今の常識ではちょっと信じ難い、しかし実際に存在した変わった職業の数々をご紹介します。
日本にも変わった仕事というのは探せば色々あると思いますが、需要があるからこそ成立していることを思えば、「奇妙」とまでは言えないかも知れません。
しかし、中世のヨーロッパなどにおいては、今の時代では考えられない独特の職業がありました。
さらに、その仕事をしている人にしか分からない苦労も多々あったようです。
〈originally posted on June 24,2016〉
1 国王を命がけで笑わせる(コート・ジェスター)
コート・ジェスターは、中世以前からあった職業で、命じられればいつでも国王を笑わせ、楽しませることを生業としていたお抱え道化師です。
左右の足で色の違うズボンを穿き、ボロボロのコートを羽織り、ロバの耳のような帽子を被って、見た目からして笑わせる気満々でした。
彼らの多くは男性でしたが、少数ながら女性の道化師もいて、女王を担当していたそうです。
また、そのおどけた外観とは裏腹に、コート・ジェスターは高度な教育を受けていました。
ちなみに、ヨーロッパにおける最後のコート・ジェスターは、イングランドのサフォーク伯に付いて、1728年に亡くなったディッキー・ピアスだとされています。
2 貴人を見たら速攻で掃除(クロッシング・スイーパー)
クロッシング・スイーパーとは、歩道を掃除する人たちのことで、時代としてはヴィクトリア朝に見られました。
ただし、単純に街をキレイにするのが目的ではありません。
彼らは、裕福そうな貴人が近づいてくると、その服(特に、女性のスカートの裾)が歩道のゴミで汚れないように、歩いて行く方向に沿って道をホウキで掃き、その礼としてチップを貰って生計を立てていました。
子どもや老人、身体障がい者などがこの仕事をしていて、時には縄張り争いが勃発することもあったそうです。
特にイギリスで多く見られたのですが、19世紀後半になると街の衛生面が改善し、この仕事は廃れてしまいました。
3 夜ごと街灯をつけて回る(ランプライター)
電気が発明される以前は、街灯はすべて「ガス灯」でした。
今のように自動で点灯するわけはなく、毎晩一つずつガス灯に明かりを灯し、朝が来れば明かりを消していく。
その仕事をしていたのがランプライターです。
ハシゴを担いで街灯から街灯へと移動し、一日に大体70~80の数をこなしていたそうです。
その多くは男性でしたが、中には女性もいました。
特にロンドンでは非常に名誉のある職業で、代々受け継がれることも多かったのですが、当然ながら電気の発明とともに廃れていきました。
4 凍った池から氷ゲット(アイスカッター)
の無かった時代に人々はどうやって食べ物を保存していたのか。
それはもちろん、「氷」を使っていました。
氷の塊で冷やされた箱の中に食料を貯蔵していたのです。
となると、次は氷の入手方法が問題になりますが、そこで登場するのがアイスカッターと呼ばれる人たち。
彼らは、水面が凍った池や川などからノコギリで氷を切り出し、それを販売していたのです。
場合によってはかなり危険を伴うこともあったとか。
この職業は、冷蔵庫が発明される1930年代まで続きました。
5 ひたすらボーリングのピンを置く(ピン・セッター)
ピン・セッターは1900年代初頭からアメリカで定着した職業で、ボーリングのピンがボールに当たって倒れたら、すかさずレーン内に飛び込んでそれらを撤去し、ボールを返球するのがその仕事でした。
そして、すべてのピンが倒れたら所定の位置にピンを並べます。
後はこの繰り返し。
お察しの通り、かなり退屈な仕事だったようで、おまけに収入もごくわずかでした。
1946年に自動でピンをセットする装置が開発されてからは、この職業も消えていったようです。
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