YouTubeは、間違いなく我々の常識が通用しない側面を持っています。
最近日本で行われたリサーチによると、小中学生の間で、将来就きたい職業のランキング上位に「YouTuber」が入っているそうです。
子供にとって、YouTuberは夢のような仕事なのかもしれません。
現時点ですでに、小学生を対象にしたYouTuber養成講座もあるくらいですから、今後、この道を目指す人は益々増えていくことが予想されます。
〈originally posted on December 22,2017〉
1 ゲームで遊んでがっぽし稼ぐ
YouTubeで収入を得る手段は大きく分けて二つあります。
一つは、動画再生に伴う広告表示の回数に応じて支払われる報酬。
ただ、この方法である程度の金額を稼ごうと思ったら、少なくとも数万回~数十万回は再生される必要があるでしょう。
もう一つは、スーパーチャットで稼ぐ方法。
スーパーチャットとは、ゲームなどの実況動画を配信しているチャンネルにおいて、視聴者が一定の金額を実況者に支払うことで、チャット欄の自分のコメントを目立たせる機能のこと。
そのチャンネルのファンにとっては、憧れの実況者とコミュニケーションをするきっかけが作れて、なおかつ金銭的に支援することも出来るという、一石二鳥の機能です。
そこそこ人気のある実況者になると、1回の配信で5千円~1万円の収入が得られ、月に10万以上稼ぐ人も珍しくありません。
中には、スーパーチャットだけで月収が100万を超えている人もいるとか。
もちろん、彼らは単純にゲームで遊んでいるだけではなく、「実況」を行っているので、その意味では仕事としての側面もあるでしょう。
とは言うものの、1回あたり1~2時間の配信で月に十万~数十万を稼げるとすれば、普通ではちょっと考えられません。
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2 開封するだけで500万ドル
YouTubeでよく目にする動画の中に、「開封動画」と呼ばれるジャンルのものがあります。
読んで字のごとし、それらの動画内で行われているのは、様々な商品を箱から出すことだけ。
それで終わりです。
ある女性YouTuberは、ディズニーのグッズ(人形など)を開封する動画を投稿するだけで、2014年の1年間で500万ドル以上を稼ぎました。
彼女は自分の顔を一切出さないので、カメラに映っているのは、女性の手が箱からグッズを取り出す様子のみ。
つまり、何か独創的な開封をやっているわけではなく、ごく普通の「開封」です。
グッズを箱から出すところを撮影し、その動画を投稿するだけで億万長者になれる世界。
それがYouTubeなのです。
3 就学前児童が億万長者に
YouTubeで最も人気のあるジャンルの一つは、キッズ向けの番組です。
2016年の統計では、人気上位100チャンネルのうち、20チャンネルが子供の玩具を扱うチャンネルでした。
チビッコはおもちゃが大好きですから、おもちゃが紹介されている動画なら何度見ても彼らは飽きません。
こういったキッズ向けのチャンネルで、現在王座に君臨しているのが、ライアンという名のYouTuber。
彼自身もまだ小さな子供です。
ライアンが色々なおもちゃを手に取り、実際に遊んでレビューをしている動画は、彼が3歳のときから投稿され続けています。
実際にこのチャンネルを立ち上げ、動画を制作しているのは彼の母親。
驚くことに、ライアンのチャンネルは、今やチャンネル登録者数が1千万を超え、月に平均45億回も再生されています。
もちろん、おもちゃのレビューだけをこの先ずっと続けるのは多分無理でしょう。
ただ、ここで重要なのは、もし彼が数年後に動画の投稿を止めたとしても、その時点で既に、普通の会社員が一生かかっても稼げない金額(の数十倍?)を蓄えているであろうということなのです。
4 たった3秒の動画で数百万回の再生
何百万回も再生される動画を作るのには、それなりの労力や時間が必要だと思っている人は多いでしょう。
しかし、それは必ずしも正しくありません。
例えば、あるチャンネルでは、左手で傘を取る様子を撮影しただけの、わずか3秒の動画が 250万回も再生されています。
特に変わった要素は何もありません。
立てかけておいた傘を、スッと持ち上げるだけの映像です。
傘を持ち上げる腕力があれば誰でも作れます。
しかし、これを動画として投稿するという発想は、並の人間にはなかなか出て来ないでしょう。
その意味で、YouTuberとして成功を収めるには、やはりそれなりの才能は必要だと言えそうです。
