「ユーチューバー王に、俺はなる!!」
こういう熱い思いを内に秘めたチビっ子は、今の日本にどれくらいいるのでしょうか。
最近では、人気のユーチューバーはテレビでも引っ張りだこです。
テレビ出演とまではいかなくても、大手企業とタイアップしたり、各種イベントに呼ばれたりと、動画制作という本来の仕事以外でも活躍の場が広がっています。
それを考えると、ユーチューバーを目指すチビっ子は、今後、増えることはあっても減ることはまず無いでしょう。
ただ、ユーチューバーを夢見る人が増えるということは、ユーチューブ内での競争も熾烈化するということ。
それでも、再生回数を伸ばすべく、「禁じ手」に訴えるのだけは止めておくべきでしょう……。
〈originally posted on October 17,2020〉
1 チャンネル人気のために恋人を「死なせた」ユーチューバー
芸能人や著名人が亡くなったとき、その人と全く血のつながりが無いのに、息子を騙って動画をユーチューブに公開するというのは、人として最低の行為でしょう。
亡くなった方の遺族やファンたちの気持ちを考えれば、到底許されるべきではありません。
しかし、そのような動画の投稿者が、以前、日本で何人も現れたことは、ご記憶の方も多いはず。
閲覧数を稼ぐために他人の死を利用する人がいるのも問題ですが、自分のチャンネルのために、恋人を「死なせた」ユーチューバーもいます。
カナダで強い人気を誇っていたユーチューバー、ジェイソン・イーシアという30歳の男性がその人。
一時期、彼のチャンネルは、登録者数が500万を突破していました。
しかし、2020年1月、彼が投稿した1本の動画が原因で、そのチャンネルは消え去ることとなります。
その動画の中で、ジェイソンは、恋人のアレクシアが、飲酒運転の車にはねられて死亡したことを、沈痛な面持ちで伝えていました。
その後、彼は、亡くなった彼女と再び会話するために、降霊術を試みるという、怪しさ全開の動画をアップロード。
この辺りから、視聴者の間で、アレクシアが亡くなったということに対する疑問の声が出始めました。
それを受けて、ジェイソンは、彼女が死んだというのはウソだったと告白。
恋人の死を偽装した目的は、チャンネル登録者を増やすためでした。
信じがたいことに、彼は、墓地でアレクシアを復活させる動画の制作も計画していたとか。
翌月、ジェイソンは、YouTubeのガイドライン違反により、収益化の停止処分を食らい、程なくしてチャンネルを削除しました。
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2 再生回数のための卑劣なイタズラ
ユーチューバーの中には、たちの悪いイタズラで再生回数を稼ごうとする人がいます。
今年の5月、インドネシアの人気ユーチューバーであるフェルディアン・パレカという男が、極めて悪質なイタズラ動画を撮影・投稿し、それが元で逮捕にまで発展しました。
この男、トランスジェンダーの人たちに対して強い嫌悪感を抱いており、その感情を、イタズラという形で発散していたのです。
彼は、即席麺の容器の中に、腐った食材や石、細かく砕いたコンクリートなどを入れ、バンドン(ジャワ島西部の町)に行き、「ターゲット」を探していました。
そして、通りをぶらつき、通行人に適当に話しかけ、その人がトランスジェンダーだと分かると、先程の即席麺を手渡し、相手が困惑する様子を、ニヤニヤしながら動画に収めるのです。
何という趣味の悪さ……。
自分のチャンネルのためにそこまでやるか、という感じです。
当然ながら、この動画は、YouTubeのガイドラインに抵触したため、削除されています。
3 一つの街全体で隠れんぼ
ユーチューブで一気に有名になる手段の一つは、とにかくスケールのデカいことをやって、SNSで話題になることでしょう。
イギリス人ユーチューバーのジェイ・スウィングラーとロメル・ヘンリーのコンビは、2019年に、一つの街全体を巻き込むイベントを実施しました。
彼らは、イングランドのバーミンガム市で、世界一規模の大きい「隠れんぼ」を開催したのです。
この隠れんぼには誰でも参加することができ、市内のどこかにいるジェイとロメルを探し出して、体の一部にタッチすれば、参加者の勝利。
街全体が、二人の隠れられるエリアだということ以外は、普通の隠れんぼと同じルールで、勝利者には、賞金1万ポンド(約135万円)が与えられます。
一人で参加しても、グループで参加して賞金を山分けしてもOK。
