今回は、ロバート・ゼメキス監督の不朽の名作、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の知られざる真実をご紹介します。
今年は、映画の一作目が公開されてからちょうど30周年。
僕自身は、このシリーズを今までに何度も見ていますが、何度見ても色褪せない魅力に満ちています。
30年も前に制作された一作目にしても、全くといっていいほど古臭さを感じません。
ある意味、娯楽映画の教科書のような気がしますね。
〈originally posted on March 15,2015〉
マーティ・マクフライ
マイケル・J・フォックス
演じる主人公の高校生。
ドクの発明したタイムマシンで未来へ過去へと大忙し。
1 実は2代目マーティ
マイケル・J・フォックスは、主役のマーティ役に抜擢されたものの、スケジュールの都合が付かず、一旦そのオファーを断りました。
そして、彼の代わりにマーティ役として選ばれたのが、エリック・ストルツ。
ところが、撮影を始めて5週間も経ってから、ロバート・ゼメキス監督は、ストルツの激情的な演技がマーティのキャラに合わないと判断し、マイケルのスケジュールが空くのを待ってキャスト変更したそうです。
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2 犯罪者になるところだった
1作目のオープニングは、部屋中に並べられた大量の時計が映し出されるシーンで始まります。
タイムトラベルをモチーフにした映画の始まりとしては最適の演出ですが、実は最初の脚本ではこれとは程遠い内容でした。
何と、マーティが『Close Encounters(接近遭遇)』という映画のビデオテープを違法にダビングしているシーンで始まるのです。
3 実は父親より年上
1作目でマーティの父親を演じていたのはクリスピン・グローヴァーですが、実際はマイケル・J・フォックスの方が3歳年上なのです。
4 オファーを蹴った『ベスト・キッド』
いじめられっ子の少年が空手の修行をして大会で優勝を目指すという名作『ベスト・キッド』(原題:Karate Kid)で主演したラルフ・マッチオは、マーティ役のオファーを断っていたそうです。
5 二作目、三作目を一気に撮った理由
PART2とPART3は間を置かずに一気に撮影されたのですが、その主な理由は、当時マイケル・J・フォックスが出演していたTVドラマ『ファミリー・タイズ(Family Ties)』の撮影への影響を最小限に抑えるためでした。
6 年齢が11歳も下の役を演じていた
PART2
、PART3が撮影されていた時、マイケル・J・フォックスは28歳でしたが、映画の中のマーティは「17歳」という設定でした。
7 スケボーの練習やり直し
1作目が撮影される前、マイケル・J・フォックスはスケボーを徹底的に練習したそうです。
ところが、2作目の撮影が始まるまでのブランクで、せっかく身につけたスケボーのスキルをほとんど忘れてしまい、また1から練習しなおしたのだとか。
8 首つりで死にかけていた
3作目の中で、マーティが絞首刑にされるシーンを撮影している時、マイケル・J・フォックスは誤って本当に自分の首をロープで絞めてしまい、意識を失いかけました。
しかし、撮影スタッフは誰一人その異常に気付かず、マイケルの「迫真の演技」だと思っていたそうです。
9 三作目のアイデアはマイケルがきっかけ
ロバート・ゼメキス監督は、1作目の撮影中、マイケルに「本当にタイムマシンがあったら、どの時代に行ってみたいか」という質問をしたところ、昔の西部だと答えたのです。
そして、この答えがきっかけで、3作目の舞台が西部に決まったのだとか。
ジョージ・マクフライ
若かりし頃のヘタレ度合が痛々しいマーティの父親。
10 声が出なくなった
1作目の撮影中、ジョージ役のクリスピン・グローヴァーは突然声が出なくなってしまい、一部のシーンを「口パク」だけで演技しました。
そして、後から音声だけを自ら「アフレコ」したそうです。
11 二作目以降で出番が少ない理由
2作目から急に影が薄くなってしまうジョージですが、これは、クリスピン・グローヴァーがあまりに高額のギャラを要求してきたので、脚本から出演シーンを大幅に削ったのが原因。
しかも、2作目以降でジョージを演じているのはクリスピン・グローヴァーではなく、ジェフリー・ウェイスマンという別の俳優です。
これに対しグロ-ヴァーは、スティーブン・スピルバーグを始めとする映画関係者に訴訟を起こすことも検討していたとか。
ちなみに、同じ人物をこの二人が演じたのはこの映画だけではありません。
1991年に公開された映画『The Doors』で、グローヴァーは、実在したアーティストであるアンディ・ウォーホルを演じ、一方、2000年のTV映画『The 70s』で、ウェイスマンは同じくアンディ・ウォーホルを演じているのです。
ロレイン・ベインズ・マクフライ
リー・トンプソン演じるマーティの母親。
12 ダンスの衣装
1作目の終盤にあるダンス・シーンで使われた出演者の衣装は、撮影が終わった際にほとんど全て処分されてしまったそうなのですが、実は1着だけ残っていたものがあるのです。
