先日、ニューヨークの地下鉄で、白い防護服に身を固めた二人の男が、危険物を示す表示のある大きめのコンテナを抱え、列車の中に入ってきました。
そして、コンテナに入っている「謎の液体」を床にこぼすやいなや、
「これはコロナウイルスだ!」
と言って、周りを驚かせます。
連日の報道によって、今やこのウイルスの名を知らない人はいませんから、乗客の一人は悲鳴を上げ、床を流れていく液体を避けるべく、座席の上に飛び乗りました。
しかし、実はこれ、タチの悪いイタズラなのです。
「謎の液体」の正体は、ただのジュース。
防護服を着ていたのは、デイヴィッド・フローレス(17)と、モリス・コードウェル(19)。
二人は、インスタグラムに投稿するためのジョークとして、このドッキリを思いついたのです。
その場にいた乗客の多くが怖がっているのを見て、彼らはイタズラであることをネタばらし。
ビビっていた乗客たちも、安堵感からか一斉に笑い出し、特にトラブルも無く、その場は収まりました。
ただ、一人の女性客だけは、彼らが電車に乗ってきた瞬間、すぐに悪ふざけだと気づき、終始爆笑していたとか。
この模様を収めた映像を、彼らがネット上に投稿したところ、やはり非難の声が多く上がりました。
実際にこのウイルスで、多数の人が亡くなったことを考えると、かなり悪質なイタズラと言わざるをえません。
商品を除菌してくれる「感染者」
同じようなイタズラをやらかした男はまだいます。
アメリカのシカゴにあるスーパーマーケットの店内で、タイラー・ウォレス(19)という男が、マスクを付け、
「警告:コロナウイルスに感染しています」
と書かれた紙を背中に貼って歩いていました。
そして、除菌用スプレーを、店内の商品に吹きかけていったのです。
他の客からの怒りを買った彼は、すぐに店から逃走。
通報によって警察が来たときには、タイラーの姿はありませんでした。
警察は、彼が本当にウイルスに感染しているなどとは思わず、最初からイタズラであると断定。
タイラーは、店内の商品を破損させ、1万ドル近い損害を与えていましたから、これはれっきとした犯罪です。
しかし、警察が捜査するまでもなく、意外なことに、後日、彼は自首してきました。
自分は感染者だと誤信した男性の悲劇
上記のようなタチの悪いイタズラは、感染への不安や恐怖心を抱いている人たちにとっては不愉快そのもの。
そういった不安を抱えている人は、COVID-19に対して異常なほど神経質になっている場合もあります。
インド南部のアーンドラ・プラデーシュ州シュリーカーラハスティに住む50歳の男性は、定期的な健康診断のために病院を訪れたところ、風邪の症状が見られるのでマスクをするように、と医師から指示を受けました。
彼の症状は、本当にただの風邪だったのですが、マスク着用という言葉を医師から聞いただけで、彼は、新型コロナウイルスに感染しているのではないか、という疑念を強めることに。
そして、感染者の特徴などをネットで調べていくうちに、自分も感染者に違いないと、完全に誤信してしまったのです。
このままでは、家族だけでなく、村の住民たちをも感染させてしまうと考えたその男性は、自ら命を絶ちました。
これは、かなり極端なケースかも知れませんが、多くの人を死に至らしめる病気がもたらす影響を、よく示しています。
〈originally posted on February 14,2020〉