時間
は全ての人に平等に与えられている。
たまにこういうことを言う人がいます。
一日が24時間であることは誰にとっても同じ、という意味なのでしょう。
しかし、この言葉には、ほとんど何の意味もありません。
何故なら、人が自由に使える時間は、全く平等では無いから。
多くの時間を好きに使える人もいれば、何一つやりたいことが出来ないまま忙殺される日々を過ごす人もいます。
考えてみれば、我々人間に平等な要素なんて一つもありません。
だからこそ、不平等に与えられた時間を、いかに有効に使うかは重要です。
今回は、やってはいけない「時間の使い方」をご紹介します。
〈originally posted on July 19, 2022〉
1 テレビを観る
毎日、長時間テレビを観ることは、明らかに健康に悪いイメージがあります。
テレビの前にいる時間が長ければ長いほど、運動不足を招きますから、これはある意味当然。
しかし、運動不足による体力低下の他にも、危険な要素があります。
それは、認知機能の低下。
2021年にアメリカの学会で発表された研究内容によると、中年期(40代~50代)における長時間のテレビ視聴は、高齢になってからの認知機能低下を加速させる可能性があるそうです。
これは、大脳の「灰白質」と呼ばれる部位が萎縮してしまうのが原因。
灰白質は、様々な認知機能に関係している重要な部位です。
一日のテレビ視聴時間が1時間増えるごとに、この灰白質の容量が、高齢になってから0.5%減るのだとか。
テレビがこのような悪影響を持つ理由の一つは、テレビが「受け身型」の娯楽だから。
テレビを観るのは、自ら能動的に働きかけていく要素に乏しいため、あまり脳を使うことなく、ただ時間だけが過ぎていくのです。
なお、ここでの「テレビ」には、当然ながら動画配信サービスも含みます。
よって、おじさん、おばさんになってからは、お気に入りのドラマを毎日何時間も観るのは避けた方がいいでしょう。
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2 極力日光を避けて過ごす
猛暑、酷暑、残暑。
日本の夏はとにかく暑い。
湿度も高いので、外に出れば途端にムシムシ。
この時期は、少しでも屋内にいたいと誰もが思います。
いっそのこと、一秒も日光に当たらずに過ごしたい。
そういう人もいるかも知れません。
しかし、日光に全く触れない生活を続けるのは危険です。
それは、体内で作られるビタミンDが減ってしまうから。
ビタミンDの不足は、種々の弊害をもたらします。
例えば、骨の弱化、肌のトラブル、体重増加など。
さらに、専門家の話によれば、ビタミンD不足の影響は身体だけでなく、精神面にも及びます。
十分な日光を浴びないことで、体内のセロトニンが減少し、そのことが、うつ病などのリスクを高めるのだとか。
ほとんど陽に当たれない日が続く場合は、サプリメントでビタミンDを摂ることも有効であるとされています。
3 何度もイチャコラしまくり
カップルにとって最も重要な時間の一つと言えば、夜のイチャコラであります。
これ無くして何がカップルか、と言えるのではないでしょうか。
ないでしょうか(2回目)。
特に、若いうちは、多くの回数をこなしたいという欲求が(主に男の側に)あり、それを実現するだけの体力も十分。
しかし、アメリカのカーネギーメロン大学での研究によれば、イチャコラのし過ぎは、かえって幸福感を減退させるそうです。
これは、頻度が高くなるほど、お互いに相手を求めようとする欲求も減ってしまうからだとか。
若いとは言え、回数はほどほどにしておくのが良さそうです。
4 ヘッドホンで音楽を聴きまくる
電車などでの移動中にMP3プレイヤー等を使って好きな音楽を楽しむ人は多いでしょう。
ヘッドホンやイヤホンを通して大音量で音楽を聴くことが聴覚に悪いのは誰もが知っています。
しかしながら、ドバイにあるメドケア・ホスピタルでの研究によれば、適度な音量であっても、長時間聴くことは聴覚にダメージがあります。
一般的なMP3プレイヤーの場合、60%の音量で5時間以上聴くと聴覚に悪影響が出始めます。
さらに、音量を90%にして聴いた場合、わずか10~15分程度聴くだけでもダメージがあるとか。
ヘッドホンを使用する際は、適度な音量で、短時間のリスニングにとどめておきましょう。
