他言語には余り見られない、日本語の特徴を挙げるとすれば、外来語をいとも簡単に取り入れてしまう点があります。
英語であろうと仏語であろうと、カタカナで表記するだけで日本語の文章で使うことが出来るというのは、大きなメリット。
そうやって取り込んだ外来語(主に英語)の中には、日本語にすっかり定着してしまったものもあります。
しかし、その言葉の使い方が、必ずしも正しいとは限りません。
〈originally posted on April 8,2015〉
1 華麗にスルー
「スルー」といえば、何かを「無視する」「避ける」などといった意味で使われますが、実際の「through」の意味は、何かを「経験した状態」を表します。
例えば、
She went through a bad time.
(彼女は辛い時期を経験した)
のような感じです。
ということは、日本語の会話でよく使われる意味とは真逆といえそうです。
ちなみに、「無視する」という英語には「ignore」というのがあります。
【正しい(?)使用例】
A : 「おいおい、俺のギャグを華麗にイグノーするなヨッ!」
B : 「は?イグノーって何?」
A : 「無視するってことだヨッ!」
B : 「へー…(ウザっ)」
2 ドンマイ
「Don’t mind.」を縮めた「ドンマイ」は、「気にするな」という意味で使われますが、英語では「Don’t mind.」とは言わず、「Never mind.」になります。
どうしても「Don’t」を使いたい場合は、「Don’t worry about it.」という言い方もあります。
また、実際に「Never mind.」が使われることが多いのは、空気を読まない発言をしてしまったときに、「今の無かったことにして」と言って自分の失言を取り消したい場合などです。
【正しい(?)使用例】
A : 「そんなに落ち込むなよ。ネバマイ!」
B : 「ネ……ネバマイって何?」
A : 「ネバーマインドの略!気にすんなってこと!」
B : 「そ、そうなんだ…(ウザっ)」
3 ナイーブ
「傷つきやすい」とか「繊細な」という意味でよく使われますが、実際の英語では「世間知らず」といった悪い意味で使われることの多い単語です。
「傷つきやすい」を言う場合は「sensitive」の方が適切です。
【正しい(?)使用例】
A : 「お前は本当にナイーブだなー」
B : 「俺ってそんなに繊細な奴に見えるのか?」
A : 「いやいや、『世間知らず』っていう意味だよ!」
B : 「・・・・・・・・(ウザっ)」
4 ボリューミィ
食事などの量がたっぷりある場合に使われますが、いくら調べても「ボリューミィ」という英単語(volumy? volumey?)は見つけられませんでした。
一体誰が使い始めた言葉なのでしょうね……。
それはさておき、お腹一杯になるほど十分な量のごちそうを表現するには、「square meal」という言い方があります。
【正しい(?)使用例】
A : 「この店のトンカツ定食はマジでスクエア・ミールだわ」
B : 「え、この店ってスクエニとコラボ・キャンペーンでもやってるの?」
5 クレーム
「クレームを付ける」といえば、「苦情を言う」という意味で使われますが、英語の「claim」は「主張する、要求する」という意味なので、少々使い方が異なります。
「苦情がある」ならば「have a complaint」
「苦情を付ける」ならば「make a complaint」や「file a complaint」の方が適切です。
6 パネラー
テレビのクイズ番組などで、解答者を指すときによく使われる言葉ですが、英語ではこの場合、「パネラー」ではなく「パネリスト(panelist)」という単語が使われます。
ごくまれにですが、ちゃんと「パネリスト」という言葉を使っている司会者もいますね。
7 イメチェン
「イメチェン」はもちろん、「イメージチェンジ」の略ですが、実際の英語で「イメージチェンジ」が使われるのは、誰もが知っている超有名人についてだけで、一般人が使う場合は、
I think I need to change my look.
(イメチェンする必要があるな)
のような表現を使う方が普通のようです。
8 チャレンジ
「何かを試しにやってみる」という意味で使われることが多いですが、英語の「challenge」は人の意見に異議を唱えたり、他人を挑発したりする場合に使われることが多いので、日本人に馴染みのある英単語の割には正しい使い方がやや難しいのです。
例えば、「スノボにチャレンジする」であれば、
challenge snowboarding
ではなく、
try snowboarding
の方が適切なようです。
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