当サイトは、「世の中の罠を探す」というコンセプトで(飽きもせずに)続けています。
人生に罠は付きもの。
その罠について、様々なジャンルの記事を(懲りもせずに)書いているのです。
しかしよく考えてみると、戦時中に使用されたような文字通りの「トラップ」については、ほとんど取り上げていません。
サイト名に「トラップ」とあるにも関わらず、これは少々マズイ。
そこで今回は、実在した生々しいトラップの数々をご紹介します。
〈originally posted on January 21, 2023〉
1 列車がトンネルに入った瞬間にドカン
戦争において敵国の物資補給に大きなダメージを与えるには、輸送列車を止めてしまうのが一番。
さらに、それがトンネル内で行われれば、復旧作業に時間がかかり、なお効果的。
それを実現させるトラップが、「モール」と呼ばれるものです。
これは、1942年にアメリカのルーズベルト大統領が組織した「戦略諜報局(通称OSS)」によって使用されていたもの。
明るい場所でバッテリーがチャージされる光電池を利用した装置で、暗くなった瞬間に起爆するように設計されていました。
これを敵の輸送列車の連結部にこっそりセットしておけば、トンネルに入った直後にドカン、という寸法。
トンネルの中での爆発事故は、瓦礫などの処理に数日かかることもあり、その間、物資の輸送も止まります。
敵国にとっては相当な痛手。
ちなみに、このトラップが敵に容易く撤去されてしまわないように、
「これを取り除くと重い罰則がある」
というような、いかにも本物らしい警告文が貼ってあったと言われています。
2 道路に横たわる動物の亡骸が……
中東の反政府組織がアメリカに対抗するために考案したとされているのが、「ロードキル爆弾」。
ロードキルとは、道路にある動物の亡骸のことです。
名前からして、どういうトラップなのかは明白でしょう。
「おや、車にはねられた不幸な動物がいる……」と思って近づいてみると、爆発します。
この手のトラップは、車のタイヤなどに隠されていることが多いのですが、それだけに、道路に無造作に転がっているタイヤは兵士に警戒されます。
その点、ロードキル爆弾は、敵に警戒心を抱かれる可能性が低いというメリットがあったそうです。
ただし、この手段が使われることはそれほど多くは無かったとも言われています。
3 コール・トーピード
コール・トーピードは、一言で表せば「石炭ボム」。
見た目は普通の石炭ですが、中身はボムです。
これを、敵の船内に備蓄された石炭に混ぜておくのです。
石炭の山がボイラーに放り込まれた途端、船は木端微塵というわけ。
コール・トーピードは、アメリカの南北戦争のときに、アイルランドからの移民であるトーマス・エッジワース・コートニーによって発明されたものです。
記録によれば、南部連合はこれを使って約60隻の船を沈めたとされています。
また、南北戦争の終結後は、ナチス・ドイツが使用していました。
4 命がけのジッポライター
戦場において兵士の休息のお供と言えるタバコ。
そのタバコを吸うのでさえ命がけにしてしまうトラップがあります。
ベトコン(ベトナム共産勢力)がベトナム戦争で使っていた「特性ジッポライター」がそれ。
ライターの内部には火薬がギッシリ。
ちょっと一服しようとライターを取り出し、シュボッと火を出した次の瞬間に、ライターを握っていた手が消滅します。
このライターは、補給物資に簡単に紛れ込んでしまう上に、本物のジッポライターとの区別が全くつきません。
兵士たちのわずかな安息の時間さえ恐怖に変えてしまうこのトラップは、小さいながらも十分すぎる脅威を持っていました。
5 タイガー・トラップ
この「タイガー・トラップ」もベトコンが使用していたもの。
これまでにご紹介したものに比べると、かなり直球なトラップです。
上掲のイラストのように、重しの下面から鉄製の針が多数伸びており、地表に設置されたワイヤーに足を引っ掛けると、これが頭上からズドンと落下。
このトラップには他にもいくつかのバリエーションがあり、その一つは、丸太から針が出ているもの。
これは、ブランコのようにスウィングしながら複数の兵士を巻き添えにしました。
さらに、中世ヨーロッパで存在した武器「メイス」のように、鉄球に針の付いたものもあったとされています。
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6 あれもトラップ、これもトラップ
第二次世界大戦中、ドイツ軍の占領下にあるエリアを米軍が解放した際、米軍の兵士としては、戦利品の一つでも持ち帰りたい気分になったことでしょう。
しかし、ここで大きな罠が待っていました。
例えば、戦場に転がっているヘルメット。
何気なく拾い上げようとしたらドッカン!
例えば、家のドア。
開けたらドッカン!です。
もちろん、窓も開けたらドッカン!
とにかく、視界に入る物すべてに罠が仕掛けられていたと言っても過言ではないほど。
ドイツ軍は、自軍が敗色濃厚になると、撤退する前にあらゆる物へトラップを仕掛けていました。
しかも恐ろしいことに、トラップが仕込まれていたのは、戦場だけではありません。
ドイツ軍のスパイは、板チョコにも罠を仕掛けていたことがあるのです。
板チョコの端をパキンと折ると、内部に埋め込まれた布が引き出され、それが引き金となって7秒後に爆発します。
チョコレート史上最も危険なものであることは間違いないでしょう。