もう我慢ならん
。
血のつながりとか関係ない。
相手が親だろうと何だろうと訴えてやる。
そうやって本当に訴訟を起こした人たちをご紹介します。
〈originally posted on February 22,2017〉
1 自分の存在に納得がいかない息子
1963年、ジョゼフ・ゼペダという少年が父親を訴えました。
その理由は、自分が生まれる原因を作ったから。
つまり、彼にとっては自分自身こそが悩みのタネでした。
実は、ジョゼフは父親とその愛人との間から産まれた子なのです。
自分が婚外子であることから来るストレスや社会的偏見に苦しんだ彼は、父親に損害賠償請求訴訟を提起。
しかし、いざ裁判が始まると、裁判所は少年の主張に共感を示したものの、その請求自体は棄却しました。
その理由の一つは、彼の主張を正面から認めてしまうと、同じような境遇で育った者からの訴訟が激増することが予想されたからです。
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2 フェイスブックに自分の恥ずかしい写真を投稿された娘
オーストリア在住のある女性(アンナという名前だけ公表されています)は、14歳のときに初めてフェイスブックのアカウントを取得しました。
自分の両親もフェイスブックを利用していたので、そのページを覗いてみたところ、彼女にとってあまり知りたくない現実が待っていたのです。
アンナの両親は、彼女が幼い頃からの成長記録を大量の写真に収めており、それらをフェイスブックに投稿していました。
まだ小さいときの写真とはいえ、中には素っ裸で寝ているものや、トイレで用を足しているものも。
合計で500枚を超える写真が、全てアンナに無断で投稿されていたのです。
そんな恥ずかしい写真が、自分の知り合いも含めた世界中の人の目に晒されることに耐えられず、彼女は両親に写真の投稿を止めるように何度も申し入れます。
しかし、彼らはまったく聞く耳もたず。
頭にきたアンナは、2016年9月、自分が18歳になるのと同時に両親を訴えました。
これに対し、彼女の両親は、写真は全て自分たちの所有物であり、それを投稿することには何の違法性も無いと主張。
裁判の決着はまだ付いていませんが、アンナの弁護士によれば、彼女がこの裁判に勝つ可能性はかなり高いとのことです。
その根拠は、ヨーロッパの多くの国では他人が写った写真を勝手に使用することが法律で厳しく制限されているから。
例えば、フランスでは親が自分の子供を撮影した写真を勝手に投稿しただけで、最高5万ドルの罰金が科せられることもあるのです。
3 妊娠中に酒を飲み続けた母親
2014年、イギリスに住むある女性が、7歳の娘の代理人から訴訟を提起されました。
事の発端は、彼女が娘を身ごもったときまで遡ります。
17歳の若さで妊娠したとき、その女性は毎日浴びるように酒を飲んでいました。
その量は尋常ではなく、1日あたり缶ビール8本、ウォッカ半ボトルです。
これにより、彼女の娘は「胎児性アルコール症候群」を伴って生まれ、脳のダメージが元で発達障害・記憶障害などに苦しむことに。
そして、恐らくは一生涯に渡って必要となるであろう医療的ケアの補償を求めるべく、娘の世話に当っている者から訴えられたのです。
しかしながら、裁判で原告側の主張は退けられました。
妊娠中に酒をガブ飲みすることは違法な行為とまでは言えず、また、法律的に「人」と認められる存在に対して傷害を加えたわけではない、というのがその理由です。
4 親を訴えたホームレス
2013年、ニューヨークのブルックリンに住むバーナード・ベイというホームレスの男性が両親を訴えました。
その理由はなんとなく予測がつくかと思いますが、彼が置かれている現状が関係しています。
ベイは、両親から愛情を注がれた経験が無く、子供の頃から常に疎外感を感じていました。
しかも、父親からは虐待を受けつづけ、12歳のとき彼は遂に家を飛び出します。
それからは、シェルターの内外で不安定な生活を続け、刑務所で服役していた時期もありました。
そして気づいてみれば完全なホームレス状態に。
その原因を作ったのは両親以外にはありえないと考えて、ベイは訴訟を起こしたのです。
ここまでの事実からは、彼は両親に恨みしか抱いていないような印象を受けますが、実は少し違います。
彼は請求内容として、20万ドルの賠償金に加え、やや変わった要求をしていました。
それは、実家を担保に入れてでも、ドミノ・ピザのようなフランチャイズの店を二店舗経営すること。
これには、孫の代まで含めて家族全員が働ける場所を確保する狙いがあったのです。
さらに、もし両親が食事でもしながらじっくり話し合いに応じてくれるのであれば、ベイはすぐに訴えを取り下げると語っていました。
5 気の利かないプレゼントを用意した親に5万ドル訴訟
誕生日プレゼントにはPS5かNintendo Switch(有機ELモデル)が欲しいと言っていた子供に、ゲーム機のことをよく知らない親がツインファミコン(中古)を買ってきたとしたら、それはもう悲劇といっていいでしょう。
ただ、そんな場合でも子供が親を訴えるような事態に発展することは考えられません。
しかし、米国イリノイ州では実際にそんなことがあったのです。
キンバリー・ギャリティという女性は、1995年に離婚してから、息子のスティーヴンと娘のキャスリンを女手一つで育ててきました。
3人は150万ドルの豪邸に住み、何不自由の無い生活を送っていたのです。
ところが、18歳に達したスティーヴンとキャスリンによって、2011年にキンバリーは訴訟を起こされます。
その驚くべき理由の一つは、子供の頃にスティーヴンが母親から受け取ったバースデー・カードに、現金が添えられていなかったから。
その他、キンバリーが門限にうるさかったことや、マナーに厳しかったことなども理由に挙げられていました。
そして、それらによって被った精神的苦痛に対して5万ドルの賠償金を請求したのです。
バースデー・カードが自分の望んでいたものと違っていたから5万ドルを請求するというのは、訴訟大国のアメリカといえど驚きといわざるをえません。
結局、おおかたの予想通り、この請求は棄却されました。
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6 親との絶縁を果たした息子
1980年7月28日に生まれたグレゴリー・キンズリーは、アメリカで初めて、子供の側から肉親との法的な関係を断つのに成功した人です。
彼は幼い頃、かなり過酷な生活を送っていました。
父親はアルコール依存症で、母親は半ばホームレス同然の状態。
住む場所といえば車の中くらいで、それゆえに転校を繰り返していました。
そんなグレゴリーは10歳のとき、里親であるラス夫妻に引き取られます。
その家では、家族の絆や愛情といった、彼がそれまで味わったことの無いものが満ちていました。
しかし、グレゴリーが12歳のとき、産みの母親であるレイチェルが息子を取り戻そうとします。
それに対しグレゴリーは、レイチェルから親権を完全に奪い、ラス夫妻の養子になるために法的手段に訴えました。
裁判所は、グレゴリーが母親からまともな育てられ方をしていない事実を重視し、彼の請求を全面的に認めたのです。
彼は現在、ショーン・ラスという名前で新たな人生を歩んでいます。