基いて具体的に何か商品を作るわけではなく、あくまでこのブランコの遊び方自体が特許の対象なのです。
多分オルソンは、ブランコを左右に揺らしてみた瞬間に、こんなヤバイ遊び方を思いついた奴など他におるまいと考え、特許を申請したのでしょう。
6 最強のいびき防止装置
薬局に行けば、いびき防止グッズが色々と置いてあります。
そういった商品を実際に試してみて、大して効果が無くてガッカリさせられた方もいるかもしれません。
しかし、どんなにいびきの酷い人でも確実にそれが改善される器具が発明されました。
見た目は、少し大きなチョーカーといった感じの器具で、それを首に巻いて寝るだけでOK。
寝ている間にいびきを感知すると、首に電気ショックを与えて無理矢理に起こすという恐ろしいグッズです。
確かに、これを利用すればいびきは無くなるでしょう。
いびきをした瞬間に目が覚めるわけですから。
しかし、冷静に考えれば、そもそもこんな危険なモノを首に巻いた状態で眠れる人がいるのかが疑問です。
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7 アニマル・トイ
発明の歴史のなかで、もっとも狂った特許といっていいのが、「アニマル・トイ」。
「アニマル」とありますが、犬に限定された、ペット用のおもちゃです。
そして、ある意味超画期的なアニマル・トイの驚くべき正体がこちら。
ただの枝ではないかと思われた方。
その通りです。
ただの枝です。
林に行けばいくらでも手に入る枝を特許申請したのは、ロス・ユージーン・ロング3世という男。
彼は「枝」で特許を取得した、最初で最後の人間です。
おそらく彼は犬を飼っていたのでしょう。
そして、公園で犬を連れて散歩しているとき、何気なく拾った枝を放り投げたところ、犬が全力疾走で枝を追いかけて行き、それを咥えて戻って来たに違いありません。
そのとき彼は、全身に電流が走るほどの衝撃を覚え、
という驚愕の事実に気づき、特許を申請せずにはいられなくなったのです(……多分)。
それにしても、これで特許を申請することにも驚きですが、それが却下されずに特許として認められることも凄いとしか言いようがありません。