カルト教団
が信者を増やす上で使う常套手段といえば、洗脳です。
「洗脳」とは、こちらの都合のいいように相手の考え方を変えさせること。
こう言うと、洗脳というのはかなり大掛かりなテクニックのような印象を持ってしまいますが、実際はそうではありません。
洗脳は、我々の日常生活の様々な場面に潜んでいると言っても過言ではないのです。
今回は、身近にある(かもしれない)洗脳術の数々をご紹介しましょう。
〈originally posted on October 23, 2022〉
1 早口で喋る
こちらの言うことを相手に納得させるにはどうすればよいか。
説得力のある証拠・論拠を具体的に挙げるというのが、正攻法です。
しかし、やや怪しい内容をこちらが語る場合、これは必ずしも得策ではありません。
怪しい話というのは、えてして確固たる論拠に欠けるからです。
例えば、「悪霊が取り憑いている云々」といった話。
こういう場合は、早口で喋るのが効果的。
ある研究によれば、通常よりも速く喋ることで、より知的で、説得力のある話だと認識されやすくなるそうです。
逆に、ゆっくりとしたペースで喋ると、自信が無く、嘘を語っているように聞こえるのだとか。
速く喋るのが良いとはいっても、あまりに速すぎては相手は聴き取れません。
通常の速度より、30%ほど速く喋るのが、説得力を持たせるためには最も効果的なのです。
この方法が効果的である理由は、非常に単純。
こちらが早口で喋ると、相手は耳から入る情報を処理するのに追われ、反論を思いつく余裕が無くなるのです。
【スポンサーリンク】
2 相手を真似て自分の味方にする
初対面の相手をこちらの味方に付ける手っ取り早い方法があります。
それは、相手を真似ること。
喋り方を真似てもいいですし、ジェスチャーを真似てもOK。
人間は社会性の高い生き物なので、自分と共通点の多い相手に対しては親近感が湧き、協力的になるのだとか。
相手の言葉遣いを真似るという点に関しては、オランダで行われた面白い実験があります。
飲食店の給仕が接客する際、なるべく客の言葉を真似た場合と、そうでない場合とで、その給仕がもらうチップに差が出るのかを調べたのです。
すると、真似た場合の方が、チップの金額が68%も上がるという結果に。
もちろん、オウム返しのように一言一句を真似ていては、チップが増えるどころか客はキレるでしょう。
よって、どの程度真似るかのさじ加減は必要ですが、しかし、相手の言葉を真似るだけでこれだけの変化が現れるというのは驚きです。
3 警察が自白を得るテクニック
自分がやってもいない犯罪について、やったと自白する。
これも一種の洗脳のなせる業ですが、犯罪発生率の高いアメリカの場合、こういった洗脳は比較的カンタンに出来てしまいます。
例えば、凶悪事件の被疑者が逮捕されたとき、警察官がこう言ったとしましょう。
「犯行現場でお前の指紋とDNAが採取された。お前がやったんだろ?」
この場合、実際には指紋もDNAも採取されておらず、警察官が真っ赤な嘘を言っていたとしても、法律的には問題ありません。
強制力を行使して得られた供述でなければ、たとえ相手を騙して得られた供述でも有効なのです。
さらに、被疑者をウソ発見器にかけた際、検査をパスしたにも関わらず、パスしなかったと嘘を告げて、それによって自白を得るのもOK。
ウソ発見器は実際に存在するテストですが、驚くことに、実在しないテストをでっちあげた上で、それを被疑者に受けさせた例もあります。
このときは、被疑者が銃を発砲したという供述を得るために、謎めいたテストを受けさせて、その結果、「銃を撃ったという反応が出た」と嘘を伝えたのです。
4 「色」で購買意欲を高める
店を経営する上で重要なのは、客を「買う気」にさせること。
そのためには、お店の看板が重要な要素となります。
当然ですが、ダサい看板では客は寄って来ません。
さらに、看板のデザインに関して注意すべきは、色です。
青色を基調にした看板は、客の購買意欲を高め、より多くの金を使わせる効果があるとする研究結果があります。
