最近、テレビのニュース等で聞かない日は無いといってもいいワードがあります。
「線状降水帯」です。
気象予報士が、
「線状降水帯が発生するおそれがありますので、十分ご注意ください……」
などと言うのは、もうお馴染み。
ところで、他の人がどうなのかは知りませんが、僕は個人的に、この言葉に強烈な違和感を感じます。
「降水帯」というのは、雨の降っているエリアが帯状になっていることを指していると解釈するのが普通です。
そして「帯状」であるということは、それはとりもなおさず線状であるということ。
ならば、アタマに「線状」などという言葉をわざわざ付ける必要があるのでしょうか。
単純に、「降水帯」あるいは「降雨帯」だけでよいのでは、と言いたくなります。
例を挙げるなら、店の前に長い行列が出来ているのを見て、
「線状行列」
と表現するようなもの。
テレビのレポーターが、人気のお店を取材している最中に、
「こちらのお店では、毎日このように線状行列が出来ています!」
などと言ったら、「は?なに言ってんの、このヒト……」と感じる視聴者が激増するはず。
行列なのだから、それは線状に決まっています。
そう考えると、「線状降水帯」というのは、どうにも冗長な言い方のような気がしてならないのです。
ちなみに、英語で言えばレインバンド(rainband)でしょうか。
それに比べて、日本語の「線状降水帯」というのは、なんとなくモッサリ。
さらに言えば、「線状」という言葉の響きからは、あまり危険なニュアンスを感じにくいのです。
「帯」というのはある程度の幅がある物を指しますが、「線」というのは帯よりも細いものを指すのが普通。
そうすると、「線状降水帯」というのは、矛盾する要素のある漢字を含んでいるので、雨の降るエリアが広いのか狭いのか、感覚的に分かりづらい面があります。
視聴者に危険性を意識させるのが目的であれば、「線状」ではなく、むしろ、「極太降水帯」とか「激ヤバ降水帯」などと表現した方がいいのではないでしょうか。
まあ、こんなしょーもないことを考える人間は僕くらいでしょうけれど、とにかく、この「線状降水帯」という言い方がしっくりきません。