隣の部屋から夜中にズンジャカ、ズンジャカとうるさい音楽。
上の部屋からはドッスン、ドッスンと暴れる子供。
窓の外からは車のエンジン音。
我々の生活はノイズに満ちています。
無音で生活することなどまず不可能。
上記のようなノイズはよくある音ですから、まだ理解できる範疇でしょう。
しかし、聴いたこともないようなノイズが毎日聴こえてきたら……。
一体何から発せられているのかすら分からない謎の音は、不気味なことこの上ありません。
〈originally posted on March 9, 2024〉
1 地中からカミナリ
米国コネチカット州にあるマチムーダス州立公園は、「ムーダス・ノイズ」という謎のノイズで有名な場所です。
「マチムーダス」とは、元々はネイティブ・アメリカンが付けた名称で、その意味は「悪い騒音の地」。
彼らは、そのノイズは邪悪な神が原因であると捉えていたようです。
後にイギリスによって植民地化されたときには、魔女の仕業であると考えられていたとか。
地中からゴロゴロと聴こえるその音は、まるでカミナリのようだと言われています。
この不気味なノイズの正体については諸説ありますが、現在では「マイクロ・アースクエイク」と呼ばれる微弱な地震が原因だとする説が有力。
真相はまだハッキリしませんが、本来は空から聴こえるはずのカミナリが地面から聴こえるというのは、一度体験してみたいものです。
2 フォレスト・グローヴの怪音
2016年、米国オレゴン州のフォレスト・グローヴで、住民の多くが不気味な音を耳にするようになりました。
高音で笛を吹いているような音で、音量もかなり大きめ。
電車が停止する間際の「キィィィン」という音がずっと続くような感じです。
その音が聴こえる度にイライラやストレスが溜まるという声が住民の間で次第に増加。
夜中に鳴ることもしょっちゅうなので、安眠妨害もいいところでしょう。
住民の中には警察に相談する人もいましたが、警察も原因を突き止めることが出来ず、お手上げ状態。
電車の音ではないかと思いたくなりますが、フォレスト・グローヴには電車が通っていないので、電車のブレーキ音という可能性はありません。
現在最も有力な説は、車のブレーキパッドの不良ではないか、というもの。
しかし、夜通し鳴っていたのを聴いた人がいることを考えると、この説も決定的とは言えません。
3 就寝中のカチカチ音の正体
2023年、台湾在住の女性が、夜、寝ているときに「カチカチ」というノイズを頻繁に聴くようになりました。
毎晩聴こえるその音はあまりにもしつこく、彼女はまともに眠ることができずに不眠症に陥ったのです。
そこでその女性は病院に行って医師に相談。
医師が彼女の耳の中を調べてみると、驚くべき事実が発覚しました。
一匹のクモがいたのです。
小さいクモが。
しかも、耳の中で脱皮済み。
クモは、脱皮した直後は無防備な状態なので、人間の耳の穴は安全に脱皮するのに格好の場所だったのです。
「カチカチ」という音は、恐らくこのクモが脱皮した後の殻が擦れていた音でしょう。
医師によってクモと殻を乗り除いてもらったその女性は、その後、ぐっすり寝られるようになったとか。
寝ているときに「カチカチ」という音を自分だけ聴くようになったら、早めに病院で診てもらった方がいいかもしれません。
4 ワールドワイド・ハム
奇妙なノイズが聞こえるという現象は、局地的なものばかりとは限りません。
世界規模で発生しているノイズも存在するのです。
それが、「ワールドワイド・ハム」と呼ばれるもの。
大型トラックによるアイドリング中のエンジン音のようなそのノイズは、ヨーロッパ各国で報告があります。
人によっては、地中深くからの重低音のように聴こえたりもするとか。
また、日中よりも夜中に聴こえることが多く、子供よりも大人の方が聴きやすいそうです。
突然ノイズが聴こえだしたと思ったら、早くて数日間、長くて数ヶ月で聴こえなくなるとされています。
このノイズについて早くから研究を続けているグレン・マクファーソン博士は、専門のウェブサイトを立ち上げ、ノイズの体験談を募集。
