努力は必ず報われる。
これはよく言われることですが、個人的にはあまり信じていません。
自分の経験から言えるのですが、報われない努力というのもあります。
山ほどあります。
ええ、それはもう山ほど。
しかしそれでも、人間は努力を重ねることから逃れられません。
努力することを止めたら、状況はますます悪化します。
それに、虚しい努力でも、最後の最後で報われることが(ごく稀に)ありますから…。
〈originally posted on July 12,2019〉
1 ノルウェーで4週間かけてレアな鳥を探していたが…
イギリスのコーンウォール在住の鳥類学者ジャネット・デイヴィスには、長年追い続けているレアな鳥がいました。
彼女自身、その鳥を自分の肉眼で捉えたことは一度も無かったのです。
2009年、デイヴィスは、どうしてもその鳥を見つけるため、多額の資金を費やしてノルウェーのスピッツベルゲン島を訪れました。
そこで4週間過ごし、双眼鏡を手に毎日バードウォッチングに勤しんでいたものの、お目当ての鳥には全く出会えず。
仕方なく、意気消沈したまま彼女は帰途に就きました。
我が家に戻ってきてから数日後。
何気なく家の外に目をやると、フェンスに一羽の鳥が。
よく見ればそれは、彼女がノルウェーまで行ったのに見つけられなかった鳥でした。
イギリスでは滅多に見られない希少種だからこそノルウェーまで行ったのに、イギリスで、しかも自宅の庭でその鳥を発見したというのは、その体験自体がかなりレアと言えるでしょう。
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2 家に帰ろうとして自宅とは逆方向に500kmも自転車をこいでいたが…
2017年1月、中国の日照市で、とある男性が重大な決断を迫られていました。
春節までに家に帰りたいのに、そのための旅費が無い。
一体どうするべきか。
手元にあるのは一台の自転車だけ。
その自転車に乗って帰るという方法もありますが、彼が住むチチハル市までは実に1700km以上。
時速20kmで一日8時間走り続けても10日以上かかります。
体力的にかなりキツイですが、他に方法が思いつかなかった彼は、自転車で帰ることを決意。
警察官にチチハル市へ向かうルートを聞き、それに従って自転車をこぎ始めました。
数日後、出発地点から500kmを過ぎ、安徽省の高速道路を走っていた彼は、警察官に止められ、高速道路を自転車で走るのは違法だと告げられます。
そのとき彼は、チチハル市へ向かっていることを伝えたのですが、そこで残酷な事実を知らされます。
チチハル市は全く逆の方向だということを。
つまり彼は、必死で自転車をこぎながら、どんどん自宅から遠ざかっていました。
そこからまた方向転換して自宅を目指すわけですから、2200km以上も走らねばなりません。
しかし、彼の事情を知った警察官たちが、帰りの旅費を援助したことで、2200kmも自転車をこぐ地獄からは逃れられました。
3 使う相手が一人もいない外国語をマスターしてしまったが…
学校の授業は別として、外国語を勉強している人にとって、その勉強の最大の目的は、ネイティブと自然に会話ができるようになることでしょう。
米国オハイオ州在住のジョーダン・バーレスという28歳の女性も、20歳を過ぎてから外国語を本格的に勉強し始めました。
彼女が学んでいたのは、ウェールズ語。
ちなみに、ウェールズ語はウェールズの人口の20%(約60万人)が使用している言語。
この言語を、2011年から8年間にわたって、毎日2~3時間オンラインのレッスンなどを利用して学習していました。
レッスンを続けるうちにバーレスの語学力は着実に上達し、ようやく日常的な会話がこなせるまでになったものの、彼女には一つ悩みがありました。
それは、ウェールズ語を話せる人が周りに誰もいないということ。
アメリカ国内でこの言葉を使いこなせる人は滅多にいません。
このままでは何のためにウェールズ語を勉強してきたのか分からなくなります。
そこで彼女は、自分がウェールズ語を話している動画をネットで公開。
それがきっかけとなり、ウェールズに住む数人と友人関係を築くことに成功しました。
さらに今年の5月、彼女はウェールズを訪れて、そこでついに自分のウェールズ語を現地で使う機会が得られたのです。
地元の人たちは、アメリカ人がウェールズ語を話せることにかなり驚いていたとか。
しかし、彼女にとって少し残念だったのは、彼女のウェールズ語に対する評価はネイティブの間でも分かれたということ。
発音を褒めてくれる人もいれば、アメリカ英語訛りで聞き取れないという人もいたそうです。
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4 実の姉を7年間探し続けて収穫ゼロだったが…
米国ウィスコンシン州オー・クレア市に住むヒラリー・ハリスという女性は、幼い頃に養子としてハーディ家に引き取られました。
2011年、彼女は自分が妊娠したのをきっかけに、生みの親のことを知りたくなり、独自に調査を始めます。
それにより、実の父親がウェイン・クローズという男性であることが判明。
しかし、彼は2002年に他界しており、このことはヒラリーに大きなショックを与えました。
一方、調査の過程で、自分には「ドーン・ジョンソン」という名の姉がいることが分かり、彼女はその姉を探し出すべく行動を開始。
約7年間、あの手この手を尽くしたものの、姉につながる手がかりはほとんど得られず。
しかし2017年6月、ついにこの虚しい努力が、実に意外な形で報われます。
彼女の家の隣に一組の夫婦が引っ越してきたのです。
夫の名前はカート・キャスパーソン。
そして妻の名前が……。
ドーン・ジョンソン。
もちろん、たまたま同姓同名だという可能性もあります。
しかし、ヒラリーは勇気を出してお隣の奥さんに、父親の名前を聞いてみました。
返ってきた答えは、ウェイン・クローズ。
ヒラリーの実父と同じ名です。
その後、DNA検査を行った結果、やはり二人は実の姉妹であることが分かりました。
7年間も探して見つけられなかった相手が、偶然隣に引っ越してくるというのは、やはりその7年の努力があったからこそなのでしょうか……。