校則は何のためにあるのか。
日本の学校に限定して言えば、その理由は単純です。
学校が生徒を管理しやすくするため。
これに尽きます。
生徒の健全な成長のため、などという理由付けは、単なる屁理屈に過ぎません。
換言すれば、校則は生徒のためではなく、学校のために存在するのです。
〈originally posted on September 30,2018〉
1 トイレ禁止令
先日、イギリスのイースト・サセックスで、生徒が下半身血まみれで帰宅するという「事件」が起きました。
その生徒は、ヘイスティングス・アカデミーという学校に通う11歳の女の子。
一体何事かと驚いた母親が本人に事情を聞き、さらに衝撃を受けます。
彼女の娘は、授業を受けている最中に初潮を迎えてしまい、トイレに行かせてくれと教師に伝えたのですが、それを拒否されたのです。
その理由は、「トイレット・パス」を持っていなかったから。
トイレット・パスというのは、医師が作成する証明書の一種で、生徒が(休み時間ではなく)授業中にトイレに行かざるをえないような健康状態にある場合に発行されます。
ちなみに一通15ポンド(約2200円)。
その女の子は、このトイレット・パスが無かったために、トイレに行かせてもらえなかったのです。
この事実を知った母親は、怒り爆発。
本人に何の責任も無いのに、たかがトイレに行くために15ポンドの証明書が事前に必要というのは、どう考えても理不尽であると学校に苦情を言いました。
もともと、このトイレット・パスのルールは、生徒が授業をサボろうとして頻繁にトイレに行くのを防止する狙いがあったのです。
しかし学校側は、今回のケースはあまりにも柔軟性に欠ける対処だったことを認め、謝罪しました。
【スポンサーリンク】
2 「ベスト・フレンド」禁止令
トイレにも行けない校則はさすがに度が過ぎる気がしますが、しかし厳しい校則が常に悪い結果しか生まないとは限りません。
ニューヨークにあるオーチャード・パーク高校では、廊下での私語が禁止されており、ルールを破った生徒たちはその都度校庭に整列させられます。
昼食も、生徒どうしで楽しく会話をしながらというわけにはいかず、担任と一緒に、特定の話題についてディスカッションしながらになります。
何とも息苦しい感じがしますが、同校のシアラ・ウォーノック校長によれば、この校則を導入してから、停学や退学などの処分を食らう生徒の数が半減したのだとか。
一方、厳しい校則というわけではないものの、その存在理由が少し理解しがたいものもあります。
近年、欧米では、生徒に対し「ベスト・フレンド」という言葉の使用を禁止する小学校が増えつつあるのです。
その背景には、子供たちに、より多くの友人を作って欲しいという狙いがあります。
特定の友人だけをベスト・フレンドにしてしまうと、交友範囲が極めて小さいもので完結してしまい、協調性が育たない恐れがあると考えられているのです。
教育分野の専門家の中にはこの校則に賛同する人も多いようですが、言葉の使用を禁止しただけで実効性があるのかはやや疑問です。