まさか、あの作品が盗作?
ひょっとしたらパクリなのかも知れない意外なモノの数々をご紹介します。
小説や映画などの有名な作品は、他の作品との類似点を細かく検証する人たちが必ずいます。
その結果、「これはあの作品と似ているんじゃないか」ということがありうるのです。
〈originally posted on July 26,2016〉
1 シャーロック・ホームズ
シャーロック・ホームズといえば、コナン・ドイルが生んだ、世界中で愛されている名探偵。
抜群の推理力を駆使し、時には警察とも協力して難事件を解決に導きますが、そんなホームズが事件の謎を解いていく手法は、エドガー・アラン・ポーの推理シリーズに登場する名探偵、C・オーギュスト・デュパンのそれに酷似しています。
さらに、物語の進行が、ワトソン博士のような第三者によって語られる点も同じ。
ただ、エドガー・アラン・ポーは推理小説というジャンルの生みの親で、デュパンは世界初の名探偵だと言われていますから、ポーよりも後の世代の作家が彼の作品に影響を受けているのは当然かもしれません。
しかし、ホームズの物語の中には、「影響を受けた」という一言で済ませられないものもあるのです。
推理小説の傑作と称されるポーの作品『盗まれた手紙』のなかで、狡猾な大臣が貴婦人の(こっ恥ずかしい)手紙を盗み、それをネタに彼女を脅迫するのですが、その盗まれた手紙を名探偵デュパンが見事に探し当てます。
そして、これとほとんど同じ内容が、ホームズが登場する『ボヘミアの醜聞』に出てくるのです。
ちなみに、似たような話の展開があるのはこれだけではなく、『海軍条約文書事件』『第二の汚点』にもあります。
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2 ハリー・ポッター(?)
2002年、『ハリー・ポッター』シリーズの原作者として世界的に有名なJ・K・ローリングさんが、著作権侵害で訴えられました。
訴えたのは、ナンシー・ストーファーという無名の作家。
彼女は『ハリー・ポッター』が世に誕生するよりずっと以前に『ラリー・ポッターと親友のリリー』という本を出版していたのです。
ハリー・ポッター vs ラリー・ポッター
確かに主人公の名前はソックリなのですが、肝心のストーリーはどうなのかというと……。
驚くことに、『ラリー・ポッター』の内容の一部が『ハリー・ポッター』にかなり似ていたのです。
まさか、世界中の子供に夢を与えてきたローリングさんが盗作?
ところがドッコイなのであります。
『ラリー・ポッター』の原稿に使用されている文字のフォントに注目したところ、『ハリー・ポッター』に内容が似ているとされた問題の部分だけ、他のページとは異なるフォントが使われていました。
そして、そのフォントが作られたのが、ストーファーが『ラリー・ポッター』を書き上げてから10年近くも経ってからなのです。
つまり、このナンシー・ストーファーという女性は、ローリングさんを著作権侵害で訴えんがために、『ハリー・ポッター』の内容に似せた文章を後から追加していたのでした。
その後、このペテン師には罰金5万ドルが課せられました。
世界のローリングさんは、LGBTQの人たちを敵に回すことはあっても、著作権を侵害することは無いのです。
3 ロード・オブ・ザ・リング
映画『ロード・オブ・ザ・リング』は、J・R・R・トールキンの『指輪物語』が原作で、世界に変革をもたらすほど強大な力を秘めた指輪を巡り、様々な種族が入り乱れて闘いを繰り広げる壮大な物語を描いた作品です。
この『指輪物語』に関して、これより前にリヒャルト・ワーグナーによって書かれた楽劇『ニーベルングの指環』との共通点がしばしば指摘されていました。
これに対して原作者のトールキンは盗作疑惑を真っ向から否定し、「どちらの指輪も丸い。似ているのはそれだけだ」と切り捨てたのです。
ところがドッコ(以下略)。
両作品には指輪が丸いという当たり前の事実以外にも以下のような共通点があります。
- 指輪がはかり知れない魔力を持っている。
- 指輪の所有者は、その強力な魔力の影響を受け、時に正気を失う。
- 指輪を手に入れるにはその持ち主を倒さねばならない。
- 指輪を巡って血族の間で殺し合いがある。
- 伝説の剣を復活させる場面がある。
- 不死であるはずの者が不死の能力を失う。
などなど。
これだけ共通点があると、さすがに偶然の一致とは言いにくくなりますね……。
4 アマゾンのKindle書籍
盗作したものを堂々と自分の著作物として販売する人には滅多にお目にかかれないような気がしますが、実は我々の身近なところでそういう行為は行われています。
それが、Amazon。
AmazonのKindleストアには、海外のアマチュア作家が書いたと思しき小説が数ドルで売られていたりしますが、そういった電子本のなかには相当な数の盗作が混じっているそうです。
具体的には、個人がブログなどで無料公開している小説をほとんどそのまま盗用し、自分の本として販売するのだとか。
それらの本の内容について、Amazon側も盗作かどうかをチェックしきれないので、このような事態が生じるわけです。
5 I Have a Dream
中学の英語の教科書にも登場する、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアのあまりにも有名な演説。
その中でも特によく知られているのが、この演説のタイトルにもなっている「I have a dream」で始まる部分です。
意外なことに、この部分はキングが予め用意しておいた原稿には無く、即興で語ったものとされています。
そして、この演説の終わりの部分は、アーキバルド・ケアリー・ジュニアが先に行った演説の終わりの部分と酷似しているのです。
両者ともに、あるアメリカの讃歌の歌詞を引用して演説を締めくくっているところまで同じです。
もちろん、こういった演説で内容が偶然似てしまうのはあり得ないことではないですし、仮にキングがケアリーの演説を「参考」にしていたとしても、その一事をもってこの歴史的なスピーチに傷が付くということは無いでしょう。
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