店から追い出される。
劇場からつまみ出される。
滅多にあるわけではないですが、全く無いとも言い切れないのが、公共の施設などから強制退去させられるという事態。
「お客様は神様」などと言っている場合ではありません。
訳の分からない理由で追い出されることも、十分あり得る話なのです。
〈originally posted on July 9,2020〉
1 ウイルス対策でマスクをしていたら店から追い出された黒人
今年の4月、米国イリノイ州にあるスーパーマーケットで、黒人の男性客二人が、警察官によってつまみ出されました。
こう書くと、窃盗でもやらかしたのか、と思われるかもしれません。
しかし、彼らは普通に買い物をしていただけです。
では、何故つまみ出されたのか。
その驚くべき理由は、「マスクをしていたから」。
新型コロナウイルスの影響を考えれば、マスクをして外出するのは、(某大統領以外は)当然のこと。
彼らも、ごく平凡な青色のマスクをしていました。
ところが、たったそれだけのことで、彼らは「危険人物」であるとみなされたのです。
日本人の感覚からすると理解に苦しみますが、オハイオ州立大学で経済学を教えるトレヴォン・ローガン教授の話によると、このような事態は、アメリカの黒人社会ではある程度予測されていることなのだとか。
白人の警察官の中には、黒人がマスクで顔を覆っているというだけで、犯罪性を感じ取ってしまう人が少なからずいます。
つまり、「コイツ、何かやらかすのではないか」という疑いを抱いてしまうわけです。
黒人にとって、新型コロナウイルスが猛威をふるう今の状況は、ウイルスという病原と戦うか、人種差別という病原と戦うかの二択を迫られているといえるかもしれません。
ちなみに、先程のローガン教授は、公の場でもマスクをしないそうです。
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2 クサイので美術館から追い出された家族
2013年1月、パリのオルセー美術館を訪れていた一組の夫婦とその子供(12歳)が、ゴッホの絵画を鑑賞していたところ、警備員から、客の少ない場所へと移動するように言われました。
彼らは、素直にその指示に従い、あまり人のいない所へ移動したのですが、程なくして、今度は4人の警備員がやって来て、その家族を出口へと連れて行ったのです。
何かマナー違反があったわけでも無いのに、美術館から追い出されてしまった理由は、「ニオイ」。
その家族は、経済的にかなり苦しい生活を送っており、そのためか、独特のニオイを発していたとか。
そのニオイについて、他の客から苦情が出たので、警備員が彼らを強制退去させたのです。
人のニオイが周りを不愉快にさせることは、確かにありますが、それだけの理由で美術館から追い出すというのは、少々やり過ぎという気がします。
3 上映中に笑ったら映画館から追い出された女性
2016年、ロンドンにある映画館で映画を観ていたシンディ・アマス(59)と、ジャクリーン・コックス(60)という二人の女性が、上映中にいきなり、映画館の支配人から出ていくように告げられました。
彼女たちの話によると、退去を命じられた理由は、上映中に声を出して笑ったから。
確かに、「全米が泣いた」みたいな感動モノの映画を観ているときに、大声で爆笑するのは明らかにマナー違反。
ところが、彼女たちが観ていたのは、『アブソリュートリー・ファビュラス』という、イギリスのコメディ映画です。
コメディ映画で笑うことには、何の不思議も無いでしょう。
しかも、彼女たちは、別段大きな声で笑っていたわけでもないとか。
この話が真実だとすれば、支配人の言い分はメチャクチャです。
4 泣いていたらパブから追い出された老人
2020年4月某日、イギリスのリヴァプールに住む、フレッド・プルーデンという83歳の男性の妻が、肺がんのために亡くなりました。
そして、妻の葬儀の翌日、彼が、家族とともに市内にあるパブで食事を摂っていたときのこと。
60年間連れ添った妻との思い出が、ふと脳裏に蘇り、彼は思わず泣き崩れたのです。
するとそこへ、店の従業員がやって来て、信じがたい一言をフレッドたちに発します。
すぐにここから出ていくように、と。
傷心している老人に対して、この心ない要求がなされた理由は意外なものでした。
