残忍な犯罪
を犯し、なおかつ妙に気になるニックネームで呼ばれていた犯罪者たちをご紹介します。
日本では、マスメディアによって犯罪者にニックネームが付けられることはまずありません。
事件の内容が陰惨であればなおさら、犯人をあだ名で呼ぶのは不謹慎と見なされるでしょう。
ただ、犯人自身が奇妙な名前を名乗っていたケースとして、1980年代に発生したとある連続脅迫事件が挙げられます。
この事件で犯人は、某菓子メーカーの社長を誘拐して身代金を要求したり、青酸入りの菓子を店に並べたりしたのですが、結局逮捕されることは無く、全ての罪で時効が成立しています。
複数の企業に送りつけた脅迫文や、報道機関に宛てた挑発的な手紙にはすべて、「かい人21面相」という差出人名が記されていました。
〈originally posted on December 8,2016〉
1 フリーウェイ・ファントム
1970年代初期、ワシントンDCで6人を殺害した犯人に付けられたニックネームが「フリーウェイ・ファントム」です。
最初の犯行が行われたのは1971年4月25日で、全ての事件に共通して、犯人は帰宅する途中の女性を誘拐し、その後、襲っていました。
被害者となったのはすべてアフリカ系アメリカ人の10代の女性で、そのうちの一人は犯人の家に監禁されている間に助けを求める電話を自宅に2度かけています。
しかし、残念ながらこれを犯人逮捕に活かすことは出来ませんでした。
事件現場の一つで、女性を侮蔑するような文が綴られたメモが発見されましたが、これも犯人につながる決定的な手掛かりにはならず。
1977年3月にロバート・アスキンスという男が誘拐と婦女暴行の罪で逮捕されたとき、過去に女性ばかりを狙った暴行事件を起こしていたことから、この男がフリーウェイ・ファントムかとも考えられましたが、それを証明できる確たる証拠は見つかりませんでした。
結局、フリーウェイ・ファントムの正体が何者なのかは謎のままです。
2 ストーンマン
インドで最も恐れられた殺人犯の一人が、「ストーンマン」と呼ばれている男です。
彼は1989年にカルカッタで13人を殺害しています。
最初の犠牲になったのは路上生活者で、薄暗がりで眠っていたところを石で襲われました。
この事件の後、犯人は約6ヶ月間に渡ってホームレスばかりを狙い、全く同じ手段で犯行を繰り返したのです。
被害者の多くはその身元が明らかになることはありませんでした。
これらの事件が発生する4年前、ムンバイで複数のホームレスが同様の手口で狙われていたことから、両者の事件が同一犯の仕業である可能性が浮上。
事件の全容解明に向けて何人もの容疑者が逮捕され、取り調べを受けたものの、十分な証拠が得られず全員釈放されています。
ストーンマンの正体は最後まで判明しませんでしたが、この一連の逮捕の後、連続殺人がピタリと止んだことから、逮捕された者の中にストーンマンがいた可能性が高いと見られています。
3 アトラス・ヴァンパイア
1932年5月1日、ストックホルムで娼婦をしていたリリー・リンデストロム(32)は、この日、仕事仲間の友人と出かける予定を立てていました。
しかし、急に「仕事」の電話が入り、彼女は自宅のアパートで客を待つことに。
それから数時間後、リリーの友人が改めて彼女のアパートを訪れますが、返事は無く、諦めて引き返します。
その3日後、通報を受けた警察がリリーの部屋に踏み込むと、すでに冷たくなったリリーがベッドに横たわっていました。
そして、この事件をひときわ異様なものにしていたのが、犯行現場の状況からみて、犯人がおそらく被害者の血液を飲んでいたこと。
地元の新聞は、リリーが住んでいた地区の名前にちなんで、犯人に「アトラス・ヴァンパイア」というニックネームをつけました。
リリーが相手をした客の中から約80人に対して聞き込み捜査が行われましたが、容疑者は特定できず。
現場には犯人のものと思しき指紋も残されておらず、この事件は完全に迷宮入りとなりました。
あまりにも手際よく犯行の痕跡を消していたことから、犯人は犯罪捜査に詳しい人物、すなわち警察官ではないかとする見方もあります。
4 ナイト・ストーカー
1984年から1985年にかけてロサンゼルスの街を恐怖に陥れ、「ナイト・ストーカー」と呼ばれていた連続殺人犯がいます。
本名はリチャード・ラミレス。
彼は、狙いをつけた者の家に次々と侵入し、犯行に及んでいました。
被害者となったのは9才の女の子から60代の夫婦までさまざま。
悪魔を崇拝しており、犯行現場には必ず「五芒星」を描いていました。
ラミレスは逮捕され、裁判で死刑が確定しましたが、刑が執行されないまま2013年に獄中で亡くなっています。
ちなみに、1979年からの数年間、カリフォルニア州で9人を殺害し、50件以上の婦女暴行事件を起こした連続殺人犯は「オリジナル・ナイト・ストーカー」と呼ばれており、こちらの犯人の正体は未だ明らかになっていません。
5 キャンディマン
アメリカの犯罪史上で最悪の連続殺人犯の一人に数えられるディーン・コールは、1970年代始めに28人を自らの欲望の餌食にしました。
恐るべき殺人鬼の本性を秘めたこの男は、意外なことに周りから「キャンディマン」という平和的な愛称で呼ばれていたのです。
親が菓子の製造工場を所有しており、コールがよく近所の子どもたちにお菓子をあげていたのがその理由。
お菓子を受け取っていた子供たちは、目の前の男が凶悪犯であるなどとは夢にも思わなかったでしょう。
キャンディマンの犠牲になったのは主に10代の少年。
この男は、同じく10代の少年二人を手下にし、彼らを利用して、被害者となるべき者を自宅に招き入れて犯行に及んでいました。
しかし1973年、手下の一人であるエルマー・ヘンリーの友人を餌食にしようとしたことから、その友人を守ろうとしたヘンリーによってコールは射殺されます。
その後、ヘンリーを含めた二人の共犯者は裁判で終身刑を言い渡されることに。
これにより、キャンディマンによる連続殺人は終わりを告げたわけですが、これで全てが解決とはなりませんでした。
2012年、映画の撮影のためにヘンリーの生涯について調べていた映画監督が、ヘンリーの所持品から色褪せた一枚のポラロイド写真を発見します。
その中には、キャンディマンの犠牲者と思われる一人の少年が写っていました。
ところが、その少年はコールが手にかけた28人の被害者の誰とも外見が一致していなかったのです。
つまり彼は、殺害されてから約40年も経って明らかになった「29番目の被害者」ということになります。
この少年の写真は各種メディアでも紹介されましたが、未だに彼の素性は分かっていません。