男女ともに、平均初婚年齢がアラサーとなっている日本では、第一子が誕生する頃には親が30歳を過ぎていることも珍しくありません。
男性の30代というと、急に太りだす年代でもあります。
奥さんにしてみれば、お腹がやたらとポッコリしてきた夫が何の運動もしていなくても、年齢を考えればそれほど気にならないかもしれません。
しかし、それではマズイのです。
出来れば、夫の尻を蹴り上げてでも、運動させなければなりません。
〈originally posted on October 23,2018〉
1 運動不足の父親は(子供にとって)キケン
オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカルセンターの研究チームが、マウスを使った実験によって明らかにしたところによると、普段から運動をさせていた雄のマウスが父親の場合、その子供は、体脂肪が少なめで、健康的な代謝を維持し、血液中のグルコースを効率的に処理できる状態で生まれるそうです。
一方、運動をさせていないマウスが父親の場合、そのような効果は見られませんでした。
驚くことに、父親が脂質の多い食事を摂っていた場合でも、運動を欠かさなければ、その子供はより健康な状態で生まれます。
これがそのまま人間にも当てはまるとは言い切れませんが、その可能性はあると見られています。
環境的な要素が、遺伝にどのような影響を与えるのかを調べるエピジェネティクス(後成遺伝学)において、親の生活環境が、生まれてくる子供の健康上のリスクに関わっていることが知られています。
例えば、父親の食生活が乱れていると、子供の健康にも悪影響があります。
また、父親がニコチンにさらされる環境にいると、将来生まれてくる子供ばかりか、孫についても、ADHD(注意欠陥・多動性障害)のリスクが高まることが、フロリダ州立大学の研究で明らかになっています(ただし、マウスの実験に基づく結論)。
上述のオハイオ州立大学の研究を踏まえると、妻が妊娠する数年前から夫が運動を日課にすることで、子供の健康上のリスクを抑えることができる可能性があるのです。
2 父親が小学生のときからスモーカーだと、その子は太る
タバコを吸い始める年齢が若ければ若いほど、タバコの中毒性が強まり、やめるのが難しくなると言われています。
となると、小学生のうちにタバコを吸い始めた人は、父親になっても依然としてタバコを吸っている可能性が高いですから、その子供は、父親の吸うタバコの副流煙を、浅草寺の煙のように、体中に浴びながら成長していく運命が待っています。
それだけではありません。
約14000人の父親を対象に行われたリサーチによると、11歳未満でタバコを吸い始めた父親の子供は、9歳の時点で肥満体型になっている確率が高いのです。
そうなると、運動不足でスモーカーの父親が子供を作ると、その子供は、健康の面でも体型の面でも、他人より遅れる形で人生のスタートラインを切ることになります。
ところで、なぜ父親の喫煙だけが問題なのかと疑問に思われたかもしれません。
それは、男性の場合、思春期に差し掛かるまでは精子が作られないため。
つまり、思春期よりも前にタバコを吸うと、初めて精子が作られるときにその悪影響をもろに受けるのです。
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3 子作りに適さない季節
生まれてくる子供に影響を与えるのは、親の生活環境だけではありません。
アメリカでは、母親が4月から6月に懐胎して生まれた子供は、体に何らかの異常を伴う確率が3%高くなるという研究結果があります。
その理由は、農家が農薬を撒き始める時期が、春だからです。
アメリカの場合、広大な農園の上を小型機で飛びながら農薬を散布しますから、その一部は空気中に拡散します。
その結果、アメリカ国民の80~100%が、ごくわずかな量とはいえ、農薬を吸い込むことになります。
しかもこれは、どんな地域に住んでいても同じです。
そしてこのことが、生まれてくる子供にも悪影響を与えるのだと考えられています。