それが、ロレインが身につけていたドレス。
何故これだけ残ったのかというと、リー・トンプソンがクランクアップ後に自宅に持って帰っていたから。
ちなみに、その衣装は現在も保管されており、ハロウィンの時には彼女の子供がそれを着るのだとか。
エメット・ブラウン(ドク)
クリストファー・ロイド演じる博士。
この人が居なければタイムマシンも存在しませんでした。
13 最初は「ドク」ではなかった
マーティがエメット・ブラウンに話しかける時は、必ず「ドク!」と呼びかけますが、最初の脚本では、
「教授!(Professor, Prof, Pro)」
だったのです。
一体何の教授なのかといえば、もちろん「原子物理学」です。
14 愛犬はサルだった
ドクの愛犬といえば「アインシュタイン」ですが、実は最初の脚本ではドクのペットはサルという設定でした。
名前も歴史上の偉人から取ったものではなく、「シェンプ」という名だったとか。
15 最初は冷蔵庫
ドクの発明するタイムマシンですが、初期の段階では「冷蔵庫」をタイムマシンとして使う設定でした。
これにはちゃんと理由があります。
実は、オリジナルの脚本では、タイムトラベルに必要なエネルギーは、カミナリに撃たれて得られる莫大な電気ではなく、「放射線」だったのです。
具体的には、「4400ラド」の放射線量が必要、という設定でした。
そして、1950年代にそんな壊滅的な放射線が得られるものは、
核爆弾
以外にはありえません。
そこで、ドクはマーティを未来に返すために、ネバダ核実験場に行き、核爆弾の爆心にマーティを放り込むという計画を立てます。
それを実行するには、放射線から体を守るための鉛を内側に張った冷蔵庫が、タイムマシンとしては最適だと考えられたのです。
しかし、映画を観た子供たちが真似して冷蔵庫に入るのが心配され、別のものを模索した結果、決まったのが自動車。
ちなみに、車種として何故「デロリアン」が選ばれたのかというと、ウィング・ドアを広げた状態が何となくUFOに見えるので、シナリオに合ってると判断されたからなのだとか。
16 燃料は「コカコーラ」だった
デロリアンを起動させる燃料といえば、「プルトニウム」ですが、これも最初の脚本では、「コカコーラ」だったのです。
ドクの研究室を訪れたマーティは、ドクが居眠りしているのに気づくと、冷蔵庫からコーラを取り出し、それを飲みながら室内を物色。
そして、ドクが開発中の奇妙な機械を発見すると、イタズラでコーラをその機械(実はタイムマシン)に注ぎ込みます。
その瞬間、機械が爆音を立てて起動し、驚いて飛び起きたドクとマーティとの間で次の会話がこちら。
ブラウン教授:「今入れた物の原料は何だ!?」
マーティ :「コカコーラの作り方を知ってる奴なんていないよ。世界のトップシークレットの一つだからね」
17 実は初キスシーン
3作目で、恋愛とは無縁だったドクが初めて恋に落ちてキスをするわけですが、実はこのキスシーン、クリストファー・ロイドの役者人生において、映画で初めてのキスシーンだったそうです。
18 四作目は古代ローマ?
3作目がクランクアップした後も、クリストファー・ロイドは、マーティとドクが古代ローマへ行く4作目を希望していたそうです。
見てみたいような…見たくないような…。
19 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』への愛情がすごい
クリストファー・ロイドは、映画が公開されてから後も、TVで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の放送がある度に繰り返し観ていたそうです。
一方、ジョージ役のクリスピン・グローヴァーは映画公開後、1回観ただけだったそうな…。
ジェニファー・パーカー
クローディア・ウェルズ演じるマーティの恋人。
20 二作目以降でキャスト変更した理由
1作目がクランクアップしてから、ジェニファー役のクローディア・ウェルズの母親が病気になり、彼女は母親のそばに居ることを選んで2作目以降の出演を断りました。
そして2代目ジェニファーとして抜擢されたのが、エリザベス・シューです。
21 ゼメキス監督の後悔
ロバート・ゼメキス監督は、1作目のラストシーンで、マーティと彼の恋人であるジェニファーをデロリアンに同乗させたことを後悔していたそうです。
その理由は、彼女が未来へ行くことで、物語の展開が制限されてしまったからなのだとか。
ビフ・タネン
トーマス・ F・ウィルソン 演じるマーティの宿敵。
「ドラえもん」でいうジャイアン的な存在でしょうか。
22 名前の意外な由来
ロバート・ゼメキスが、別の映画で脚本の打ち合わせをしていたとき、その場にいたユニバーサル・ピクチャーの重役であるネッド・タネンと全く馬が合わず、そこからマーティの敵役の名前を「タネン」にしたそうです。
23 鎖骨を折られかけた
初代マーティ役のエリック・ストルツと、カフェテリアでケンカになるシーンで、ストルツが本気で殴りかかってきたので、ウィルソンは危うく鎖骨を折るところだったそうです。
