あらゆる犯罪の中で、子供を犠牲にする犯罪ほど卑劣なものはないでしょう。
遺族には、何年経っても癒えることのない深い傷を負わせることになります。
では、自らの欲求を満たすためだけに幼い子の人生を蹂躙するような人間をどうするべきか。
これは刑事政策において特に重要な問題です。
〈originally posted on November 4,2019〉
1 子供を狙う犯罪者の脳
子供を性の対象として見る大人がいるのは、人間に特有の現象です。
動物の場合はそういった行為を防ぐためのメカニズムがいくつかあり、例えばマウスの子供は、特殊なフェロモンを発することで大人のオスからターゲットにされるのを回避しています。
では、人間の場合、子供を餌食にする犯罪者は何が原因でそうなってしまうのか。
この問題ついて、カナダ人の神経科学者であるジェイムズ・カンター博士が最近発表した研究が、一つの答えを提示したのです。
それによると、彼らのような人間になるかどうかは、母親の胎内にいる段階ですでに決定されているのだとか。
生まれてから危険な人間になっていくのではなく、生まれた時点ですでに危険因子を抱えているのです。
また、子供に異常な興味を示す傾向を、セラピーなどによって治療しようとしても、根本的に解決するのはほぼ不可能であるとのこと。
冷静に考えると、この研究結果は非常に恐ろしいことを意味しています。
子供を狙う犯罪者は、生まれた時からその危険性を孕んでおり、さらに、たとえ有罪判決を食らって服役しても、その鬼畜な人間性が完全に改善することは無いということ。
カンター博士の話では、彼らの脳にはある種の「欠陥」があり、普通の人であれば年長者や親として子供を可愛がるような場面で、彼らは性的な要素を見出してしまうのです。
この話は、ドイツにあるキール大学のジョージ・ポンセティ教授の話とも整合性があります。
同教授によると、子供を狙った犯罪者は、12歳に達するまでに頭部に何らかの傷害を負っている割合が高いのだとか。
また、子供を育てる行為と男女の恋愛との間には一定のつながりがあるそうです。
例えば、母親は赤ん坊に口移しで食べ物を与えることがありますが、一方で口付けは恋人同士が行う行為でもあります。
この事実と、先程のカンター博士の研究とを併せて考えると、犯罪者の脳内では「子育て」と「性愛」とが、ちょうど線路のポイントが誤って切り替わったかのように、神経回路がつながってしまっているのかも知れません。
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2 イギリスで最悪の児童虐待事件
現在、イングランドのプリマスにある「リトル・テッド保育所」の近辺では、子を持つ親たちの悪夢の日々が続いています。
今から10年前、同保育所に勤めるヴァネッサ・ジョージという女が、子供たちを次々に虐待する事件が発生し、これはこの種の事件ではイギリス史上最悪。
ジョージは下限7年の懲役刑を食らって服役中でしたが、今年の9月に釈放されました。
そして彼女の居住場所として指定されたのが、とあるホステル。
驚くことにこのホステル、くだんの保育所から歩いて数分の距離なのです。
これに対して地元住民は不安の色を隠せません。
特に、ジョージの被害に遭った家族は、強い恐怖と憤りを感じています。
子供を同保育所に通わせているある父親は、取材に対し、
「自分の娘は被害者ではないが、あの女を見たら殺してしまうかもしれない」
とコメント。
もちろん、ジョージの内面について反省や悔悟の傾向が確認されたからこそ彼女は釈放されたわけですが、カンター博士の研究結果を考えると、周辺の住民に対する危険性は無視できないでしょう。