博士によれば、このノイズは1960年代にはすでに確認されていたとのこと。
何が原因であるのかについては諸説あります。
何らかの電波によって発生するものだという説もあれば、ノイズを聴く側の人間の体内に要因があるとするものも。
エンジン音が聴こえるだけなら健康面での実害は無さそうにも思えますが、このノイズが原因で生活に支障をきたすようになったケースもあるようです。
5 床下からの妙な「いびき」
2022年、米国カリフォルニア州に住む家族が、家の床下から「いびき」のようなノイズが出ていることに気づきました。
しかし、何者かが床下に潜り込んで爆睡していることなどありえないと考え、特に気にせずにいたのだとか。
近所の人たちも、「気のせいじゃない?」という反応。
とはいうものの、ノイズは数ヶ月も続き、しかも段々と大きくなる始末。
ここにきてその家族はようやく奇妙なノイズの正体を突き止めました。
その正体とは、なんとクマ。
野生のクマが、冬眠場所を探していたところ、家の下に潜り込めそうな隙間を見つけ、そこで冬眠を始めてしまったというわけ。
家の下にクマが棲息している状態で平穏に過ごすのは、かなりハードルが高い。
そこでその家族は専門家に相談し、クマを追い出してもらうことを依頼しました。
その結果、追い出されたクマの数は、なんと5匹。
母親のクマが、子供4匹を連れて冬眠していたのです。
隣で寝ている旦那のいびきならまだしも、クマ5匹のいびきは心臓に悪すぎます。
6 重低音の驚くべき秘密
夜、寝ているときに「ドスン、ドスン」という重低音が聴こえてきたら、誰もがこう思うでしょう。
「こんな夜中に暴れてる子供がいるな……」
米国フロリダ州にあるタンパという町では、2021年ごろから、住民の多くがこの種の騒音に悩まされていました。
夜中にプロレスごっこをやらずにいられないお子様ばかりの町なのかというと、そうではありません。
謎の「ドスン」が繰り返されるのは決まって夜中。
不審に思った住民の中には、夜に近所を車で周り、音の発生源を突き止めようとする人もいました。
その結果、謎の音はどうやら海の方から来ていることが判明。
しかし、近くの港には騒音を出すような船や建造物は何も無し。
途方に暮れた住民たちは、専門家に助けを求めました。
そして今年の初め、調査の末に専門家が出した結論が……。
魚。
海中を泳ぐ魚が原因だという見解を示しました。
具体的には、「ブラック・ドラム」と呼ばれる魚が求愛行動のときに出す音が、「ドスン、ドスン」と聴こえるのだとか。
まさにドラムのような魚です。
ただ、この魚が原因だとしても、海中で発せられるノイズが、付近の住宅街までハッキリ聴こえるほどに届くものなのか。
この点、ブラック・ドラムの発するような重低音は、遠くまで届きやすいのだそうです。
海中から下水道のパイプを通じて各家庭にまで音が伝わるというのは、十分にありえるというわけ。
この説が真実だとすれば、これで一応、謎は解けたことになりますが、残る問題は「じゃ、どうすりゃいいの?」ということ。
原因が分かっても、相手は海中の魚たち。
残念ながら、人間にはどうすることも出来ません。
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7 バリサール・ガン
19世紀にバングラデシュの南海岸で発生した怪奇現象に、「バリサール・ガン」と呼ばれるものがあります。
まるで、いくつもの銃器から一斉砲撃があったかのような爆音が鳴り響くという、にわかには信じがたい現象です。
最初に確認されたのは1870年で、その原因は未だに解明されていません。
一発の大きな爆音が聴こえることもあれば、連続した音で聴こえることもあるとか。
この大きな音は、住民を不安に陥れるには十分でした。
しかしながら、地震等の自然災害は全く伴っておらず、単純に「音」だけが聴こえるのみ。
それだけに、不可解さが一層増しています。
ある説によると、空気中を伝わる音波がこの地方特有の地形に当たって生じる衝撃波が原因ではないかとも言われています。