そのシーンは何度も撮り直しとなり、ウィルソンはその都度、もう少し手加減するようストルツに頼んだそうなのですが、全く聞き入れてくれなかったとか。
頭にきたウィルソンは、その後、駐車場でマーティと再びケンカになるシーンでやり返してやろうと思っていたそうなのですが、その前にマーティ役がマイケル・J・フォックスに変更されてしまいました。
24 実はいじめられっ子だった
映画の中ではいかにも「番長」といった感じのビフですが、その役を演じたウィルソンは、意外なことに学生時代はむしろイジメられる側だったのだとか。
本当にイジメるということがどういうことか、身をもって体験していたので、そのときの経験を役に活かしたのだそうです。
気迫に満ちたあのイジメっ子キャラの背景には、そんな事情があったのですね。
その他の真実
25 物語の原点
シナリオを担当したボブ・ゲイルが、家の地下室で父親の卒業アルバムを見つけた際、父親のちょっとオタクっぽい面を垣間見て、もし自分が父親と一緒にこの高校に通っていたら、良い友人になれたのに、と感じたのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のシナリオの原点なのだそうです。
26 Spaceman From Pluto
ユニバーサル・ピクチャーのトップだったシド・シーンバーグは、ロバート・ゼメキス監督に、映画のタイトルを、
『Spaceman From Pluto(冥王星からの宇宙飛行士)』
に変えるように要請しました。
その理由は、
というもの。
しかし彼は、プロデューサーを務めていたスティーブン・スピルバーグに説得され、この主張を引っ込めたのでした。
27 コロンビア・ピクチャー痛恨の判断ミス
最初、この映画の企画はコロンビア・ピクチャーに持ち込まれたのですが、「セクシー要素が足りない」ことを理由に断られ、「ディズニーにでも頼んだら」と言われてしまうのです。
ところが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、公開された1985年だけで2億1千万ドルの興行収入を上げ、その年で最も成功した作品となったのでした。
28 ヒューイ・ルイス本人も出演
この映画のテーマソングを歌っているのは言わずと知れたヒューイ・ルイスですが、1作目でマーティがバンド・オーディションに参加したとき、彼に、
「音がデカすぎるよ!」
と言っているのは、ヒューイ・ルイス本人です。
29 ホバーボードは実在する!?
ロバート・ゼメキス監督は、あるインタビューで、「2作目に登場するホバーボードは実際に商品として存在する」などと冗談を言ったのですが、その言葉を信じた大勢の人たちが、玩具店でホバーボードを買い求めようとしたのだとか。
30 実はイライジャ・ウッドのスクリーン・デビュー
2作目において、未来の飲食店にいる小さな子供は、『ロード・オブ・ザ・リング』の主役でお馴染みのイライジャ・ウッドのスクリーン・デビューでした。
31 セットも時代を遡る
1作目が撮影されたとき、物語の舞台となるヒル・バレーは、莫大な費用をかけて、まず1955年の町並みが作られました。
その後、1985年の町並みにするために壁に汚れをつけるなど、経年変化を施したのです。
ところが、続編において再び1955年のセットが必要となり、1985年の町並みを1955年の状態に戻したのですが、そのためにかかった費用は、最初に1955年のセットを組んだときの額を上回っていたそうです。
32 全てが変わってしまう結末だった
1作目のラストで、マーティが1985年に戻って来ると、全てが元通りになっているわけですが、実はオリジナルの脚本では、逆に「全てが変わっている」という結末でした。
マーティの父親はボクサーになっており、車は空を飛んでいて、家にはロボットの執事がいる……などなど。
おまけに、アメリカが「全87州」の国になっていたそうです。
33 デロリアン本人からファンレター
映画でタイムマシンとして使われている「デロリアン(DeLorean DMC-12)」の生みの親であるJohn DeLoreanは、映画の中でデロリアンを使ってくれたことに対して、感謝の気持ちを書いた手紙をロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルに送ったそうです。
34 三作目のラストシーンの謎
三作目のラストで、無事に元の時代に戻り、ようやく平穏な生活を取り戻したマーティとジェニファーのところへ、タイムマシンと化した機関車が時空を超えて突っ込んできます。
そして、中からドクとその妻、二人の息子が現れるのですが、その息子の一人が手招きのようなジェスチャーをしたあと、自分の股間を指差すという謎の行動に出るのです。
これが一体何を意味しているのかはファンの間でも意見が分かれており、監督がカメラマンに指示を出しているのを真似たのではないかとか、単にオシッコに行きたかっただけではないか、などと言われています。
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