その従業員は、フレッドが泥酔していると判断したのです。
その場にいた、彼の孫のディクソン(32)は、祖父は妻に先立たれたばかりで泣いていただけ、と抗議したものの、聞き入れてはもらえず。
やむを得ず、フレッドたちは全員店を出ました。
店側は、従業員の対応に問題は無かったと主張していますが、これはさすがに酷いと言わざるをえません。
5 実家に帰省していたら帰国できなくなった妻
飲食店や映画館から追い出されるという経験は、誰しもしたくはないでしょうが、仮に追い出されても、他のお店などに行けば、とりあえずは解決です。
しかし、追い出されたら洒落にならない場所が一つあります。
それは、自分が住んでいる国。
パキスタン出身で、イギリス人男性と結婚し、イギリスで暮らしていたある女性は、そんな珍しい体験をした人です。
あるとき、彼女は、夫をイギリスに残したまま、パキスタンの実家に帰省しました。
その後、実家での滞在を終えた彼女は、飛行機でイギリスへと戻ったのですが、そこで、入国審査官から入国を許否されます。
実は彼女、テロリストの容疑がかけられていたのです。
実家で爆弾でも作っていたのかというと、そんなことはありません。
彼女は、テロ行為はおろか、犯罪に手を染めた経験も無し。
仕方なく、彼女はパキスタンへと戻ることに。
そんな、突如として帰ることが出来なくなった彼女を救い出すのに最適な男が、イギリスで入国審査官をしていた夫です。
彼女は、すぐさま夫に電話し、何がどうなっているのか調べて欲しいと懇願します。
それに対し夫は、問題解決のためにあらゆる手を尽くす、と心強い返事をしたのですが、事態は一向に改善されず、妻は、ずっとイギリスに帰国できないまま。
何とも奇妙な話ですが、事態が改善しなかったのは、当然のことです。
彼女をテロリストに仕立てたのは、他ならぬその夫なのですから。
彼は、実家に帰った妻と手っ取り早く縁を切り、自由な人生を謳歌するため、職場のパソコンを使ってデータベースにアクセスし、自分の妻をテロリストの疑いがある人物として登録したのです。
夫のせいでテロリストにされてしまったとは露知らぬ彼女は、いつか夫が助けてくれると信じ、ひたすら待っていました。
そして、彼女が待ち続けてから3年が経過したとき、夫に昇進のチャンスが訪れます。
ところが、このチャンスが、彼にとって大きな試練となることに。
昇進の適否を判断するため、彼自身について細かい調査がなされているとき、彼の妻が「テロリスト」として登録されていることが発覚したのです。
この瞬間、彼は難しい選択を迫られました。
妻のテロリスト疑惑に全く気づかなかったと白を切れば、入国審査官として失格とみなされ、クビは免れません。
逆に、妻をテロリストにしたのは自分のお茶目だと正直に言えば、やはりクビです。
で、この男、結局すべて自分がやったことだと白状し、そしてクビになりました。
その後、この夫婦がどうなったのかについて、詳細は不明ですが、3年間も妻をテロリスト扱いにした上、職を失った夫と、よりを戻したいという女性がいるとは思えません。
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番外編 ディズニーランドから追い出される客とは
大人も童心に帰って楽しめる、夢のテーマパークと言えば、やはりディズニーランドでしょう。
そんなディズニーランドにも、無視できないワナがあります。
東京ディズニーランドの公式サイト内にある、「次の行為はお断りします」に挙げられた項目の中に、「入園にふさわしくない服装」というのがあるのです。
ふさわしくない服装が一体何を指すのかが記載されていないので、本場アメリカの公式サイトを覗いてみると、具体例が記されていました。
その中で興味深いのが、「14歳以上の人は、キャラクターのコスプレ禁止」というもの。
大人がミッキーの格好をしていると、つまみ出される可能性があります。
これは恐らく、園内にいる(本物の)ミッキーやミニーなどのイメージを壊さないようにするためでしょう。
あくまで「14歳以上」なので、小さい子供がディズニーキャラのコスプレをするのは、問題ありません。
また、露出が多い服装も禁止。
実際に、ショートパンツの丈が短すぎたため、入園を断られた女性もいるそうです。