世界の主要都市には必ず存在するホームレス。
彼らが直面する残酷な現実とは……。
イギリスで実施された最新の調査によれば、同国におけるホームレスの80%が何らかの迫害を受けた経験があり、35%は路上で殴る・蹴るなどの暴行を受けています。
また、9%は寝ているところに放尿され、7%は性的暴行を受けているのです。
そういった被害に遭っても、警察に助けを求める人は全体の半分以下。
その理由は、警察に相談してもまともに取り合ってくれないと考えているからです。
以下の記事では、先進国の中でもホームレスが特に多いアメリカで、彼らが遭遇する厳しい現実を中心に、ホームレスの意外な事実をご紹介します。
〈originally posted on December 28,2016〉
1 ダントツでホームレスの多い都市
ホームレスは世界中の都市で深刻な社会問題となっていますが、ダントツでその数が多いのはフィリピンのマニラです。
2014年の統計では、2280万人がスラム地区で生活しており、そのうち120万人は路上で物乞いをする子供たち。
他の都市と比較してケタが違います。
アメリカ国内においては、ニューヨークとロサンゼルスがダントツ。
どちらの都市も約6万人のホームレスが生活し、その3分の1は25歳に満たない若者です。
それ以外で多いのは、ワシントンDC、シアトル、サンフランシスコなど。
また、アメリカのホームレスの4分の1近くは退役軍人なのだとか。
やや皮肉な現実として、アメリカではホームレスの数の5倍以上の空家があります。
一方、日本で特にホームレスが多いのは、やはり東京。
2013年の統計によると約5000人が路上生活を送り、この数はその5年前の2008年から1200人も増加しています。
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2 ホームレス問題の解決策
ホームレス増加の問題はどの国においても簡単に答えが出せるものではないですが、かなり思い切った解決策を試みた国や都市があります。
例えば、ハンガリーではホームレス状態でいることに罰則を与える法案を成立させました。
また、少なくとも世界の30の都市で、ホームレスに食べ物を与えることを違法としています。
ハワイを含む複数の都市では、ホームレスに飛行機の「片道チケット」を提供することで問題を解決しようと試みました。
正に厄介者払いという感じです。
3 ホームレスに対する冷ややかな目
アメリカのプリンストン大学で行われた研究によれば、我々がホームレスを見るとき、目に入った情報を脳内で処理する過程は、人間を見ているときよりも「物体」を見ているときのそれに近いのだとか。
つまり我々は、ホームレスを人ではなく物として見ている面が強いということになります。
4 ホームレスに見えないホームレス
ホームレスだからといって必ずしも見すぼらしい格好をしているとは限りません。
ホームレスに対する支援が充実している国や地域では、古着などの配給がよく行われるので、身なりに気を遣おうと思えば十分可能なのです。
中には毎日ちゃんとした格好をしてフルタイムで働いている人も。
ただ、割合的には自分の見た目などどーでもいいというホームレスの方が多いのが現実。
そういう人たちとのつながりを保つため、多くの衣類を持っているホームレスでもわざとボロボロの服しか着ない人もいます。
5 路上生活から抜け出せないワケ
ホームレスが寝泊まりできるシェルターや食料、衣服などを提供してくれるサービスは、彼らにとっては生死にかかわるほど重要なものと言えるでしょう。
アメリカやカナダではこういうサービスが充実していますが、実はホームレスにとって良いことばかりではありません。
場所によっては、シェルターで寝床を確保するにも食料を確保するにも、とにかく長蛇の列に並ばねばならないのです。
短いときで30分、長いときだと数時間並ぶこともあります。
シェルターでの生活を維持しようとすれば、そのためにかなりの時間を割かねばならず、職を見つけるべく行動を開始しようとしたらもう日が落ちていた、ということも少なくありません。
寝る場所をあきらめて職を探すか、職をあきらめて寝る場所を確保するか、厳しい選択を迫られるのです。
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6 女性のホームレスを待つ過酷な現実
アメリカにおいて、女性がホームレス生活を余儀なくされる原因でもっとも多いのは、恋人や夫からの暴力です。
こういったDVの悩みを警察に相談したところで根本的な解決にはならず、反って火に油を注ぐ結果を招くこともあるので、彼女たちは取りあえず暴力から逃れるために家を飛び出し、シェルターを探します。
ある統計によると、シェルターで生活する女性ホームレスの90%以上がDVの経験者だそうです。
そんな彼女たちを待っているさらに過酷な現実が、性的暴行。
女性のホームレス全体の約半数が、路上で何らかの性的暴行を受けた経験があると言われています。
また、彼女たちは職を探そうにも大きな壁があります。
例えば、建設作業員として稼ごうとしても、フルタイムで雇われるのは主に男性。
女性はパートでしか働けません。
事務職に就こうとすれば、それなりに身なりを小綺麗に保つ必要がありますが、そのハードルが高いのです。
シェルターでは日用品が配給されていますが、それらのほとんどはヒゲ剃りなど男性用のもので、女性用のものは生理用品なども含めてごくわずか。
身だしなみを整えて面接に挑めるのは事実上男性に限られます。
つまり、女性のホームレスは肉体労働でも頭脳労働でも、職を得るのが極めて困難なのです。