5 動画のためなら彼氏をも撃つ
傘を手に取るだけの動画を投稿する者がいるかと思えば、命がけのスタントで再生回数を稼ごうとする者もいます。
米国ミネソタ州在住のモナリサ・ペレス(19)という女性は、彼氏のペドロ・ルイズ3世(21)とともにチャンネルを立ち上げ、体を張った過激な内容の動画を投稿していました。
2017年6月、無謀とも言える危険なスタントに彼らは挑戦します。
それは、ルイズが胸の前に分厚い百科事典を盾代わりにして構え、ペレスがそれを狙って至近距離から銃で撃つというもの。
弾丸が百科事典を貫通してしまうのではないかと心配になりますが、やはり貫通しました。
撃たれたルイズは即死。
このスタントを発案したのは撃たれたルイズの方でしたが、2017年12月、裁判により、発砲したペレスは、懲役6ヶ月を宣告されています。
6 「あなたへのおすすめ」の謎
普段からYouTubeをよく観る人には当たり前のことですが、色んな動画を再生していると、ユーザーの好みに合わせた動画を「あなたへのおすすめ」としてYouTubeが提示してくれます。
あの動画はどういう基準で選ばれているのかというと、一つにはチャンネル登録者数です。
5000人を超えると、おすすめ動画の候補になるとされています。
そしてもう一つの基準が、動画の長さ。
再生時間が長い方が、より重視される傾向があるようです。
これに基づけば、内容の面白い数分程度の動画よりも、それほど面白くはない1時間の動画の方が優先的におすすめされうるということになります。
このことの背景にあるのは、YouTubeのライバルがテレビであるという事実。
ユーザーをテレビから引き離すには、より多くの時間をYouTubeで費やしてもらう必要があり、そのためには長い動画の方が有効なのです。
7 YouTuberが抱える「フリーブーティング」という悪夢
YouTubeに常につきまとう問題が、著作権侵害です。
他人のブログ記事を丸パクリして動画を作る輩もいますが、他人が投稿した動画をそのままパクって自分の動画として投稿する強者もいます。
ゲームの実況動画とて例外ではありません。
凝った編集がなされた実況動画を見つけたら、その映像を盗用し、音声だけを自分の実況に変えて動画を作る者もいます。
もちろん、このような著作権侵害行為に対してはYouTube側もちゃんと対策を取っており、悪質なチャンネルは遅かれ早かれアカウントを停止されるでしょう。
しかし、それで安心はできません。
近年、YouTuberを悩ませているのが、「フリーブーティング」という行為なのです。
これは、YouTube上の動画を、その制作者の許可なく自分のフェイスブックなどに投稿すること。
ブログなどの中でリンクを張られた動画とは異なり、フェイスブック上の専用プレイヤーを使って閲覧される動画は、何百万回再生されようと著作権者には一銭も入りません。
下手をすると、その動画を作った本人よりも、それをパクって勝手にフェイスブックに投稿した人間の方がはるかに多く閲覧数を稼いでしまう場合もあります。
つまり、YouTuberにとっては、潜在的な閲覧数をゴッソリ奪われてしまうのです。
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8 生殺与奪の権を握るのは結局YouTube
今年のはじめ、一部のYouTuberたちの動画で、広告が突然表示されなくなるという現象が頻発しました。
その原因は、広告に関するポリシーをYouTubeが変更したことにあります。
これにより、広告を表示するのに適した動画か否かを判断する基準が、急に厳しくなったのです。
その結果、それまでは何の問題も無かった動画が、いきなり「不適切な動画」とされてしまうことに。
それらの中には、一体何が不適切なのかが判然としないものも複数あったとか。
生活の手段をYouTubeだけに頼っているYouTuberにとって、これは正に死活問題でしょう。
しかし、どういったコンテンツが望ましいのかを決定する権限は、YouTube側にあります。
動画投稿者は、それに従うしかありません。
YouTubeの動画タイトルで、思わずクリックしたくなる語句(クリックベイト)が付いたものをよく目にしますが、その中でも特に多いのが「閲覧注意!」というもの。
ひょっとすると、将来的に、こうしたタイトルの動画が根こそぎ「不適切な動画」というレッテルを貼られる日が来るのかもしれません。
閲覧に注意が必要な内容なら、広告を表示させるのに相応しくないとYouTubeが判断してもおかしくはないからです。