ナチスのシンボルと言えば、鉤十字(ハーケンクロイツ)。
鉤十字の形そのものは、別にナチスの専売特許というわけではなく、様々な国の宗教においてもシンボルとして使われています。
しかしながら、特に欧米では、公共の場で鉤十字をさらすこと自体が、かなり危険な行為。
例えば、昨年の10月、イングランドのグレーター・マンチェスターにある「リリーズ」というインド料理店で、入口のところに鉤十字を掲げたところ、住民から猛烈な反発がありました。
もちろん、この店の主人は、ナチスを崇拝しているのではありません。
実際、この鉤十字は、紀元前3千年から存在する、ヒンドゥー教のシンボルで、「平和」などの意味を持っています。
その意味を捻じ曲げたのがナチスであり、現在でも、ダークなイメージで捉える人が圧倒的に多いのです。
〈originally posted on February 7,2020〉
1 チキンバーガーを食べようとしたら、鉤十字
2014年8月、米国ノースカロライナ州にあるマクドナルドで、チャーリー・マティスという女性が、チキンバーガーを注文し、食べようとしたとき、彼女はショックを受けました。
何気なくチキンの下を見てみると、バンズ全体に、溶かしたバターでくっきりと鉤十字が書かれてあったのです。
彼女の祖父は、第二次世界大戦を戦った経験があり、それだけに、このイタズラは許しがたいものだったとか。
テレビの取材に対し、彼女は、
「このシンボルのために多くの人が亡くなったことを考えると、こういう軽い気持ちの悪ふざけはすべきでない」
とコメント。
強い不快感を味わったチャーリーは、店側に苦情を言い、さらに、マクドナルド本部にも抗議しました。
後日、彼女は、マクドナルド側から謝罪のメールを受け取り、それにより、問題のハンバーガーを作っていた店員が解雇されたことを知ったそうです。
2 ストリートに偶然(?)現れた鉤十字
2014年、ドイツのニーダーザクセン州ゴスラー市で、舗装工事が終わったばかりのストリートに、ある問題が発生しました。
そのストリートの地面は、様々な大きさの、赤色と灰色のレンガをランダムに敷き詰めたような見た目だったのですが、よく見ると、一箇所だけ、赤いレンガがちょうど鉤十字の形になっていたのです。
ドイツでは、鉤十字を含むナチのシンボルは、使用すること自体が違法。
これを発見した住民たちは激怒しました。
その後、問題のレンガは、取り除かれることになったのですが、工事を請け負った業者は、意図的に鉤十字を混ぜたのではなく、あくまで偶然だと主張。
この主張が真実なのかどうかは分かりませんが、たとえ偶然であっても、見た目が鉤十字になっていれば、それは許されないと考えるべきでしょう。
3 地下から巨大な鉤十字
2017年11月、ドイツのハンブルクにあるスポーツクラブで、更衣室を増設するため、建設業者が敷地を掘っていたところ、何やら固い物にぶち当たりました。
遺跡でも埋まっているのかと思いきや、地下から現れたのは、巨大な鉤十字のモニュメント。
その大きさは、約4メートル四方です。
この巨大鉤十字の出処は明らかになっていませんが、何らかの大きな構造物の一部だったと見られています。
何にせよ、忌まわしいシンボルを放置しておくわけにはいきません。
とは言え、大きさからして撤去するのは困難なので、削岩機で破壊することに決まったそうです。
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4 ユダヤ人学生たちが助けた相手の手に鉤十字
2019年5月、アメリカのボストンで、4人のユダヤ人学生が、貯水池で溺れかけている男性を発見。
ラッキーなことに、彼らは、すぐ近くにパトカーが停まっているのに気づきました。
そして、すぐさまパトカーに乗っている警察官に状況を説明。
事態を把握した警察官は、急いで現場に駆けつけ、溺れかけている男性を引き上げました。
このとき、彼は、その男性の手に鉤十字のタトゥーが彫られているのに気づいたのです。
彼は、この事実を、学生たちに伝えました。
すると学生たちは、その男性の救助に貢献したのが、4人のユダヤ人学生だったことを彼に伝えてほしい、とだけ言い残したとか。
救助された男性は、その後、病院に運ばれて快方に向かいましたが、溺れていた理由は定かではありません。
自分の命を救ったのがユダヤ人だと知った彼が、その後、鉤十字のタトゥーをどうしたのかがちょっと気になります。