頭の良い人が羨ましい。
これは僕が常日頃から思っていることです。
難関大学を卒業し、難関資格を取得し、一人で何人分もの能力を発揮する人に比べると、自分の不甲斐なさが時々情けなくなります。
僕が持っている資格と言えば、英検4級と漢検4級くらい。
頭の良い人から一笑に付されるレベルです。
しかし、頭の良い人にも何かマイナス面はあるはず……。
〈originally posted on July 31,2019〉
1 独りでいる方が幸せ
賢い人、特に研究が好きな人は、部屋にこもって独りで黙々と研究に没頭するイメージがあります。
知能が高すぎるがゆえに、凡下の輩と交わることが苦痛なのでしょうか。
それは流石に言い過ぎかも知れませんが、あながち間違いでもないと思わせる研究があります。
IQが高い人の特徴を調べるため、シンガポール・マネジメント大学で15000人を対象にして行われた調査がそれです。
それによると、知能の高い人々は、独りでいる時の方がより幸せなのだとか。
ただし、これは必ずしも彼らの人付き合いが悪いということではありません。
賢い人は、独りでいる方が快適であるにも関わらず、人付き合いは普通にこなすのです。
そうなると、IQの高い人ほど、日常生活において幸せを感じられない時間が長いと言えるかも知れません。
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2 趣味の悪い冗談が好き
「私ね、知人の結婚式に出席する度に、『次はあなたの番よ』って周りから言われるのが大キライだったの」
「だからこの前、私も周囲の奴に言ってやったのよ。『次はあなたの番よ』って」
「ま、私が言ったのは、お葬式でなんだけどね」
こういう趣味の悪い冗談で笑ってしまうと、場合によっては他の人から顰蹙を買いかねません。
人間性を疑われる可能性もあります。
しかし、頭の良し悪しという点だけで見れば、それほど負い目に感じることでもないのです。
オーストリアにあるウィーン大学で行われた研究によると、悪趣味な冗談を好む人は、高い知能を持つ傾向にあるのだとか。
ユーモアのセンスに知能指数が関係していることは以前から研究者の間で知られていました。
このウィーン大学の研究は、その結論を一歩進め、悪趣味な冗談を理解するには、脳内でより高度な情報処理を必要とするのだと推測されています。
3 不安障害になりやすい
唐突ですが、「メンサ」という組織をご存知でしょうか。
これは、IQの高い天才だけが入会を許された国際組織です。
その目的は、人類への知的貢献。
IQの高い人が人類をより良い方向へと導いてくれるなら、それはそれで有り難いのですが、少し心配なのは、彼らには天才であるがゆえの弱点もあるということ。
それを発見したのが、アメリカにあるファイザー・カレッジのルース・カーピンスキー教授。
メンサに所属する、4千人近いアメリカ人を対象に同教授が統計を取ったところ、その約20%に「不安障害」が見られました。
これは、一般的な割合のほぼ2倍です。
その理由はまだはっきりとはしていませんが、彼らの持つ高い知覚能力が、ある種の心理的障害を引き起こしているという見方がなされています。
4 暴言を吐く
国会議員がパワハラとも受け取れる暴言を吐き、そのことがニュースで報じられるのは、昨今では特に珍しくなくなってきました。
ただ、少し意外に感じるのは、彼らが皆輝かしい学歴(多くは東大卒)を持っているということ。
暴言・罵言で相手を容赦なく攻撃するのは、どちらかというと、知性の低い人に見られる特徴のようにも思えます。
ところが、科学的に見れば、むしろ頭が良いからこそ暴言を吐くとも言えるのです。
ニューヨークにあるマリスト大学のクリスティン・ジョイ教授らが発表した論文によると、罵言を頻繁に使用する人は、そういった汚い言葉だけでなく、あらゆる言葉についてその運用能力が高く、優れた表現力を有しているのだとか。
普段から汚い言葉を多用する人は、ボキャブラリーが乏しくて教養が無いという印象を持たれがちですが、実際はそれとは真逆の面があるということになります。
それを踏まえれば、超高学歴の国会議員が、秘書などに対し、肺腑をえぐるような罵声を浴びせ、絶望感を与えることがあるのも宜なるかなという感じです。
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5 プレッシャーに弱い
我々が筆算で計算問題を解くとき、掛け算や割り算の計算結果を一時的に脳に保持しながら計算を進めます。
このように、何らかの作業をこなすため、必要な情報をごく短い間記憶することは、一般的に「ワーキングメモリ(作業記憶)」と呼ばれています。
このワーキングメモリは、その容量に個人差があるのですが、それに関して、オハイオ州にあるマイアミ大学で興味深い実験が行われたことがあります。
約100人の被験者を、ワーキングメモリ容量の大きいグループと小さいグループ(以下それぞれ「秀才組」「凡才組」と略記)に分け、特別な条件などは設定せず、彼らに普通に計算問題を解かせました。
すると、秀才組の方が成績がかなり良いという結果に(これは予想通り)。
続いて二回目も同じような問題を解かせたのですが、今度は彼らに「プレッシャー」を与えました。
成績が優秀なグループには報酬が与えられ、また、彼らが問題をどのように解くかを数学教師が評価すると伝えたのです。
その結果、秀才組の成績は、凡才組並みに下がりました。
一方、凡才組の成績は変わらず。
一体なぜ秀才組の成績は下がってしまったのか。
その理由は、彼らのワーキングメモリ容量の大きさが仇になったからです。
先のマイアミ大学のシアン・ベイロック准教授によると、ワーキングメモリ容量の大きい人は、プレッシャーがかかると、「失敗は絶対に許されないぞ」という思考がメモリ内の一部を占有してしまいます。
そのため、大容量のワーキングメモリをフルに活用することが出来ず、凡才組と同じレベルにまでパフォーマンスが低下するのです。
逆に、凡才組はもともと容量の小さいワーキングメモリしか持たないため、パフォーマンス低下につながるような、思考の入り込む余地がありません。
つまり、優秀な頭脳を持つ人ほど、プレッシャーによってその能力が大幅に下がってしまう危険性があるということ。
このことを示す例と言えるかどうか分かりませんが、インテリ芸人として有名なロザンの宇治原さんは、学生時代にセンター試験を受けたとき、たった一つ解けない問題があったために失神し、保健室に運ばれたというレアな体験をしています。
頭の良い人ほどプレッシャー対策を怠ってはならないということでしょう。
それにしても、試験中に失神してもセンター合計点の9割を取って京大に現役合格した宇治原さんは流石。
筆者の場合、自分のバカっぷりにショックを受けて、しょっちゅう失神しそうになってます。