歴史に名を残す偉大な作家たちは、一体どのような生活を送っていたのか。
優れた作品を生み出すだけあって、普通とは異なるライフスタイルだったのか。
こういった面が、気になる人は多いのではないでしょうか。
今回は、ドラキュラ、名探偵ポワロ、トムソーヤなど、世界中で知られているキャラクターを生み出した偉大な作家たちの意外な一面をご紹介します。
いかに多くの人に親しまれる作品を書いても、やはりその作品と作者とは別物。
感動的な物語の作者が、ダークな趣味に興じていることもあるのです。
〈originally posted on November 12,2015〉
1 ブラム・ストーカー
ドラキュラの生みの親として有名な、アイルランド出身のブラム・ストーカーは、小説だけではなくノンフィクションもいくつか書いています。
その中でも異彩を放っているのが、
「著名なペテン師たち(Famous Impostors)」
という本。
この本の最終章で、彼は、ある奇妙な仮説を打ち立てました。
それは、
「エリザベス1世は男である」
というもの。
その本によれば、誰もが世界史の授業で習うエリザベス1世は、10歳の時に病気で亡くなっており、彼女が死んだ事実を封印するため、王室が急いで「代わりの者」を探したというのです。
そして、近くの町に住むエリザベスそっくりの男の子を発見し、彼を女装させ、以降はエリザベスとしての運命を背負わせたとのこと。
しかし、かなり大胆な説の割には、根拠として挙げられているのが、エリザベス1世が基本的に医者にすら体を見せなかったことや、生涯結婚しなかったことくらいなのです。
一説によれば、ストーカーがこんなトンデモナイ仮説を立てた背景には、彼が「全ての女性は愚かである」という蔑視的な考えを持っていたからだとされています。
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2 マーク・トウェイン
『トムソーヤの冒険』などの原作者として知られるマーク・トウェインは、作家以外にも複数の職業を経験していますが、実は、
発明家
としての顔も持っています。
彼の発明品で最も成功したのが、ズボンなどがずり落ちないようにするためのストラップ。
その当時のものは、ストラップ部分だけを取り外せるようになっていました。
そして、マーク・トウェインの発明したストラップは、今もブラジャーのストラップに形を変えて残っているのです。
3 アーサー・コナン・ドイル
極めて論理的・合理的に物事を考える名探偵、シャーロック・ホームズを生んだコナン・ドイル自身は、それとは真逆の面を持っていました。
第一次世界大戦で息子を失った彼は、心霊術を信じ、死者の霊魂と対話することを真剣に考えていたようです。
また、ドイルは、「脱出マジック」を得意とする世界的に有名な奇術師、ハリー・フーディーニと友人関係にあったのですが、いつの頃からか、彼が本当に「超自然的な能力」を持っていると信じ始めていたのです。
ある奇術の中で、ドイルが誰にも分からないように書いたメモの内容を、フーディーニが見事に当てて見せたことがありました。
これには勿論トリックがあるわけですが、この時ドイルは、フーディーニが正真正銘の超能力者であると確信したのだとか。
フーディーニ自身は、そんなドイルに対して、敢えてその考えを改めさせようとはしなかったのですが、それ以来、次第に二人の仲は疎遠になっていったそうです。
4 チャールズ・モンロー・シュルツ
アメリカの国民的な漫画である『ピーナッツ』の原作者。
小説家ではありませんが、便宜上このリストに含めました。
日本では、『ピーナッツ』というタイトルではなく、『スヌーピー』という名前で親しまれていますが、奇しくも作者のシュルツ自身は、この『ピーナッツ』という名前を酷く嫌っていたのです。
実は、この名前は、当時アメリカで放送されていた子供向けの某ラジオ番組内で、観覧に来ていた子供たちのことを「ピーナッツ・ギャラリー」と呼んでいたのをヒントにして、出版社側が命名したもの。
ちなみに、「ピーナッツ・ギャラリー」というのは、もともと劇場内の安い席のこと。
シュルツはこのタイトルのことを、「間抜けで品が無い」として、何度か変更しようとしたそうですが、それが実現する前に『ピーナッツ』は大成功を収め、もはや変更不能となっていました。
また、シュルツはうつ病に苦しんでいたことでも有名で、そのネガティブな心理状態が、しばしばチャーリー・ブラウンの台詞にも表れています。
この点について多くのファンから、
「チャーリー・ブラウンのエピソードで、彼が困難に打ち勝つようなハッピーなものが無いのは何故か」
と尋ねられたシュルツは、こう答えていました。
5 チャールズ・ディケンズ
貧しい人たちを無慈悲に苦しめていた強欲男、スクルージが、3人の幽霊と出会うことで改心するという『クリスマス・キャロル』の物語は、今も世界中の子供たちに親しまれています。
しかし、原作者であるイギリスの文豪、チャールズ・ディケンズは、むしろ子供たちをゾッとさせるような趣味を持っていました。
それは、死体。
彼は、死体に強い興味を抱いていたのです。
執筆活動をしていない時期には、よくパリへ足を伸ばして死体安置所に通っていたとか。
ディケンズは、自分のその奇妙な趣味についてこう語っていました。
彼は、クリスマスや元旦を、死体安置所で死体を眺めながら過ごしたこともあるそうです。
さらに、パリにいない時にはテムズ川周辺に赴いて、警察に死体が無いかを尋ねることもあったというほど、筋金入りの死体好きでした。
6 アガサ・クリスティー
灰色の脳細胞に秘められた推理力で、難事件を次々に解決するベルギー人探偵、エルキュール・ポワロ。
そのポワロを生み出したアガサ・クリスティーは、ポワロの人気が高まるに従って、この名探偵のことが嫌いになっていきました。
そして、ポワロのデビューから25年経った1945年、彼女はポワロを亡き者にすべく、彼の最後の事件となる作品、『カーテン(Curtain)』を完成させます。
しかし、「ある事実」が、この本の発表を思い止まらせました。
それは、「ポワロの物語は儲かる」という事実。
端的に言えば、彼女は「お金のため」に仕方なくポワロに現役続行させていたということです。
その結果、この『カーテン』は日の目を見ることなく、クリスティーの自宅の金庫に保管されることとなるのです。
そして、30年後の1975年、ようやくこの本が出版されてポワロの探偵人生に終止符が打たれ、その翌年にクリスティーは他界しました。
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