先日、毎年恒例の「各都道府県の魅力度ランキング」が発表されました。
これに対して、怒りを顕にしたのが、群馬県の山本知事。
同県が44位であるという結果は、信頼度が低いとして、法的措置も検討するとのこと。
魅力度ランキングは、47都道府県の全ての順位を発表するので、その結果を逆に読めば、「魅力が無い度ランキング」を発表しているのと同じ。
つまり、このランキング自体が、すでにネガティブなメッセージを含んでいます。
そう考えると、魅力が無いとされた県の知事や県民が、不満を漏らすのも無理はないでしょう。
しかし、我々の生活にとって重要なのは、都道府県の魅力度ではなく、人間の魅力度です。
「人間、見た目よりも中身」と言えば聞こえがいいですが、結局、「見た目が物を言う」場面が多いのも現実。
今回は、人の魅力度が影響する意外なモノの数々をご紹介します。
〈originally posted on October 22, 2021〉
1 学生の成績は、先生の魅力度が高いほど良い
イケメンの先生と、ブサメンの先生。
生徒にとっては、どちらの先生が良いのか。
こと成績に関しては、イケメン先生で決まりです。
今から5年前、アメリカのネバダ大学で、面白い実験が行われました。
被験者である約130名の学生を2つのグループに分け、それぞれに全く同じ講義を録音したものを聞かせたのです。
ただし、担当講師の写真として、一方のグループは魅力的な講師の写真を見ながら、他方のグループは魅力的でない講師の写真をみながら。
講義を聞かせた後、その内容に関する試験が行われました。
その結果、魅力的な講師の写真を見ながら講義を聞いていたグループの方が、成績が良かったのです。
実験に参加した学生たちにアンケートを取ったところ、「魅力的な講師」に対する評価として、講師の能力が高いという印象を受けた、話の内容が分かりやすい、といった肯定的なものが多く見られました。
実験を行ったマレー・ミラー教授は、
「従来は見過ごされてきたが、講師の外見的な魅力が、生徒の学習効果に影響する可能性がある」
とコメントしています。
この研究結果が正しいとすると、イケメン先生や美人の先生は、自分の講義に生徒たちの注意を引きつける上で、一定のアドバンテージがあると言えそうです。
逆に、ブサメン先生の場合、講義の内容を十分に面白く、分かりやすくしないと、イケメン先生と肩を並べることは出来ないかも知れません。
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2 子供はブサメンよりイケメンを信頼する
「公園で怪しいおじさんに声をかけられても、絶対に相手にしてはダメ」
自分の子供にこう言い聞かせている親は多いことでしょう。
しかし、安心してください。
本当に、ヤバいほどの怪しさ全開の、激烈ブサイクなオヤジの言うことを、子供は信用しません。
数年前に『フロンティアズ・イン・サイコロジー』という学術誌に掲載された研究結果によると、子供は、魅力度の低い大人より、魅力度の高い大人の方をより信頼するそうです。
この研究で対象とされたのは、8歳、10歳、12歳の子供たち。
全ての年齢において、相手の顔が魅力的であればあるほど、子供はその大人を強く信頼する、という結果が出ました。
逆に言えば、ブサイクな大人の言うことは、信用しません。
興味深いことに、3つの年齢の中で、この傾向が最も顕著だったのは、12歳のグループでした。
これはつまり、年齢が高くなるほど、ブサイクを信用しなくなるということ。
先程の、先生の魅力度の件と合わせると、ブサメンの小学校教師は、かなりのハンデを背負っていると言えるかも知れません。
3 男は笑わない方が魅力度が上がる
今から10年ほど前に発表されたものなので、ちょいと鮮度が低いですが、男性は、笑っている時よりも、笑っていない時の方が、女性にとって魅力的に見える、とする研究結果があります。
これは、カナダの研究チームによって、約1000人の男女を対象に行われた実験によって得られたもの。
ただしこれは、あくまで「パッと見の第一印象」での魅力度です。
その男性と付き合いたいか、結婚相手として相応しいか、などといった判断は含まれていません。
笑顔の男性があまり魅力的でないと見られてしまう原因は、笑顔の時の方が、女性的な印象を与えるからではないか、とされています。
ちなみに、女性の場合は逆に、笑っていない時より、笑っている時の方が、男性にとって魅力的に見えるのだとか。
この研究結果をどこまで信用してよいものか判断しづらいですが、少なくとも、いつもニコニコしている男性は、あまり魅力的に見えないのかも知れません。
4 ブサメンと犯罪率の微妙な関係
かつて、アメリカのコロラド大学とジョージア州立大学で、15000人の高校生を対象にして、顔の魅力度と犯罪率の関連性が調べられたことがあります。
その高校生たちの魅力度を5段階で評価した上で、彼らのうち、後に犯罪者となった者について、その魅力度が確認されたのです。
その結果、魅力度が下がるほど、犯罪者となった割合も上がるという事実が判明。
指名手配犯の顔写真というのは、たいてい極悪な雰囲気を出しまくっていますから、この結論は、それほど意外ではないかも知れません。
では、魅力度が低いと犯罪に走る確率が上がる原因は何なのか。
研究者らによれば、魅力度の低い人は、就職率も低いというのが一因ではないか、とのこと。
また、たとえ就職できても、魅力的な人たちよりも収入が低くなりがちという点も指摘されています。
こういった事情は、国によってかなり異なるでしょう。
顔の良し悪しで露骨に就職差別を行うような国や地域の場合は、上記の傾向がハッキリと現れそうな気がします。
5 顔の良し悪しは学校の成績に影響する
冒頭で、先生の顔の魅力度が、生徒の成績に影響する、という話をしました。
では、生徒本人の魅力度は、成績に影響するのか。
2016年に、アメリカのデンバーにある大学が行ったリサーチによると、魅力的でない生徒は、魅力的な生徒に比べ、成績が低くなる傾向にあるそうです。
これは、魅力的な生徒の方が頭が良い、ということではなく、魅力的でない生徒の方が、全体的に、教員から低く評価される確率が高いことを意味しています。
言ってみれば、ブサイクというだけで、成績面でペナルティを受けているようなもの。
これだけでも不快な結果ですが、奇妙なことに、これが当てはまるのは、女子生徒だけ。
男子生徒の場合、本人の顔がどうであろうと、教員からの評価は変わらないそうです。
しかもこの結果は、教員が男性か女性かによって異なりません。
女子生徒だけが、見た目で不当な扱いを受ける理由については、明確には分かっていないのだとか。
このリサーチはアメリカで行われたものですが、日本にも十分当てはまりそうな気がします。
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問 都道府県の魅力度ランキングは必要か
ここまで書いてきたように、人の魅力度は、我々の生活の様々な面に関わってきます。
では、都道府県の魅力度はどうか。
あくまで個人的な意見ですが、これについては、大して重要だとは思えません。
少なくとも、例の魅力度ランキングに関しては、「魅力的か否か」という評価があまりにもザックリし過ぎている上に、どういう基準で魅力的だと判断されたのかも曖昧。
よって、自分の出身地や現在住んでいる場所が、魅力的だと言われようが、魅力が無いと言われようが、いまいちピンと来ないのです。
お前の出身地はこんなにランクが低いぞ、と見せつけられても、魅力が無いとされている具体的な根拠が分からないので、「へー、そーですか……」という感想しか湧いてきません。
正直、このランキングを律儀に毎年発表する意味があるのかすら疑問に感じます。
群馬県の山本知事は、かなりご立腹の様子ですが、そこまで真剣に捉える必要はないでしょう。