宇宙飛行士でなくとも、一般人が宇宙旅行に行くことは、近い将来、珍しくなくなるでしょう。
もちろん、超が付くほどの金持ちに限定されますが……。
それでも、金さえあれば誰でも宇宙空間に行けるというのは、驚くべきことだと思います。
宇宙については、一般的な知識については大抵の人が有していますが、逆に、一般的にはあまり知られていない事実もあります。
今回は、知っているようで意外と知らない、宇宙に関する興味深い事実の数々をご紹介します。
〈originally posted on May 21,2015〉
1 宇宙で人は爆発するのか
人間が防護服無しに宇宙空間に放り出されたらどうなるのか。
地上においては、気圧に耐えられるだけの圧力が身体の内部からも発生しているので、人は気圧に押しつぶされることがありません。
しかし、宇宙では「気圧」が存在しないわけですから、内部からの圧力によって、風船のように爆発すると考える人が多いのではないでしょうか。
ポール・バーホーベン監督の名作『トータル・リコール』の中にも、そのようなシーンが出てきます。
しかし、この結論は誤りなのです。
人間の体は風船などよりもはるかに頑丈にできていまして、自らの内圧によって爆発してしまうことはなく、せいぜい体が少し膨らむ程度。
実際、1966年には宇宙服無しで、実験的に超低気圧の状態に置かれた男性がいるのですが、意識を失ったものの、「爆発」のような現象は起きず、彼は後に完全復活したそうです。
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2 宇宙で人は凍えるのか
宇宙を舞台にした映画の中では、宇宙船の外に放り出された人が凍え死にそうになるシーンが描かれることがよくあります。
では、宇宙で人は「爆発」しないにしても、凍えてしまうのでしょうか。
実はこれ、真逆なのです。
湯飲みに熱いお茶を注いでしばらく待つと、お茶全体の温度が下がってきます。
ごく当たり前の現象ですが、これはお茶の上部から空気中へ熱が逃げていくため。
しかし、宇宙空間には空気が無いため、熱の逃げ場所がありません。
よって、宇宙では身体内部から発生した熱がどんどん体内に溜まって体温はグングン上昇していくのです。
3 宇宙で人の血液は沸騰する?
これは、先ほどの「体温上昇」とは関係ありません。
「沸騰」という現象は、液体内部から発生する圧力と、外部の気圧が一致したときに起きるので、周りの気圧が低ければ低いほど、低い温度で沸騰が起きるのです。
そうなると、気圧がゼロの宇宙空間では、人間の体内に流れる血液は「一瞬」で沸騰するのではないか、とも思えます。
実際、超低気圧下で行われた実験によれば、人間の「だ液」はほぼ一瞬で沸騰し、跡形も無く消えてしまうのだそうです。
ところが…。
血液は沸騰しないのです。
これは、血管によって血液自体の圧力が保たれているため。
よって、体の表面近くにある液体は沸騰してしまいますが、血液まで沸騰することはありません。
4 太陽は「燃えて」いるのか
これは意外と誤解している人が多そうですが、結論から言うと、太陽は、
燃えていません。
太陽は巨大なガスの塊で、核融合によって膨大な熱と光を発しているわけですが、いわゆる日常用語的な意味で「燃えて」いるわけではありません。
5 ブラックホールは「うずしお」のような形なのか
映画からアニメ、ゲームに至るまで、ブラックホールは「うずしお」のような形状をしていて、それに近づく宇宙船などを飲み込んでいくイメージがありますが、これはブラックホールの実態とはかけ離れているのです。
実際のブラックホールは、ほぼ「球体」をしています。
途轍もない重力から成る巨大な惑星といった感じです。
6 再突入時の高温は「摩擦」が原因なのか
スペースシャトルが大気圏に再突入する際、機体が高温の空気に包まれるのはよく知られている事実ですが、では何故この現象が起きるのか。
これに対してよくある説明は、
機体と大気との「摩擦熱」が原因
というもの。
しかし、これも事実とはやや異なります。
もちろん、摩擦熱が発生することも一因にはなっているのですが、主な原因は空気が「圧縮」されることによる発熱です。
高校の物理で習いますが、気体は膨張させると温度が下がり、圧縮すると温度が上がります。
そして、スペースシャトルが大気圏に再突入するとき、機体の周りの空気が急激に圧縮された状態になり、一気に高温になるのです。
7 彗星の「尾」は進行方向の反対側にできるのか
彗星は、進行方向の反対側に「尾」を作りながら突き進むイメージがありますが、意外なことに、彗星の進行方向と「尾」の向きは無関係なのです。
というのも、あの「尾」は太陽風の熱を受けて融けた彗星の一部が一時的に残留したものなので、どういう方向へ進もうと常に太陽と反対側にできるのです。
8 宇宙は本当に「無重力」なのか
こんな質問をチビッ子にぶつけたりしたら、
「無重力に決まってんじゃん。バッカじゃねーの」
などと言われそうですが、実は、宇宙には真の「無重力」あるいはそれに近い空間は存在しないそうです。
ということは、これまで本当の意味での無重力を体験した宇宙飛行士も一人としていないということになります。
こんなことを言うと、
「地球の周りを漂う衛星や宇宙船、宇宙飛行士は一体何なのだ」
と反論されそうですが、厳密にはそれらは全て、
地球に落下している最中
なのです。
では何故地球にぶつからないのかというと、地球自体も「公転」という移動を続けているからです。
つまり、宇宙において「無重力」の中を浮いているように思えるものも、実際は地球という惑星の重力の影響を受けているのです。
スペースシャトルの中で、宇宙飛行士たちがフワフワ宙に浮きながら地球にメッセージを送る映像はおなじみですが、あれはシャトルの移動速度と、中の宇宙飛行士の移動速度が全く同じであるために「浮遊」しているように見えるのです。
ちょうど、エレベーターが下がるとき、一瞬だけフワッと体が浮いたような感覚になるのと似ています。
実際、『アポロ13』という映画の「無重力」シーンを撮影したときは、飛行機を地上9000mまで上昇させ、そこからエンジンを止めて「自由落下」させながら「23秒間」の無重力状態を作ったのです。
そして重要なのは、映画の撮影に利用されたこの「無重力」は、実際の宇宙飛行士が体験している「無重力」と同じだということなのです。
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