アレルギーには色々な種類がありますが、最も身近なのは、食品アレルギーではないでしょうか。
アレルギー反応を引き起こす成分を摂取してしまうと、命に関わる事態になりかねません。
2012年、カナダのモントリオールで、20歳の女性が、彼氏の家にいるとき、二人でキスを交わした直後、気分が悪くなり、その後、病院で亡くなるという事故がありました。
彼女は、ナッツアレルギーだったのです。
彼氏の方は、そのことを知らず、キスの前に、ピーナッツバターを塗ったサンドイッチを食べていました。
アレルギーの原因となる食品を、自分で直接食べていなくても、キスした相手が食べていた場合、こういう事態も起こりうるのです。
今回は、アレルギーに関する、珍しい事例をご紹介します。
〈originally posted on November 17,2020〉
1 わずか数日間で、見た目が50歳も老けてしまった女性
数多あるアレルギーの中でも、特に珍しい症状に悩まされていた人がいます。
2008年、ベトナム在住のグエン・ティ・フォンという、当時23歳だった女性は、魚介料理に対するアレルギーを発症したのが原因で、わずか数日のうちに、見た目が50歳も老けました。
その2年前に挙げた結婚式の写真に写っているのは、若々しく、明るい笑顔を振りまく彼女の姿。
しかしながら、たった数日で、彼女の顔は、孫がいてもおかしくないほどのお婆さんの外見になったのです。
医師の診断によると、彼女の症状は、リポジストロフィーと呼ばれるもの。
皮下脂肪が崩壊していく一方で、皮膚の成長が止まらないので、ちょうど、脂肪吸引を施したかのように、皮膚がシワだらけになります。
グエンは、最初にアレルギー反応を起こした際に、治療薬を服用したのですが、それがかえって症状を悪化させた可能性があるのだとか。
彼女の夫は、いきなり見た目が老婆になったグエンについて、「それでも妻のことが大好きだ」と語りました。
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2 馬アレルギーの騎手
イングランドのノースヨークシャー出身である、ハリソン・ショーという24歳の男性は、犬や猫などの動物、さらには、木や花粉に対しても強いアレルギーがあり、そういったものに触れると、全身に湿疹が出ます。
子供の頃は、今よりも症状が酷く、病院で過ごすことが多かったとか。
こういったアレルギーがあるだけでも、日々の生活はかなり過酷。
しかし、彼の人生を過酷なものにしていた理由が、もう一つあります。
ハリソンの夢は、競馬の騎手になることだったのです。
当然ながら、彼は、馬に触れただけでもアレルギー反応が出ます。
よって、普通の人なら、夢を諦めているかも知れません。
しかし、2015年、彼の両親が、ハリソンのアレルギー症状を抑えるための治療法を徹底的に調査し、それにより、極めて効果の高い治療薬を発見したのです。
その薬のおかげで、ハリソンは、アレルギー反応を大幅に抑えることに成功し、念願だった競馬の騎手としてデビュー。
翌年には、レースで初勝利を飾りました。
その後は、順調に勝利を重ねており、アレルギー症状は完全には治っていないものの、それを感じさせない活躍をしているそうです。
3 自分の体をキャンバスにする女性
デンマーク在住のエマという18歳の学生は、皮膚描記症(ダーマトグラフィア)という珍しい症状を抱えています。
これにより、彼女は、肌に何かが触れるだけで、アレルギー反応を示し、その部分だけ赤く腫れるのです。
エマがこのアレルギーに気づいたのは、今から3年前。
友人から、「腕が赤く腫れ上がってるよ!」と指摘されたのがきっかけです。
この症状のせいで、周りからは、命に関わるのではないか、と過剰に心配されることもあるとか。
しかし、彼女のアレルギー反応は軽度であり、本人の話によると、特に痛みは無いそうです。
そんな彼女の肌は、ペン先でそっとなぞっただけでも、しばらくその軌跡が赤く腫れるので、ちょっとしたキャンバスのようなもの。
そこでエマは、自分の腕や肩に、簡単なイラストを描いて、友人に見せたり、インスタグラムで紹介したりしているそうです。
