誰もが無料で使えるオンライン辞典、ウィキペディア。
僕自身、記事を書くに当たって、よく利用させてもらっています。
分からないことがあれば、グーグルで検索するか、或いは、直接ウィキペディアで検索。
これで、大抵の疑問は解消されます。
大変便利なサイトであり、世界中から毎日膨大な数のアクセスがあるわけですが、それでいて、広告が一切表示されない。
これはつまり、サイトの運営費用は、基本的に利用者からの寄付によって賄われているということ。
では、寄付をすると一体何が待っているのか。
今回は、その辺りのことを、僅かばかりの寄付をした経験のある筆者がご紹介しましょう。
〈originally posted on July 23, 2021〉
1 ジミー・ウェールズからメールが届く
誰だよそれ、というツッコミが聞こえてきそうですが、彼は、ウィキペディアの創設者(上掲イラスト)です。
メールの中で、寄付をしたことに対して痛く感謝されます。
ちなみに、寄付した金額によってメール内容が変わる、といったことは無い模様。
ご存じの方も多いでしょうが、ウィキペディアは、誰もが自由に記事を利用できるようにするため、サイト上に広告を表示しないという方針をずっと貫いています。
だからこそ、読者からの寄付は非常に貴重。
寄付者全員に、サンキュー・メールが届くのも頷けます。
2 自分が2%の一人であるというレア感
普段、ウィキペディアを利用している人の中で、寄付を行うのは、全体のわずか2%に過ぎないのだとか。
逆に言えば、98%の人は、寄付には関心が無く、専らウィキペディアで調べものをするだけ。
これだけ規模の大きなサイトが、利用者のたった2%からの寄付で存続しているというのは、正直驚きです。
寄付をした人は、何か特典があるわけではないですが、強いて言えば、自分がその2%の一人だという「レア感」を味わうことができます。
3 忘れた頃に、またメールが届く
一度、ウィキペディアに寄付すると、忘れたころに、またメールが届きます。
そのメール内容は、簡単に言うとこんな感じ。
「アナタ、以前寄付してくれましたよね。
じゃ、今回もどうですか。
寄付しちゃいましょうよ。
大変なんスよ、サイトの維持は。
アナタみたいな理解者、滅多にいないんですから。
だからホレ、サクッとやっちゃいましょう。
寄付!」
一度寄付してくれた親切な人なら、二度目も寄付してくれるハズ。
二度した人なら、三度目も……。
おそらくは、こういう考えが根底にあるのでしょう。
そしてその考えは、たぶん間違っていません。
一度でもウィキペディアに寄付した人は、継続的に寄付する人の方が、多いと思います。
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問 ウィキペディアは本当に寄付が必要なのか
読者に対して、寄付の重要性を切実に訴えてくるウィキペディアを見ていると、やはり非営利組織をやっていくのは大変なんだな、と思わされます。
では、実際のところ、ウィキペディアは、毎年どれくらいの資金を得ているのか。
調べてみたところ、2018年~2019年では、約2865万ドル。
日本円にして、31億円を超えています。
ウィキペディアを運営しているスタッフの数は、250人前後とされていますから、十分な金額でしょう。
ちなみに、この金額の中には、Amazonなど、巨大企業からの莫大な寄付も含まれています。
これだけの資金を得ていながら、一般の読者に対して「寄付してネ!」というメッセージを発信する必要はあるのか。
この点は少し疑問に感じますが、非営利組織というのは、自己を取り巻く状況が大きく変化したときのために、ある程度は、準備金のようなものを確保しておく必要があるのだとか。
つまり、潤沢な資産があっても、寄付を募る必要性はあるということ。
よって、「読者に寄付を懇願している」=「ウィキペディアが存続の危機」ということではないのです。
さらに言えば、ウィキペディアは、今年の後半には、「ウィキメディア・エンタープライズ」という新たなサービスを開始する予定です。
これは、ウィキペディアが誇る膨大な情報を利用できる、開発者向けツールを有償で企業に提供するというもの。
これがスタートすれば、今よりもさらに安定して資金を確保できるようになるはず。
しかし、それでもやはり、読者に対して寄付を迫ってくるメールは、途絶えることは無いでしょう。