どんな名前を付けようと、親の勝手ではありますが……。
先月の27日、インドのチャッティースガル州ラーイプル市に住む、プリーティー・ヴァルマという女性が、新型コロナウイルスによって都市封鎖が行われている最中、双子を出産しました。
そして、生まれてきた女の子と男の子に付けた名前が、「コロナ」と「コヴィッド」。
言うまでもなく、これらは、いま世界中で、約150万人もの感染者を出しているウイルスの名前です。
よりによって、何故そんな名前を自分の子供に付けたのか。
将来、小学校に入学したときのことを考えると、嫌な予感しかしません。
「ぷークスクス!この教室に、かつて何万人もの死者を出したウイルスがいるぞ!」
などと言いながら、テンション高めで大騒ぎする子供の姿が目に浮かびます。
しかし、母親のヴァルマとその夫は、このような過酷な環境の中で生まれたからこそ、そのことを忘れないように、ウイルスの名前を付けたのだとか。
彼女は、ウイルスの悪い面だけを捉えるのではなく、ウイルスと戦う国民の強さなどをも視野に入れて、子供の名前を決めたのかも知れません。
とは言うものの、やはりこの名前は、子供にとっては無用の試練を強いることになる可能性もあります。
ヴァルマの話によると、ゆくゆくは、名前を変更するかも知れないとのことです。
女の子に「ブルー」と名付けたために裁判沙汰
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子供の名前に関して、物議を醸した例をいくつかご紹介しましょう。
2018年、イタリア人カップルの、ヴィットリアとルカは、生まれてきた女の子に、「ブルー(Blu)」と名付けました。
これは、「美しい」「活発な」「唯一の」という意味の、3つのイタリア語の頭文字をつなげたもの。
個人的には、いわゆる「キラキラネーム」という感じでもなく、非常に良い響きの名前だと思うのですが、残念ながら、この名前は役所に認められませんでした。
その理由は、イタリアの法律では、子供の名前はその性別に合ったものにする必要があるから。
例えて言うなら、日本人の女の子に「幻十郎」と名付けるようなことは駄目なのです。
顔がアイドル並みに可愛くても、名前が「幻十郎」だと、ひょっとしたら将来、独身街道を走り続けることになるかも知れません。
そう考えると、この法律にはそれなりに合理性があります。
しかし、こういった制度に納得のいかないヴィットリアとルカは、法廷で争うことに。
その結果、彼らは勝訴し、子供の名前は「ブルー」に決まりました。
ちなみに、イタリアよりも、子供の命名について厳しいのが、フランスです。
過去に、「リーアム」という、一般的には男の子に使われる名前を女の子に付けようとしたカップルがいたのですが、認めてもらえず、裁判沙汰に。
また、他には「ストロベリー」「マンハッタン」といった名前も却下されています。
それに比べると、日本では、「マコト」や「アキラ」「しのぶ」「レイ」など、女性にも男性にも使える名前が幾つもありますし、命名の自由度は高いと言えそうです。
妻の奇妙な名付け方に悩む夫
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2019年、アメリカの掲示板サイト「Reddit」で、匿名の男性が、もうすぐ生まれる子供の名前についての悩みを書き込みました。
子供の名前をどうするかで悩むのは、別段珍しくありません。
しかし、この男性の悩みはやや特殊でした。
妻の考えている名前が、到底受け入れられるものではなかったのです。
その名前は、決して変な名前というわけではありません。
むしろ、名前としてはごく平凡。
では何が問題なのかというと、その妻は、亡くなった元カレの名前を、子供のミドルネームにしようとしたのです。
夫がそれに難色を示すも、彼女の方は「一体何が問題なの?」という態度。
その男性は、将来、自分の子供に名前の由来を聞かれたとき、妻の元カレに言及することに強い抵抗を感じるのだとか。
しかもその元カレ、亡くなった原因が、薬物の過剰摂取。
彼は、その点についても子供には話したくないそうです。
彼らの子供の名前がどうなったかは定かではないですが、離婚の危機が訪れる日は、そう遠くないような気がします。
イギリスで最悪の名前(2019年版)
最後にご紹介するのは、昨年、新生児に付けられた名前の中で、「イギリスで最悪の命名」という、たいへん不名誉な称号を勝ち取ってしまった名前。
それは……。
ケイトリンです。
おいおい、ケイトリンの一体どこが「最悪」の名前なんだ、と思われた方もいるでしょう。
イギリスでは特に珍しい名前ではありません。
アイルランド語に起源を持つこの名前は、「キャサリン」という名から派生したと考えられており、「純粋」という意味を持ちます。
女の子に付けるには何ら問題ない名前です。
しかし、母親のジェシカ・メイヴィスは、よくある名前だからこそ、「ひねり」を加えようと考えました。
ケイトリンは、英語表記では「Kaitlyn」。
綴りの中にある「ait」が、数字の8を表すエイトと同じ発音であることから、彼女はこの部分だけ、ローマ数字の「VIII」に置き換えたのです。
その結果、子供の名前は「KVIIIlyn」になりました。
「KVIIIlyn」という、まるで暗号のような表記を見て、すぐにケイトリンと読めるのは、見た目が子供の某名探偵くらいでしょう。
ジェシカがこの事実をネットで公表したところ、案の定、多くの人から批判的なコメントが。
「将来この子が大人になって、親がアホだと分かったらどうするんだろう」
と書き込んだ人もいました。