人生、どこにワナがあるか分からない。
それが当サイトのコンセプトなのですが、最近はどんどんそのコンセプトからズレていたので、たまには原点に立ち返りたいと思います。
予想外のワナにはまってしまった人々は数多く存在しますが、個人的に、どうしても記憶から消せない人物が一人います。
事件の関係者のことを考えて、具体的な事件名などは一切伏せておきますが、かつて日本で起きた、とある陰惨な事件の話です。
その事件は社会的なインパクトが非常に強く、新聞などの各種メディアでも大きく取り上げられました。
センセーショナルな報道に拍車をかけたのが、「一向に犯人が捕まらない」という事実。
犯人の特定ができていなかったためです。
犯罪心理学の専門家などがプロファイリングを行い、40代の男性ではないか、などと推測されていました。
ところが、後日逮捕されたのは、地元の学校に通う男子学生。
未成年者が真犯人だったということで、メディアの報道はもはや発狂寸前なほどに過熱。
その犯人がどうなったのかについては、この記事ではあえて触れません。
筆者が注目したいのは、その生徒が通っていた学校の校長です。
自分の学校から逮捕者が出たわけですから、当然のごとく、校長はマスコミからの取材攻勢に遭いました。
その取材を何とか乗り切り、事件の報道も一段落したとき、ある週刊誌で、なぜか校長の写真がデカデカと誌面を飾ることに。
その理由は……おそらく誰も予想できないでしょう。
その驚くべき理由は、校長が笑っていたからです。
嘘のようですが、ホントの話。
校門で他の教員と雑談をしているときの破顔一笑がものの見事に撮影され、雑誌に載ったというわけ。
その時の見出しが、「不気味に笑う校長」。
あんな残忍な事件を起こした犯人が通う学校の校長が、まるで何事も無かったかのように笑っている。
たったそれだけのことで記事にしてしまうのですから、週刊誌というのは恐ろしい。
人間なんだから、そりゃ笑うことくらいあるでしょう。
しかしそんな常識は、週刊誌を相手にすればほぼ無力なのです。
これが、筆者がこの校長を「最も運が悪い」と思う理由……ではありません。
これはまだ序の口です。
真のワナは、犯人逮捕の後、この学校の卒業式の日に発動しました。
卒業式で校長が何を語ったのかは存じませんが、とにかく卒業式が無事に終わり、その日の業務を終えた校長は帰途についたのです。
そのまま自宅に帰っていれば、何の問題も無かったことでしょう。
ワナは決して発動することなく、それまでと何も変わらない平穏な公務員人生が待っているはずでした。
ところが、校長は油断していました(多分)。
不意に笑っただけで週刊誌の記事にされるような異常な生活が、卒業式とともに終わりを告げたと勘違いしてしまったのです(恐らく)。
いや、勘違いしたかっただけかもしれません。
いずれにせよ、校長はその日、自宅には直行せず、ある店に立ち寄りました。
それは、ストリップ劇場。
もちろん、学校から遠く離れた場所での話なのですが、校長が「何かやらかす」瞬間を週刊誌は虎視眈々と狙っていたのでしょう。
その劇場で、校長は二度目のスクープをされてしまうはめに。
この記事が週刊誌に掲載され、それを知ったときの校長の絶望感は、察するに余りあります。
教育者として、これ以上ないダメージです。
言うまでもなく、校長としての人生は、ここで行き止まり。
予想もしない形で、教師人生の終着駅にたどり着いてしまったのです。
余談 自業自得?
筆者にとってこの校長は、最も運が悪い校長というべき存在なのですが、しかし冷静に考えてみると、校長自身の落ち度もそれなりに大きいようにも思います。
笑っただけでスクープされたという経験から、いつどこで記者が狙っているか分からないという警戒心をもっと強めておくべきでした。
十分な警戒心があれば、卒業式という大事な日は特に慎重に行動すべきだという単純な理屈に気づいたはずでしょう。
とは言え、この校長は、こんな仕打ちを受けるほどのことは何もしていません。
その意味で、やはり不幸レベルは相当なものだと思います。


