5 SNSで時間が過ぎていく
スマホを触ればすぐにSNSをチェック。
ツイッターで今何がトレンドに上がっているのか、数分おきにチェックしないと居ても立っても居られない。
こういう人は、特に若い世代に多いと言えます。
しかし、SNSにどっぷりハマるのは少々危険。
アメリカにあるアーカンソー大学での研究によれば、一日あたり5時間以上SNSに触れる人は、2時間以下の人に比べ、うつ病になる確率が約3倍になります。
SNSの利用とメンタルヘルスとの関係はかなり前から研究されていますが、「鶏が先か卵が先か」という面がありました。
つまり、SNSにハマることがうつ病の原因になるのか、うつ病の症状のある人ほどSNSにハマるのか、判然としなかったのです。
しかし、研究を主導したブライアン・プリマック博士の話によると、上記の研究では、うつ病がSNS利用の引き金になる傾向は見られなかったのだとか。
ということは、SNSの利用が原因で、うつ病の傾向が強くなるということ。
SNSがうつ病を招きかねない理由として、時間を有効活用できない点が挙げられます。
SNSにばかり時間を取られて、家族や友人との直接的なコミュニケーションが減ったり、仕事で役に立つスキルを身につけるための時間が無くなったりするのです。
その結果、孤独感や劣等感、焦燥感などが生まれるというわけ。
さらに、子供の場合はもっと深刻です。
ドイツにあるIZA労働経済学研究所において10~15歳を対象に行われたリサーチによると、一日あたり1時間SNSに費やすだけで、人生に対する幸福感が14%も下がるのだとか。
ただしこれは、友人関係を除きます。
つまり、SNSを通じた友人とのやり取りは楽しいものの、それ以外の面については幸福感が下がるということ。
SNSに関連したこういった影響は、男子よりも女子の方が顕著に現れるとされています。
6 立ちっぱなしで仕事をする毎日
毎日、すっとデスクに向かって座り仕事というのは、かなり体に悪そうです。
実際、座りっぱなしがもたらす悪影響についての研究は数多く存在します。
では、立って仕事をすれば問題無いのか。
座りっぱなしの弊害を無くすため、立ち仕事を可能にしてくれる「スタンディングデスク」を使えば、健康上の問題から解放されそうな気がします。
ところがどっこい。
スイスにあるチューリッヒ工科大学での研究によれば、立ちっぱなしにも大きな弊害があります。
毎日、立ちっぱなしで仕事を続けると、長期的に見れば、腰痛や筋肉痛など、体の様々な不調の原因になりうるのだとか。
長時間の立ち仕事の後、本人はそれほど疲労を感じていなくても、体への疲労は着実に蓄積していきます。
その疲労が完全に回復しないうちにまた立ち仕事、という悪循環が、さらに体にダメージを与えるのです。
こういったダメージは、場合によっては心臓疾患にもつながるそうなので、軽視できません。
座りっぱなしが体に良くないからといって、単純に、立ちっぱなしの生活に切り替えるのは、止めた方がいいでしょう。
ちなみに、ある調べによれば、世界の労働人口の約半数は、一日の75%を立って過ごすのだそうです。
7 スマホゲームで日が暮れる
「ゲームは一日1時間!」
これは、ゲーム界のレジェンドである高橋名人の至言。
ゲームは一日に1時間以上もやるべきではありません。
アホになります。
大げさでなく、本当にアホになるのです。
アメリカにあるラトガーズ大学ニューブランズウィック校での研究によると、10代の若者について、一日にネットやSNS、ゲームなどに費やす時間が1時間を超えている人は、学校での成績が極端に低い傾向が見られるのだとか。
また、それらに費やす時間が一日あたり4時間を超えている人は、そうでない人よりも、学校をサボる確率が4倍も上がるそうです。
研究を行ったヴィヴィアン・アンソニー教授の話では、このような弊害は、女子生徒よりも男子生徒の方が顕著だとされています。
確かに、暇さえあればLINEをやって、YouTubeの動画を観て、スマホゲームで遊んで、ツイッターをチェックして、インスタを観て、TikTokを観て……などという生活をしていれば、勉強する時間などまず無いでしょう。
少し意外なのは、こういったことに費やす時間が、一日1時間を超えているだけでも成績が急降下するという点。
