日本人が海外旅行をする際、現地の習慣に関して困惑させられることが多いのは、やはりチップでしょう。
厄介なことに、チップがほぼ義務的な国もあれば、ある程度は客側に選択の余地が残されている国もあります。
原則的にチップを渡さねばならない国は、アメリカや、カナダ、メキシコ、チリ、ポーランド、エジプトなど。
一方、イギリスやドイツ、スウェーデンなどでは、チップは決して義務ではないものの、「お釣りは取っておいて」のようなやり取りが、事実上のチップの役割を果たしています。
よって、イギリスでは、多くの場合にチップは不要なのですが、しかし、それも場合によりけり。
従業員が低賃金で働かざるをえない業界では、チップをもらえるか否かは、彼らの死活問題にもなりえます。
そんな仕事の代表例が、ピザの宅配です。
ピザの宅配ドライバーは、低賃金であることに加えて、ガソリン代や車のメンテナンスなどの費用も自己負担なので、ギリギリの生活を強いられています。
大抵の場合、ピザを届けたときに、平均3ポンド(約430円)のチップをもらうそうです。
ただし、宅配が予定より遅れたりした場合には、全くチップがもらえないことも。
この場合は、自己責任という面が強いので仕方ないですが、何の問題もなく配達しても、チップを渡さない客もいるとか。
そういった客に対し、ある宅配ドライバーは、「モーニングコール」で反撃しています。
宅配ドライバーは、ピザを注文した客の電話番号を知っているので、その番号を使ってモーニングコールのサービスを申込み、とんでもなく早い時間に電話をさせるというわけ。
かなり迷惑な嫌がらせですが、しかし、これはまだ可愛い方。
性格の歪んだドライバーになると、チップを渡さない客からのリピート注文があった場合、ピザの上に唾を吐いたり、鼻くそを飛ばしたりする者もいるとか。
こうなってくると、従業員にチップを渡すのは、サービスに対する感謝の気持ちというよりは、自分の商品に変なことをされないようにする「保険」と言うべきかも知れません。
親切すぎる客からの「神チップ」
チップをケチる客がいるかと思えば、ありえないほど高額のチップを店に置いて帰る客もいます。
2015年7月、米国イリノイ州フランクフォートにあるレストランで、ウェイターをしていたブレンダン・モーティル(当時19歳)は、一面識も無い男性客から、信じがたいほど高額のチップを受け取りました。
アメリカでは、チップは料金の15~20%が相場なのですが、その男性客は、合計約20ドルの料金に対し、1000ドルのチップを置いていったのです。
そのチップにはメモが添えられており、そこには次のようなことが書かれてありました。
「丁寧なサービスをありがとう。素晴らしい接客だったよ」
「君の夢や希望が何なのかは知らないけれど、このお金を、君の目標達成のために使ってほしい」
「今の世の中は、ネガティブで暴力的な要素に満ちている」
「私は、時々こうして他人に親切にすることで、人々が互いに優しくなれる社会になればいいと思っているんだ」
これを読んで、ブレンダンはすぐに店を飛び出し、その男性を追いかけようとしましたが、もう彼の姿はありませんでした。
テレビ局の取材に対し、会計士を目指す彼は、大学の学費としてそのお金を使いたい、とコメントしています。
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史上最高額(?)のチップを手にした女性バーテンダー
1000ドルのチップをもらうウェイターも凄いですが、上には上がいます。
米国ミズーリ州オファロンで、バーテンダーとして働くテイラー・ラッシー(33)は、ある常連客から、普通のチップに加えて、宝くじをもらうことがよくありました。
そして、2019年10月18日、チップとともに受け取った宝くじが、見事に当選。
日本円にして、約550万円をゲットしたのです。
自分が当選したことを知った瞬間、彼女は驚きのあまり体が固まってしまったとか。
結果的に、テイラーは、550万円のチップを貰ったも同然ですから、チップとしては恐らく史上最高額でしょう。
ちなみに、彼女の話では、そのお金は、歯の治療費などに使うつもりなのだそうです。
〈originally posted on February 16,2020〉