我々は日常的に、色んな物を落とします。
電子マネーでの支払いがあまり進んでいない日本では、レジで小銭を落とす人は珍しくありません。
小銭くらいなら拾えば済む話ですが、財布そのものをどこかで落としてしまった場合は悲惨です。
お金とともに個人情報も他人の手に渡ってしまいます。
悲惨といえば、筆者はまだ未経験ですが、便器の中にスマホをポチャッ、というのもかなりキツイ。
しかしながら、これからご紹介する事例に比べれば、こういうのはまだまだ序の口。
ただ単に物を落としただけなのに、信じがたい運命が待っていた人たちの話をご紹介します。
〈originally posted on April 19,2020〉
1 ピザを床に落としただけで彼女にボコボコにされた彼氏
イングランドのグレーター・マンチェスターに住むサミュエル・ムーアクロフトには、付き合って5年になる彼女との間に3人の子供がいました。
彼女であるカースティとの仲はあまりよろしくなく、ちょっとしたことで喧嘩になることもしばしば。
そんな二人が、ある日、ピザをテイクアウトして、家に持ち帰ったときのこと。
サミュエルがピザをテーブルに置こうとして、うっかり何切れか床に落としてしまったのです。
彼はすぐに、カースティに謝りました。
しかし、彼女の中では既に、「なにピザ落としてんだよテメーぶっ殺すぞ」的な、おっかないスイッチがONになっていたのです。
カースティは、キッチンナイフを手に取ると、台所のドアの前で仁王立ち。
そして、
「これをアンタの喉に突き刺してやるわ!」
と言いながら、ナイフをちらちら見せつけます。
これに対しサミュエルは、「もうウンザリだ!」と言い放つと、二階の自室へ。
服を着替えた彼は、家を出ていこうとしました。
それを見たカースティは、得物をナイフからバットに替えて、彼の行く手を阻みます。
流石にこれはヤバいと察知したのか、サミュエルは力ずくでバットを奪取。
これで彼女を無力化できたと思った彼は、そのまま玄関へと向かいます。
しかし、彼は少々甘く見ていました、カースティの恐ろしさを。
ドアを開けて家から出ようとするサミュエルに、彼女は、いつの間にか手にしていたバールを振り回しつつ襲いかかりました。
〈これがバール〉
攻撃を食らいながらも、彼は何とか車までたどり着き、警察に通報してから母親の住む実家へ。
その後、病院で治療を受けたのですが、彼は頭部に8針を縫う怪我を負っていました。
刑事裁判の結果、カースティは懲役18ヶ月、執行猶予2年を言い渡されています。
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2 香水を足に落とした結果、足を切断した女性
イギリスのランカシャー在住のジル・ハディントン(43)という女性は、2015年9月某日の朝、出かける用意をしているときに、台の上にあった香水を、足の上に落としてしまいました。
直方体の空の瓶がゴスンと直撃し、右足に激痛が走ります。
足に物が落下するのはかなり痛いですが、普通は時間が経てば痛みは治まるはず。
しかし彼女の場合、いつまで経っても痛みが引くことはなく、やがて足は倍に腫れ上がり、つま先は内側に湾曲し、まともに歩行すら出来ない状態に。
2016年5月、彼女は、「慢性局所疼痛症候群」であると診断されました。
これは、ある怪我をきっかけに、強い痛みがいつまでも持続するという症状。
この翌年、痛みに耐えながらの人生と決別するべく、彼女は、医師のアドバイスとは逆に、右足を切断することを決めました。
その後、手術は成功し、現在、彼女の右脚は、膝から下が義足になっています。
ジルが手術を決めたとき、家族は猛反対したそうですが、何の痛みも感じることなく、自由に外を歩き回れることの方が、彼女にとっては遥かに大事なようです。
3 プロポーズの瞬間に婚約指輪を落とした男性
一生に一度(人によっては二度、三度)のプロポーズで、彼女に指輪を差し出す瞬間は、彼氏にとってはかなりドキドキするものでしょう。
それだけに、絶対に失敗は許されません。
2017年、米国ミズーリ州カンザスシティに住むセス・ディクソンという男性が、湖に架かった橋の上で、友人たちが見守る中、彼女にプロポーズしました。
そしてポケットから小箱を取り出し、フタを開けたその瞬間。
箱から指輪が飛び出し、橋の上をコロコロと転がります。
運の悪いことに、橋板のわずかな隙間から指輪が落下。
水の中へと消えていきました。
その後、仲間の協力を得つつ、湖にダイビングして指輪を探したのですが、2500ポンド(約33万円)の指輪は、今も湖底に沈んだまま。
非常に残念なプロポーズに終わってしまいましたが、ディクソンとその彼女は、「いい話のネタができた」と言って、むしろプラスに捉えているようです。
プロポーズの日に指輪が消えてしまった例は他にもあります。
2018年12月、イギリス人のジョン・ドレナンという男性が、ニューヨークのセントラルパークで彼女にプロポーズし、婚約指輪を贈りました。
プロポーズ自体は何の問題もなく、ロマンチックな雰囲気のまま成功。
ところが、それから二人でタイムズ・スクエアを歩いているとき、彼女の指から指輪がスルリと抜け落ち、これまた運の悪いことに、地面の鉄格子を通過して下水道へ。
これは、彼女がうっかりしていたというよりは、指輪のサイズが大きすぎたのが原因。
ただし、彼らの場合、先程のディクソンとは異なり、後でニューヨーク市警が指輪を回収してくれました。
4 法廷で証拠の銃を落としたがためにこの世を去った弁護士
2019年11月、南アフリカ共和国のクワズール・ナタール州、イクソーポ地方裁判所で、不幸な「事故」が発生しました。
ベテラン弁護士である、アドレイド・フェレイラ=ワットという女性が、事件の証拠品であるショットガンを法廷内に持ち込んだところ、それを床に落としてしまったのです。
普通であれば、証拠としての銃と弾丸は、別々の袋に入った状態で保管されているはずであり、弾が装填された銃が裁判で使用されることはありません。
しかしこのとき、どういうわけか、そのショットガンには弾が入っていました。
ショットガンは、落下した拍子に暴発し、発射された弾が彼女の体に直撃。
すぐに病院に運ばれましたが、彼女の命は助かりませんでした。
アドレイドには、リンゼイという一人娘がおり、彼女は近く結婚する予定だったとか。
警察はその後、故意による殺人の可能性を視野に入れて、捜査を開始しています。
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5 井戸に小銭を落とした男(そして7人死亡)
最後にご紹介するのは、物を落としたのをきっかけに起きた最も不幸な事故。
2014年6月、カンボジア北西部、シェムリアップ州にある村で、一人の男性が、井戸の中に小銭を落としました。
小銭の額は、3000リエル(約60円)。
その井戸は、長年放置されていた古いもので、水は完全に枯渇し、上から底が見える状態。
そこで男性は、小銭を拾うため、自分で井戸の底まで降りたのです。
水が無いのだから、特に危険を伴う作業ではないように思えます。
しかし、井戸の底で彼は気を失いました。
その原因は、酸欠。
彼が降り立った場所は、酸素が非常に薄くなっていたのです。
そして、男性が井戸の底で倒れているのを、彼の親戚が目撃し、救助するべく次々と井戸を降りて行きました。
その人数は、全部で6人(そのうち2人は女性)。
結果的に、最初の男性を含め、計7人が命を落とすことに。
3000リエルという金額は、カンボジアではミネラルウォーター1本分くらいに過ぎないのですが、そのお金を回収しようとしたことの代償は、あまりに大きすぎました。