逆に、一日にネットやゲームに使う時間が1時間未満の生徒は、学校での授業に集中しやすい傾向があります。
上記の研究は2021年に実施されたものですが、それより遥か以前に先の名言を世に広めていた高橋名人はやはり偉大です。
アンソニー教授は、子供のスマホ使用時間について、親が制限をかける必要性を強調しています。
8 寝る間も惜しんで勉強
「スマホでゲームし過ぎた分は、睡眠時間を削って勉強して取り戻す!!」
そう考える人もいそうです。
しかし、人間の体はそう上手くは出来ていません。
アメリカのマサチューセッツ工科大学で行われた研究によると、毎日の睡眠時間が約6時間半の生徒は、それより1時間多く寝る生徒に比べ、全体的に成績が50%も低いのだそうです。
学習のパフォーマンスを最高に高めるためには、最低7時間の睡眠時間は必要なのだとか。
また、就寝時間も重要で、深夜2時以降にベッドに入る場合、たとえ7時間以上寝ても、やはり成績は下がります。
要するに、効果的に勉強するには、あまり夜更かしせず、十分な睡眠を取る必要があるということ。
ただし、この結論に対しては、成績の悪い生徒ほど、生活リズムが乱れている傾向が強いので、原因と結果が逆の面があるとも指摘されています。
上記の研究は学生を対象に行われたものですが、社会人にとっても睡眠時間は重要です。
社会人で、難関資格を取るために働きながら勉強している人の中には、毎日の睡眠時間を3~4時間にして勉強を頑張っているという「美談」を語る人が時々いますが、これは危険。
特に、50~60代の人は要注意。
フランスのパリ大学での研究によれば、中年期における一日の睡眠時間が6時間未満の場合、高齢になってから認知症になるリスクが上がるそうです。
若いときは多少無理をしても平気かも知れませんが、年をとってから無理をすると、いずれそのしわ寄せが来ると言えるかも知れません。
9 部活動地獄
学生の本文は勉強。
……のはずなんですが、実際は部活動に取られる時間がやたらと多いのが現実。
気合の入っている運動部だと、朝練は当然として、土日も部活、夏休み、冬休みもほぼ休み無しで部活。
子供が部活に費やす時間が長いほど、家族と過ごす時間が短くなるというデメリットがあります。
これはある意味当然の結果ですが、イギリスにおけるリサーチによれば、部活動のやり過ぎは、子供の成長そのものにも悪影響があるのだとか。
日本の場合、部活動は、学校側から生徒に対するプレッシャーによって行われることが多いですが、イギリスの場合は、それに加え、「良い親」であらんとするために親が積極的に子を部活に参加させるのだそうです。
もちろん、部活動に専念することにはメリットもあるのですが、過度な部活動は、子供にとっても親にとっても大きな負担となります。
さらに、日本では、いわゆる「体育会系」が持つメリットも、最近では疑問視され始めています。
就職情報サイト「マイナビ」の木村雅人氏によると、企業側が求める人材は、昔とは異なり、言われたことを忠実に実行する「体育会系」では無くなってきているとのこと(NHKニュースの記事より)。
特に、リモートワークが定着してきたコロナ時代においては、自主的に判断・行動する能力が高く評価されるようになってきているのだとか。
部活を必死に頑張っていれば、それだけで進路はなんとかなる、という時代ではないことを意識しつつ、部活動と上手に付き合う必要がありそうです。
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10 ヒマ過ぎてあくびが出る
この世で最も時間を持て余している人々。
それは、自宅警備員の方たち。
いつも警備ご苦労様です。
さて、時間を持て余すということは、一日中、好きなことをして過ごせるということ。
そんな生活、羨ましいと思う人もいるかも知れません。
しかし、それは違います。
アメリカのペンシルベニア大学ウォートン校において、22000人のアメリカ人を対象に行われた研究によると、一日あたりの理想的なフリータイムは、2~5時間。
この時間枠であれば充実した余暇を楽しめるのですが、5時間を超えてしまうと、逆に幸福度は下がり、ストレスを感じるようになるのです。
結局、我々は仕事ばかりでも余暇ばかりでもストレスに悩まされます。
要はバランスが大事、ということなのでしょう。