人間が持つ恐怖症には、様々なものがあります。
「高所恐怖症」や「閉所恐怖症」などはよく知られていますが、中には本当にそんなものがあるのか信じがたい奇妙な恐怖症もあります。
最悪の場合、「死」が待っているものも。
今回は、そういった珍しい恐怖症をご紹介しましょう。
ひょっとしたら、あなたも当てはまっている恐怖症があるかも知れません。
〈originally posted on February 5,2016〉
1 医者恐怖症
これは、医者にかかることへの恐怖症で、自分が医者と会うことを考えただけで不安感に襲われ、ときにはパニック状態や目眩を起こしたりします。
ある調査によれば、約3%の人は、病院などを訪れるときに強い不安を感じるそうです。
この恐怖症が深刻化すると、早期治療が必要とされる病気にかかっていても医者に相談するのが遅れてしまい、命を危険にさらす可能性も出てきます。
2009年、ジョン・ダートという76歳の男性は、鼻の表面にある黒いシミをガンだと信じていたのですが、医者にかかることへの恐怖心があまりに強すぎて、遂には自ら死を選択しました。
しかしながら、実はそのシミは何ら悪性のものではなかったのだそうです。
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2 日光恐怖症
アメリカのパシフィック・ヘルス・センターの研究によれば、皮膚ガンになるのを心配するあまり日光に当たることに恐怖心を覚える人は増加傾向にあります。
この恐怖症に悩まされている人は、日光に当たるとそれだけで不安感に襲われ、実際には存在しない痛みを感じることもあるのです。
日光を極力避けることで皮膚ガンになる可能性が下がるのは事実ですが、しかしそれに伴うマイナスの影響もあります。
極端に日光を避けてしまうことはビタミンの欠乏につながり、ひいては様々な病気の原因にもなりうるのです。
3 睡眠恐怖症
眠りにつくことに恐怖を感じるのが睡眠恐怖症です。
原因としては、睡眠中に自己をコントロール出来なくなることへの不安や、何度も悪夢を見た経験などが考えられます。
この恐怖症を患っている人は、眠っている間に自分が死んでしまうのではないかという恐怖心を抱くことが多いそうです。
時には24時間以上も眠らずにいることがあるのですが、皮肉なことにそういった習慣が健康に多大な悪影響をもたらし、高血圧や心臓疾患を招いて死のリスクを高めます。
ちなみに、ハーバード大学医学大学院の研究によれば、たった一日十分な睡眠をとらなかっただけでも高血圧の原因になるそうです。
4 排便恐怖症
不安障害を扱うイギリスの公益財団「Anxiety UK」によると、この恐怖症に悩む人は世界で約400万人いると見られています。
公衆トイレで用を足すことへの恐怖症なのですが、症状が酷くなると自宅でトイレに行くことにも恐怖を感じるそうです。
排便恐怖症の人は、排便の間隔を出来る限り長くするように努める傾向があります。
エミリー・ティタリントンという女性はこの恐怖症の程度が酷く、何と2ヶ月間も排便を我慢することが日常化していました。
これにより、彼女の腸は異常なほどに膨張し、それが内臓器官を圧迫していたことで心臓発作を引き起こし、16歳の若さで亡くなりました。
5 注射恐怖症
2012年にアメリカで行われた調査によると、成人の約60%はインフルエンザのワクチンを注射しないのですが、そのうちの約3分の1は、針に対する恐怖心が原因なのだそうです。
しかし、アメリカだけでも年間36000人がインフルエンザで死亡している事実を考えると、ワクチンを注射しないのは賢明な判断とは言えません。
COVID-19のワクチンであれば、なおさらでしょう。
先ほどの「医者恐怖症」に通じる所がありますが、この恐怖症があると、重大な病気を抱えていても医療機関を利用することをためらってしまうのです。
2011年、ジャーナリストのキャロライン・チーサムは、自分の父親が亡くなった原因はこの注射恐怖症であると告白しました。
彼女の父親は、前立腺がんの症状が出ていたにも関わらず、注射を恐れるあまり5年間一度も病院に行くことが無かったのです。
6 不潔恐怖症
しばしば強迫神経症とも関連付けられるこの恐怖症を患っていると、自分の体や身の回りの物を完璧に清潔にしておかないと不安を感じます。
そしてこの習慣が悪化すると、日常生活にも支障をきたします。
サマンサ・ハンコックという女性は、雑菌に触れることへの恐怖から18年間ほとんど外出せず、さらに、家の中でも約20時間は浴室で過ごし、食事も極力摂りませんでした。
精神科医による治療も虚しく、彼女は40歳でこの世を去りました。
直接的な原因は、皮膚の感染症および脱水症状だったそうです。
7 対抗恐怖症
これは、思わず逃げ出したくなるような危険な状況に身を置かずにはいられなくなるという変わった恐怖症です。
恐怖症と名の付くものは恐怖の対象となっているものを「避ける」のが普通ですが、この恐怖症は自分が恐怖を感じるものに積極的に関わってしまいます。
対抗恐怖症であると診断されたジェブ・コーリスという男性は、危険な行為をするのが止められず、あるときウィングスーツ(滑空用のジャンプスーツ)を装着して崖に正面からぶち当たりました。
驚くことに命に別状は無く、数カ所の骨折だけで済んだそうです。
ウィングスーツ・フライングは多くの人が命を落としている大変危険なスポーツなのですが、彼にとってこの趣味を止めるという選択肢は無いようです。
8 食物恐怖症
食べ物で喉を詰まらせるといった経験がトラウマになり、食べ物自体に恐れを抱くのが食物恐怖症です。
これと似た症状に拒食症がありますが、拒食症や過食症といった摂食障害に苦しむ人は全世界で200万人いると言われています。
シャーロット・ロビンソンという女性は、17歳のときに食物恐怖症から過度の拒食症になり、1年と経たないうちに体重が以前の約半分である38kgにまで激減。
その後も体の衰弱は止まらず、彼女は18歳で亡くなりました。
9 洗浄恐怖症
(国連児童基金)が行った研究によれば、発展途上国における重病の原因となっているのは劣悪な衛生環境にあるのだそうです。
このことから、石けんでの手洗いを欠かさないことが強く推奨されています。
しかし、洗浄恐怖症を患っている人は、体を洗うことへの強い恐怖心があり、風呂に入ることはおろか、手を洗うことすら出来ません。
洗っていない手で調理などをすることもあるわけですから、健康面への悪影響も大きいと考えられています。
さらに、この恐怖症が原因で社会的に孤立したり、うつ状態になったりすることもあるそうです。
10 全般恐怖症
身の回りのあらゆるものが引き金となって不安や恐怖を感じるのが全般恐怖症です。
この恐怖症を持つ人は、普通に生活していて突然パニックに襲われたり、鼓動が速くなったりします。
酷い状態になると汗が止まらず、喋ることが出来ず、さらには意識を失うこともあるのだとか。
全般恐怖症は、悪魔的なものに対する恐れや、妄想症などと関連づけられることもよくあります。
また、この恐怖症は統合失調症の兆候になりうるとも言われています。
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