2019年に、イングランドのダラム大学で、ニカラグア在住の約300人の男女を対象に、テレビの視聴時間が恋愛にどのような影響を与えるのかを調べる研究が行われました。
被験者として選ばれた人々は、二つのグループに分けられ、一方は普段からよくテレビを見て、他方はほとんどテレビを見ません。
また、両グループで、テレビの視聴時間以外の要素(食生活、収入、学歴など)は、大きな差が無いようになっています。
研究の結果、日頃からよくテレビを見る男性ほど、痩せ型の女性を好むことが分かりました。
一方、テレビをほとんど見ない男性は、どちらかと言えば、ふくよかな女性を好むという結果に。
この違いを生んだ原因は何なのか。
研究を主導したリンダ・ブースロイド教授によれば、テレビの様々な番組やCMに登場する、スリムな体型をした女性たちが、視聴者に対し、そういった女性のイメージこそが理想的なのだと意識させてしまうのだとか。
別の言い方をすれば、スリムな女性をテレビで見慣れていると、それが「標準」だと錯覚してしまう、ということでしょう。
確かに、テレビに出ている女性タレント、女優さん、女子アナなどは、みんな痩せています。
特に、女子アナで太っている人など、見たことがありません。
逆に、女性芸人は……。
まあ、それはさておき、男性は、好みの女性のタイプに関して、非常にテレビの影響を受けやすい生き物と言えそうです。
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高齢者は、毎日テレビばかり観ていると健康上のリスクがある
Free-Photos/Pixabay
最近、新型コロナウイルスの影響で、休日でもなるべく出かけずに、自宅で過ごす時間が増えたという人は多いでしょう。
家にいる時間が長くなると、テレビを観る時間が増えてしまうのも無理はありません。
ウイルスの感染拡大が終息する頃には、痩せ型の女性を好む男が増えている、などということは無いでしょうが、毎日長時間テレビを観るのは、それ自体が少々危険です。
特に危険なのは、50歳以上の人。
これは、2019年に発表されたものですが、イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのデイジー・ファンコート博士によると、50歳以上で、一日3時間半以上テレビを観る人は、記憶力の減退が早いそうです。
具体的には、一日あたりのテレビの視聴時間が少ない人は、6年間で記憶力が4~5%の低下だったのに対し、3時間半以上観る人は、8~10%の低下でした。
ここでの記憶力は、主に、言語に関わる記憶力を指しています。
よって、高齢者で、毎日何時間もテレビを観る人は、特に難しくもない言葉が、咄嗟に出てこなくなる、ということが増える可能性があるのです。
テレビを観る時間が伸びると記憶力が下がる要因については、いくつかの可能性が考えられます。
テレビの前でじっとしているので、体を動かしたり、人とコミュニケーションを取ったりする時間が減るというのもその一つ。
また、ずっと受け身の状態で映像を見続けることが、脳にとって一種のストレスになり、それが記憶力低下につながるという面もあるようです。
もちろん、テレビ番組によっては、リラックス効果や、教育的効果がありますから、テレビそれ自体が悪いわけではありません。
要は、テレビを観ることと、積極的・能動的な活動との、バランスが大事ということのようです。
しかし、高齢者が長時間テレビを観ることの弊害は、上記のものだけではありません。
米国ミシガン州にある国立ガン研究所のサラ・キードル博士が、2015年に発表した論文によると、一日3時間半以上テレビを観る人は、ガンや肺疾患にかかる危険性が高い傾向にあるそうです。
これは、50~71歳の、約22万人を対象にして行われた研究によって得られた結論。
その理由は、先程の研究と重なる部分がありますが、体をあまり動かさないことが、大きな要因になっているようです。
〈originally posted on March 27,2020〉