困っている人
がいたら、助けたくなるのが人情というもの。
多くの場合、助ける側は、特に見返りなどは求めません。
「当然のことをしたまで」というわけです。
しかし、その当然のことをしたがために、悲惨な運命が待っているとしたら……。
(アイキャッチ画像:StockSnap/Pixabay)
〈originally posted on January 26,2020〉
1 迷子を助けた後に待っていた地獄
かつて、ある女性漫画家は言いました。
「幼い女の子と成人男性が歩いていたら、怪しいから声をかけるべきだ」と。
確かに、道行く人の誰もがこれを実践すれば、誘拐事件は減るかもしれません。
ただ、自分の娘と普通に散歩している父親は、なかなか厳しい生活を強いられます。
父親でなければ、さらに過酷な運命が待っていることも。
2017年のある日、米国フロリダ州レイクランドで、オースティン・ストリックランドという男性が、ソフトボールの試合に参加するため、妻と2歳の娘を連れて球場に来ていました。
しかし、当日はかなり人が多かったため、娘とはぐれてしまったのです。
人混みをかきわけ、迷子になった2歳児を見つけるのは、容易ではありません。
そんな中、球場に来ていたある男性が、明らかに親とはぐれた感じの女の子を発見。
彼は、その子に話しかけ、両親と最後にいた場所などを聞きつつ、親を探し始めました。
ちなみに、彼が単に迷子を助けようとしていただけであることは、複数の目撃者の話から、ほぼ確実だと思われます。
しばらくして、ストリックランドが、自分の娘と男が一緒にいるのを目撃。
その瞬間、彼は、その男が娘を誘拐しようとしているものと勘違いしました。
彼はいきなり、その男性をぶん殴ってノックアウトしたのです。
最終的に、警官が間に割って入り、何とかその場は収まりました。
しかし、ストリックランドの怒りは収まらず、彼は、その男性の名前や職場、家族の写真などをSNSに投稿し、フォロワーに拡散を促したのです。
ネット上で完全に誘拐犯扱いされ、自宅の住所をも特定されてしまったその男性は、脅迫文まで家に届くようになったことから、身の危険を感じ、遂に、町から出ていくことを決意。
この騒動を受けて、レイクランド市警は、市民への警告として、虚偽の情報をSNS上に投稿し、それにより他人が中傷される事態を招いた場合、法的責任を負う可能性があることを強調しました。
【スポンサーリンク】
2 親切なタクシードライバーを襲った悲劇
StockSnap/Pixabay
他人に親切にしたばっかりに、悲惨な目に遭った例をもう一つご紹介します。
イングランドのグレーター・マンチェスターに住むフランシス・マクブライドという男性は、40年以上の経歴を持つベテランのタクシードライバー。
2015年5月29日夜、当時71歳だったマクブライドは、二人の若い男性客を乗せました。
彼らは酒に酔っており、おまけに、目的地までの所持金を持っていなかったのですが、深夜の街中に放置しておくのが可哀想になったマクブライドは、そのまま車を発進させたのです。
しかし、しばらくすると、後部座席にいるマイケルが、マクブライドにヘッドロックをかけ、続いて、助手席にいるダニエルが、彼の顔面を何度も殴打。
そして二人は、タクシーの売上金などを奪い、「通報するなよ」とだけ言い残して逃走しました。
顔に酷い怪我を負いながら、マクブライドは、近くのスーパーマーケットから警察に通報。
その後、住民からの情報提供のおかげで、マイケルとダニエルの二人は逮捕されました。
彼らは、強盗の容疑を否認していましたが、裁判で、それぞれ懲役6年、懲役6年6ヶ月が言い渡されています。
マクブライドは仕事に復帰したものの、深夜の時間帯は、どうしても事件のことを思い出してしまい、恐怖心が先走って業務が出来なくなったそうです。