ジャングルポケットの斉藤慎二が女性に性的暴行を働いたということで書類送検された。
これについては斎藤の奥さんが事実と異なる部分があるとして反論している。
どうやら被害女性の側が同意していた可能性があるらしい。
それゆえ、ネット上では「ハニートラップではないか」という声も上がっている。
その真偽のほどは分からないし、それは僕にとってはどうでもいい。
しかし、どうでもよくないのは各テレビ局の報道の仕方だ。
復活 謎の「何某メンバー」
TBSや日テレ、NHKなどは斉藤慎二のことを「斎藤メンバー」と呼称している。
この表現を見ると、懐かしさを覚える人も多いことだろう。
かつて、元SMAPの稲垣吾郎が公務執行妨害罪を犯した際、各局は悩んだ。
天下のジャニーズ事務所のタレントであるがゆえ、呼び捨てにするわけにもいかず、かといって「稲垣容疑者」とするのも気が引ける。
そういった忖度が重なったすえ、「稲垣メンバー」という奇妙奇天烈な日本語が登場したのである。
この事件が報道された当時、やはりネット上では「稲垣メンバーって何?」という疑問の声が多かった。
その後、稲垣メンバーという臆病な呼び方が忘れさられたころ、またもや「山口メンバー」が現れる。
これまたジャニーズ事務所である。
そして山口メンバーが記憶から消えかけたころに、今度は斎藤メンバーが現れた。
吉本興業といえば、旧ジャニーズ事務所に勝るとも劣らぬ影響力を持つから、やはり忖度が働いたのか。
それにしても、「大手事務所の芸能人だけ特別扱い」というテレビ局の態度はいつまで経っても変わらない。
バスの中で性的暴行に及んだのが、例えば「田中太郎」という売れないタレントであれば、呼び捨てで報道していたに違いない。
その田中太郎が趣味でロックバンドを組んでいたとしても「田中メンバー」と表記される可能性は全く無い。
民放は、大手事務所の存在が怖いゆえに、刑事事件を犯した可能性のある者についてさえ呼び捨てに出来ないのだ。
数多の被害者を生んだ旧ジャニーズ事務所に対する歪な気遣いの体質が、テレビ局にはいまだにこびりついていることをよく示している。
驚くことに(或いは驚くべきではないのかもしれないが)、実質税金で成り立っているNHKでさえ「斎藤メンバー」状態である。
情けないことこの上ない。
僕の知る限り、テレビ朝日だけは「斎藤氏」と表現していた。
「メンバー」よりははるかにマシだが、「氏」を付ける必要はそもそも無いだろう。
疑問 メンバーじゃなかったら?
テレビ局は絶対に学習しない。
学習できるようになったら、それはテレビ局の否定である。
だから、旧ジャニーズ事務所問題のときのような「忖度報道」を今後も繰り返す。
何度も何度も繰り返す。
それでこそテレビ局なのだ。
では、今後、ある大手事務所のタレントが逮捕されたとして、その人物が「メンバー」ではなかったらどうなるのか。
いかなるグループにも所属せず、ピンで活動している場合、どう報道するのか。
仮に、そのタレントが過去にグループで活動していたのなら、「元メンバー」を付けるだろう。
これはこれで滑稽な表現だけれども、事実かどうかという点から見れば、別に間違いではない。
では、過去にもグループで活動していた期間が全く無い場合はどうか。
そうなると、さすがに「元メンバー」は使えない。
よって、「氏」を付けるのが妥当なところか。
いや、それでも頑なに「メンバー」を使用する可能性はある。
人間だれしも人類という大きな集合体のメンバーだと捉えればいいではないか。
若しくは、人間は皆、宇宙船地球号の乗組員であるとすることもできる。
言うまでもなくアホな考え方だが、「稲垣メンバー」「山口メンバー」「斎藤メンバー」というアホな日本語を平気で使える人たちなのだから、彼らがこういうアホな考えに至る可能性はゼロではない。
次は一体誰が「メンバー」になるのだろうか……。