女性の方が男性よりも長生きするのは常識です。
しかしながら、女性の方が命の危険にさらされていることを示す科学的データがあります。
それも、1つや2つではありません。
まあ、記事のタイトルからして最低でも5つあるわけですが…。
今回は、健康面での男女不平等についてご紹介します。
ちなみに、男性の方が寿命が短い一因として、健康問題を軽視する割合が女性よりもはるかに高い点が挙げられるそうです。
〈originally posted on November 17,2019〉
1 女性の方が交通事故で死にやすい
イギリス人ジャーナリストのキャロライン・クリアド=ペレス氏の書いた本によれば、交通事故において、女性は男性よりも軽傷を負う確率が71%高く、さらに、重傷を負う確率は47%、死亡する確率は17%高いのです。
この違いを生んでいる原因は一体何なのか。
女性の方が運転に問題があるからでは、と思った方は、残念ながら大ハズレです。
イギリスの自動車保険会社が行った調査によれば、概して女性ドライバーの方が安全運転をしています。
特に、速度に関しては、男性の方が女性より46%もスピード違反を犯す確率が高いのです。
この傾向は年齢が若くなるほど顕著になり、17歳のドライバーで比較すると、上記の確率は76%に上がります。
事故が発生しやすい時間帯である夜の運転に関しても、やはり女性ドライバーの方が安全運転をすることが分かりました。
一言でいえば、女性の方がドライバーとしては優秀なのです。
では、なぜ女性の方が交通事故で負傷しやすいのか。
その理由は、車体の安全メカニズムが、基本的に男性の体型を想定して設計されているから。
例えば、車の衝突実験に使われるダミー人形は、昔は身長177センチ、体重76キロの人に合わせて作られていました。
女性の体型に合わせたダミー人形が使われるようになったのは、比較的最近の話。
また、身長が低い女性の場合、前方を確認しやすいように上体をハンドルに近づけて運転する傾向がありますが、これにより、衝突事故が起きたときの身体へのダメージが大きくなるのです。
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2 女性の方が病院で間違った薬を処方されやすい
カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学のスティーブ・モーガン教授が行った研究によれば、年配の女性は、男性に比べて、病院で間違った薬を処方される確率が23%高いそうです。
これは、ブリティッシュ・コロンビア州に住む65歳以上の約66万人について、2013年のデータを基にして得られた結果。
高齢者の患者の場合、適切でない薬を服用することで体に悪影響をもたらす可能性があります。
この危険性について、医師や薬剤師への注意喚起がなされてはいるのですが、高齢者に対して誤った薬や不適切な薬が処方されるケースが後を絶たないとか。
しかも、全体的にみて、男性よりも女性の患者に対してその傾向が強いのです。
また、これはイギリス限定の話になりますが、2003年から2013年の間にイングランドとウェールズにおいて心臓疾患で亡くなった女性のうち、約8000人の患者は、男性患者と同水準の治療を受けなかったために死亡した可能性があるのです。
これは、心臓発作が一般に男性の病気と思われているのが一因。
ある調査によれば、心臓疾患の患者に対する最初の診察段階で、50%の女性が誤った診断をなされていたそうです。
3 女性の方がCPRで救助されにくい
公共の場で心臓発作に襲われて倒れた場合、命が助かる確率に男女差など無いと思いたいですが、現実はやや異なります。
ペンシルベニア大学のオードリー・ブルワー教授が、2万件の事例について調査したところ、上記のような非常事態では、男性の方が女性よりも生存率が高いことが分かりました。
男性の方が、周りの人からCPR(心肺蘇生法)を施してもらえる確率が高いのです。
その理由は、何となくお分かりの方も多いかも知れません。
CPRでは、相手の胸の辺りを強く押す必要があります。
しかし、女性の胸を強く押すことに抵抗感のある男性が多いのです。
さらに、力の加減を間違えて傷害を負わせてしまうことへの恐れもあります。
よって、女性が心臓発作で倒れた場合は、周りの男性からCPRを受けられる機会が減ってしまうため、その分、生存率が下がるのです。
先の調査に参加したベンジャミン・アベラ教授は、
「CPRにおいて実際に押すのは、(乳房ではなく)相手の胸骨の部分であるし、人の生死がかかった状況なのだから尻込みしている場合ではない」
と語っています。
4 女性アスリートの方が脳しんとうになりやすい
ラグビー日本代表の快挙により、最近はチビっ子たちの間でもラグビー人気が高まってきています。
それ自体は良いことですが、ラグビーは大変危険なスポーツでもありますから、プレイにはリスクが伴うこともしっかり教えるべきでしょう。
もちろん、ラグビー以外のスポーツにおいても危険はつきまといます。
アメリカのコロンビア大学で、約1200人のアスリートを対象に、競技中に脳しんとうを起こした経験について調べました。
その結果、女性は男性よりも脳しんとうになる確率が50%高かったのです。
また、一度脳しんとうになったことのある人は、未経験の人よりも、再度脳しんとうになる確率が3倍になるのだとか。
ただし、脳しんとうから回復する早さに関しては、男女差は無いとのこと。
回復後の症状についても概ね差は無いのですが、男性の方が記憶障害になりやすく、女性の方が不眠症になりやすいそうです。
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5 女性スモーカーの方がタバコの悪影響が大きい
アメリカのミネソタ大学及びジョンズ・ホプキンス大学での研究によれば、喫煙による健康被害は、男性より女性の方が深刻です。
400万人のデータを基にしたその研究の結果、タバコに含まれる毒性物質は女性に対する方が悪影響が大きいことが分かりました。
具体的には、女性喫煙者の方が男性喫煙者よりも肺がんになる確率が2倍で、心臓疾患になる確率は25%高いのです。
この原因は、女性の方が発がん性物質を吸収しやすいからではないかと見られています。
また、この研究では、喫煙者が一日に消費するタバコの量は考慮されていません。
すなわち、ヘビースモーカーもライトスモーカーも区別なく扱われています。
そうなると、一般的に女性喫煙者の方が男性喫煙者よりもタバコを吸う頻度は低いので、上述の健康被害は実際はもっと大きい可能性があります。