アレルギーを持っていると、大抵、不便な生活を強いられるものですが、彼女の場合は、むしろアレルギーをプラスに活用している点で、珍しいと言えるでしょう。
4 走るのが好きな、運動アレルギーの女性
「運動アレルギー」などという言葉からは、運動が嫌いで仕方がない人を想像してしまいそうですが、実際に、この言葉通りのアレルギーを持つ人がいます。
米国コロラド州に住む、ケイティ・ヴァノストランドという女性がその人。
現在37歳の彼女は、ある程度激しい運動を行うと、全身がアレルギー反応を示して危険な状態になる可能性があり、最悪の場合、呼吸困難に陥ります。
ケイティの症状は非常に稀で、彼女の体内では、心拍数が上がったときに分泌されるホルモンと、ある種の食材に含まれる成分とが合わさると、全身のアレルギーを引き起こすのです。
心拍数が上がる運動に該当する範囲は広く、ジョギングはおろか、犬の散歩ですら危険。
ケイティが、初めて自分の体の異常に気づいたのは、彼女が22歳のときです。
病院で診察を受けた彼女は、何らかの原因で全身がアレルギー反応を起こしていると、医師から告げられました。
しかし、一体何が原因となってアレルギー反応が起きるのかについては、長い間、何人もの医師に相談しても判明しなかったとか。
運動することが引き金になっているとは考えもしなかったケイティは、ジムで汗を流している最中に、倒れて病院に運ばれたこともありました。
その後、ようやく上記のような原因が明らかになったのですが、もともと走ることが好きだった彼女は、アレルギー反応に繋がりうるモノを極力摂らないようにすることで、運動を続けることを決意。
驚くことに、こんな症状を抱えながら、2016年にはマラソン大会にも出場しました。
しかしながら、専門家の話では、ケイティの症状には予測不能な面があるので、食事の内容に十分な配慮をしても、決して安心はできないそうです。
5 生徒のイタズラで命を落としかけた教師
学校の先生が、何らかのアレルギーを抱えている場合、最も警戒すべきは、アレルギーの対象物ではありません。
生徒です。
米国オハイオ州コロンバスの学校で、美術を教えるウッズという女性は、バナナに対して重度のアレルギーがあります。
美術室のドアには、「バナナを食べた生徒は入室前に必ず手を洗うこと」という警告文が貼られているので、生徒たちは全員、彼女のアレルギーについては了解済み。
しかし、どんな学校にも、タチの悪い生徒はいます。
2018年11月、12~13歳の生徒3人が、イタズラで、美術室のドアの取っ手に、バナナをなすり付けておいたのです。
そうとは知らないウッズ先生が、いつものようにドアを開けようとした瞬間、彼女は、全身にアレルギー反応を起こし、息が苦しくなり、肌が変色していきました。
すぐに病院に搬送されたことで、彼女は一命をとりとめましたが、医師によれば、極めて危険な状態だったとか。
その後、問題を起こした生徒たちは、保護観察の処分を受けています。
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6 電気の無い人生
ウェールズの首都カーディフに住むピーター・ロイドという47歳の男性は、「電磁波過敏症(EHS)」を患っています。
その名が示す通り、彼のアレルギーの対象は、電磁波。
本人の話では、電気を使ったモノや、電磁波を発するモノがそばにあるだけで、激しい苦痛を感じるのだとか。
そのため、ロイドは、ケータイを使うことが出来ず、テレビも見られません。
家の外を出歩けば、車とすれ違ったり、WiFiのエリアに入ったりする可能性があるので、基本的に、彼は家の外に出ることも出来ないのです。
これだけでもかなり不便ですが、さらに厄介なのは、冷蔵庫やエアコンといった、生活に必須の白物家電でさえアウトという点。
よって、彼は、非常に特殊なライフスタイルを強いられます。
そして、2015年には、その特殊な生活が災いし、大家から家の明渡しを請求されました。
その後、家を追い出されたロイドは、テント暮らしを余儀なくされ、ホームレス同然の状態に。
以前は、フィットネス・インストラクターをしていた彼ですが、このアレルギー症状は、彼の人生から実に多くのものを奪ったと言えそうです。