事前にユーチューブやSNSを通じて予告されていたとおり、11月30日の正午に隠れんぼはスタートしました。
その約1時間半後、見事に二人を発見した参加者が現れ、1万ポンドをゲット。
これにて隠れんぼは終了となったのですが、実はこのイベント、ウェスト・ミッドランズ警察が、市民に対して参加しないようにと、事前に呼びかけていたのです。
その理由は、街の安全のため。
ジェイとロメルは、この2年前にも同様のイベントを開催しており、そのときは、テンションの上がった参加者たちが市内各地で騒動を起こし、多くの市民が警察に通報する事態になりました。
こういう経緯があったため、警察は、参加しないように警告していたのです。
結果的に、彼らはそれを無視して隠れんぼを強行しました。
過激な行動に出るユーチューバーは、警察にとって、時に頭の痛い存在だと言えそうです。
4 恐怖の「電子レンジマン」
先程のジェイ・スウィングラーは、2017年、これまたユーチューブの動画のため、トンデモナイことをやらかしました。
電子レンジを頭から被ったのです。
しかも、パテを使って庫内のすき間を埋め、レンジを頭部にガッチリ固定していました。
その見た目は、言うなれば「電子レンジマン」。
街へ出かけて行き、冷えたアンパンを持って困っている子供を見つけたら、ホカホカに温めてあげることも可能(?)でしょう。
電子レンジマンになっただけで終わっていれば良かったのですが、こんなことをやった当然の結果として、彼は呼吸困難に陥りました。
そこで、そばで撮影していた友人が、すぐに消防署に電話。
消防隊が到着したとき、ジェイは既に90分もの間、電子レンジマンの状態だったとか。
その後、5人の隊員たちによる決死の作業の末、ジェイはようやくレンジから解放されました。
隊員の話によると、電子レンジを被ったジェイの状態は、そのままだと命の危険があったとのこと。
自分の頭部を電子レンジで密閉したようなものですから、無理もありません。
それにしても、動画のために命を賭ける心意気は称賛に値するのですが、如何せんやってることが常識外れなのが何とも……。
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番外編 日本人が絶対にマネできないユーチューバー
どうやっても日本人がマネできない人気ユーチューバーが、かつて活動していました。
ディミトリという偽名のユーチューバーがその人で、彼は、「FPSロシア」というチャンネルを2010年に開設。
「FPS」という言葉が入っていることから、ゲームチャンネルかと思われたかも知れませんが、彼が扱っていたのは、ゲームの中の銃器ではなく、本物の銃器です。
動画の中で、彼は、マシンガンやロケットランチャーなど、ハリウッド映画でしかお目にかからないような武器を、実際にぶっ放し、それらについて解説をしていました。
本人が戦車に乗って登場する動画もあったというから驚きです。
2010年と言えば、人気ゲーム『コール・オブ・デューティー』などのFPSが大ヒットし、銃器に興味を持つ子供が増えていた時期。
そんな子供たちの支持も得て、このチャンネルの人気は爆発的に上昇しました。
しかし、2013年、チャンネルを運営するスタッフの一人であり、動画内に出てくる武器の多くを提供していたキース・ラトリフが、謎の死を遂げるという事件が発生。
これを受けて、ディミトリの自宅に、警察による家宅捜索がなされました。
ちなみに、『FPSロシア』という名前にも関わらず、ディミトリ自身はジョージア州に住むアメリカ人です。
動画の中では、ロシア語訛りの英語を話し、ロシア人のフリをしていました。
事件をきっかけにして、彼のチャンネルは警察の監視対象となり、その3年後、再び彼の家に家宅捜索が。
その際、ディミトリが違法薬物を所持していることが発覚。
これにより、彼は、自分が所有する全ての銃器を当局によって没収されることに。
アメリカでは、銃の所持は合法というイメージが強いですが、薬物絡みの犯罪などで有罪になると、その者は銃の所持が禁止されます。
銃器を扱うチャンネルをやっていく上で、銃器を所持できないというのは、かなりの痛手。
2016年、火炎放射器を紹介する動画を最後に、ディミトリは活動を停止しました。
余談ですが、自分の住んでいる国で、銃の所持が合法であっても、現在は、『FPSロシア』のような、銃を扱うチャンネルを運営しようとするユーチューバーは、まず存在しません。
そのような内容のチャンネルは、YouTubeのガイドラインにより、収益化が困難になっているからです。