この法則を上手く取り入れている一例を挙げるとすれば、イケアでしょう。
では、赤色はどうなのか。
この点、赤色は、オークションサイトなどにおいて使われると、他の入札者と競り合うような場面で、ユーザーはより高額の入札を行う確率が上がると言われています。
5 要求には必ず「理由」を付ける
オフィスでコピーをしようと思ったら、コピー機の前に行列が……。
しかし、どうしても今すぐコピーせねばならない。
こういう場合、列に割り込むためにはどうお願いするのがベストなのか。
ハーバード大学で心理学を教えるエレン・ランガー教授が、それを調べました。
その結果は以下のとおり。
まず、単純に、
「すみません。5枚なんだけど、先にコピー機使わせてもらっていい?」
と言った場合、60%の確率で割り込みに成功。
一方、
「すみません。5枚なんだけど、急いでるので先にコピー機使わせてもらっていい?」
と言った場合は、94%の確率で割り込みに成功。
つまり、「急いでるので」という理由を付けることで、割り込みを許してくれる人が大幅に増えたのです。
そして興味深いのはここから。
「すみません。5枚なんだけど、コピーしたいので先にコピー機使わせてもらっていい?」
と言った場合も、やはり93%の高確率で割り込みに成功したのです。
「コピーしたいので」という理由は、厳密に言えば理由になっていません。
コピー機の前に並ぶということは、コピーしたいのは明らかだからです。
この実験が示唆しているのは、たとえ形だけの理由付けをするだけでも、こちらの要求が受け入れられる可能性が高まるということ。
これを上手く利用すれば、相手をこちらの思惑どおりにできる確率も上がるでしょう。
6 疲れている状態ほど洗脳されやすい
カルト教団が人を勧誘するのにベストなタイミングがあります。
それは、仕事帰りの時間帯。
何故なら、この時間帯は人々が疲れているから。
肉体的、精神的に疲れた状態は、洗脳されやすさがグンと上がります。
しかも、仕事を終えた後というのは、多くの人がストレスや不安を抱えているので、人生を少しでも好転させてくれそうな都合のいい言葉に乗っかってしまいがち。
ただ、早く家に帰りたいと思っている人を捕まえて話を聞いてもらうのは、なかなかハードルが高いでしょう。
そこで、仕事帰りの時間帯でなくても、上記のような効果を得られる簡単なテクニックがあります。
相手に聞かせる話をなるべく長くすればよいのです。
長い話を聞かせることで相手を疲れさせ、こちらの主張に疑いを抱かせないというわけ。
「話を聞いていただくだけで結構なので、とりあえず聞いていただけませんか?」
こう言うセリフに対して、
「じゃあ、話だけなら……」
と返して、話を聞き始めてしまったら、相手の思う壺。
恐ろしく長い話を聞かされた挙げ句、必要の無い商品を買ってしまったり、妙な契約を結んでしまったりするのです。
【スポンサーリンク】
7 劣悪な生活環境
旧統一教会に対して解散命令請求がなされるのか、なされたとして、それを裁判所が認めるのかが、社会的関心を集めています。
過去に解散命令が出されたのは、オウム真理教と明覚寺の2つのみ。
このうち、前者のオウム真理教は、信者を劣悪な生活環境に置くことで、洗脳状態を維持していたと言われています。
かつて、オウムの元信者がインタビューに答えたところによると、信者たちは、毎日数時間の睡眠しか取らず、食事も一日一回だけだったとか。
十分な睡眠と必要な栄養を奪うことで、正常な判断能力を低下させ、脱会など考えられないようにしていたのでしょう。
そして、こういった手段を使うのは、カルト教団だけではありません。
アメリカのミシガン州に本拠を置く某企業は、契約している業者に対し、過酷なスケジュールで会合を行い、彼らの合理的な判断能力を奪っているという疑いをかけられました。
日本でも、ブラック企業に勤めている人は、気づいたら会社に洗脳されていた、などということのないように注意しましょう……。
関連記事:あなたの知らない狂ったカルト教団10選