「脱獄」というのは日本ではほとんど聞くことが無い。
しかし海外では、かなり大胆な方法で脱獄を決行する囚人が、ときおり出現する。
もちろん、そのような脱獄が必ず成功するとは限らないが、中にはトンデモナイ方法でありながら、見事に成功させた者もいる。
今回は、そういった事例をご紹介しよう。
〈originally posted on April 21,2018〉
1 ヘリで脱獄
2001年、フランスでパスカル・パイエという男が強盗の罪で懲役30年を言い渡された。
彼は服役中、3度も脱獄を試みるのだが、驚くべきは毎回仲間の用意した「ヘリコプター」で逃げようとしていたのである。
3度も同じ手を使われるということは、刑務所のセキュリティにもかなり問題がありそうだが、それはさておき、彼は3度目のトライでようやく脱獄を成功させたのだ。
具体的な段取りは以下の通り。
パイエの仲間があらかじめフランスの観光地であるカンヌでヘリコプターをハイジャックし、刑務所の上空でホバリングさせておいて、ロープを使って建物の屋上に降り立つ。
マスクで顔を隠し、武器を携えて刑務所内でパイエを探しだすと、一緒にヘリに乗り込んでおさらば、というわけ。
その後、パイロットは地中海の近くで開放されたが、パイエ自身は3ヶ月に渡る逃走の後、再び逮捕されることとなった。
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2 刑務所に入った瞬間に脱獄
脱獄史上、「最速」脱獄記録保持者といっていいのが、フランス出身のジュリアン・ショタールだ。
彼は2009年に放火の罪でイギリスのペントンヴィル刑務所に護送されてくるのだが、他の囚人達が建物の中に入っていく中、何と彼は看守たちの隙を見て、自分が今しがた乗っていた護送車の影に隠れ、その車の底面に張り付いたのだ。
車はそのまま刑務所を後にしてしまい、ショタールは自分の監房を見ることもなく脱獄に成功する。
刑務所の職員たちは最初、ショタールがどうやって逃げたのか皆目見当がつかなかったのだが、監視カメラの映像をチェックしたところ、ようやく護送車の下に妙な影が映っているのを発見したのだ。
3 母親の雑な計画で脱獄
フロリダ州、エバーグレイズの刑務所で服役していたジョン・シグラーは、母親のサンドラ・シグラー(58)の立てたあまりにも雑な計画で見事に脱獄した。
まず、仲間の男がトラックで刑務所に向かい、その後ろをサンドラの車が付いていく。
そして、トラックで刑務所のフェンスを突き破って侵入し、銃を乱射して看守を追い払いつつシグラーを見つける。
その後は、母親の車に乗って逃走し、途中で全員が別の車に乗り換えて散らばる、という段取りだった。
この「直球」すぎる計画はおおむね成功したのだが、彼らにとって唯一の誤算だったのは、警察からの逃走中に仲間の車が他の車に激突して、55歳のドライバーを殺してしまったこと。
結局、脱獄に関与した者は全員逮捕され、ジョン・シグラーには終身刑が言い渡された。
4 ヨガ脱出
強盗の容疑で韓国のテグにある拘置所に入れられていたチョイ・ギャプボクは、2012年9月17日、23年間続けてきた「ヨガ」のスキルを発揮して、食事が出される小さな穴からすり抜けて逃走したのである。
その穴は、一見して、とても人間が通れるとは思えないほどに小さいものだったとか。
上半身にオイルを塗っていたとはいえ、この穴をわずか数十秒で抜け出したというからスゴイ。
この人がスゴイのか、ヨガがスゴイのかはよく分からないが、いずれにせよ、彼は脱獄の6日後に再び逮捕されてしまった。
5 アルカトラズからの(リアル)脱出
『アルカトラズからの脱出』というクリント・イーストウッド主演の映画があったが、現実にアルカトラズから脱出した囚人がいたのである。
カリフォルニアにある「アルカトラズ刑務所」は、サンフランシスコ湾の孤島に建設され、1934年から約30年間アメリカの凶悪犯罪者が収監される場所となった。
厳重な警備に加え、周りが流れの速い海に囲まれていたので、脱獄は不可能とされていた。
しかし、1962年にフランク・モリス、クラレンス・アングリン、ジョン・アングリンの3人がついに脱獄に成功。
彼らはまず、監房の硬いコンクリート壁を、爪切りやスプーンを使って6ヶ月もの間削り続け、建物の通気管に到達するまで掘り進んだ。
毎晩、看守が見回りに来るときには、壁に掘った「穴」に気づかれないよう、濡らした新聞紙をペースト状にして穴を塞いでいたらしい。
脱獄決行の日、彼らはトイレットペーパーを丸めて石鹸で固め、そこに自分の髪の毛を貼り付けた「ダミーの頭」を作ってベッドに置いて看守の目をごまかし、通気管を上って屋上に出たのだ。
そして、レインコートや樽を使って作った「いかだ」に乗ってアルカトラズから脱出したのである。
彼らはついに発見されることは無かったが、おそらくはサンフランシスコ湾の海流に捕まって溺死したという見方が強い。
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